国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。)は、機構の研究開発に係る各種業務を実施している東海拠点において、原子力発電所等において使用済みとなった核物質燃料(以下「使用済核燃料」という。)をせん断し、溶解するなどして、ウラン、プルトニウム、高レベルの放射性液体廃棄物(以下「高放射性廃液」という。)等に分離する処理(以下「再処理」という。)を行っている。そして、機構が保管している高放射性廃液の多くは、機構が8電気事業者(注)と締結した再処理に係る役務契約に基づき、電気事業者から受け入れた使用済核燃料を再処理したことにより発生したものとなっている。しかし、機構が、再処理事業者等として、茨城県核燃料等取扱税条例に基づき茨城県に納付している高放射性廃液の保管に係る核燃料等取扱税については、高放射性廃液が電気事業者由来のものであるか否かにかかわらず、その全額を機構が負担している事態が見受けられた。
したがって、機構において、高放射性廃液の保管に係る核燃料等取扱税の負担の在り方について、電気事業者と協議を行うなどして応分の負担を求めるよう、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長に対して平成28年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、機構本部及び東海拠点において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、28年10月以降、8電気事業者と高放射性廃液の保管に係る核燃料等取扱税の負担の在り方について協議を行い、各電気事業者に対して応分の負担を求める処置を講じていた。
なお、上記協議の結果、機構は、29年8月に8電気事業者との間で、電気事業者由来の高放射性廃液の保管に係る核燃料等取扱税について、29年度納付分から8電気事業者が全額負担することとする覚書を締結していた。