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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 平成27年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4) 電線共同溝整備事業に係る建設負担金の算定に適用する年利率について


平成27年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

国土交通省は、安全かつ円滑な交通の確保を図ることなどを目的として、電線を入溝する管路等を道路の地下に整備して無電柱化の推進を図る電線共同溝整備事業を、国道事務所等が事業主体となる直轄事業又は都道府県等が事業主体となる交付金事業として実施している。電線共同溝の建設に要する費用は事業主体が負担する一方、電線共同溝の整備完了後の占用の許可を申請した電気事業者、電気通信事業者等(以下、これらを合わせて「占用予定者」という。)も、電線共同溝の建設によって支出を免れることとなる推定の投資額等を勘案して算出した額(以下「建設負担金」という。)を負担することとなっている。そして、建設負担金の算定に当たっては、占用予定者が自ら電線を埋設した場合の道路掘削等の工事費用(以下「初年度埋設工事費」という。)と、占用予定者が電線の耐用年数が到来した際に行う電線の更新作業に伴う道路掘削等の工事費用として、初年度埋設工事費を国土交通大臣が定める年利率等で割り戻して現在価値に換算することとされている額とを合算するなどして算出した標準単価(電線1条及び1km当たりの単価。以下同じ。)を用いることなどとなっている。上記の年利率は、平成7年に金利情勢等を勘案して6.5%と定められ、これ以降、同じ率が適用されていた。しかし、建設負担金の算定に当たり、年利率が、当初設定したまま見直されていないため、金利水準が長期間にわたって低下傾向となっている状況を勘案したものとなっておらず、建設負担金が過小に算定されている事態が見受けられた。

したがって、国土交通省において、建設負担金の算定について、金利情勢等を勘案した年利率を適用して標準単価を設定し、その内容について地方整備局等及び都道府県等に周知するなどして、建設負担金の額が適切なものとなるよう、国土交通大臣に対して28年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、29年7月に、建設負担金の算定に適用する年利率を金利情勢等を勘案して4.0%に改め、当該年利率を適用した標準単価を設定するとともに、地方整備局等及び都道府県等に対して事務連絡を発して、同年8月以降に算定する建設負担金から当該標準単価を適用するよう周知する処置を講じていた。