国立大学法人京都大学(以下「京都大学」という。)は、医学部附属病院の敷地内に職員、学生、納品業者及びその他大学関係者が利用する駐車場(以下「職員等駐車場」という。)等を設置している。そして、京都大学は、職員等駐車場における車両の誘導、適正駐車の指導、パスカードの発行、駐車整理料の収納・管理等の整理業務(以下「駐車整理業務」という。)を、毎年度、随意契約により、一般財団法人和進会(以下「和進会」という。)と委託契約(以下「職員等駐車場委託契約」という。)を締結して実施している。職員等駐車場委託契約の内容は、駐車する者から徴収する駐車整理料を駐車整理業務に要する最低限度の費用相当額とすること、駐車整理料をもって駐車整理業務に必要な一切の経費(以下「駐車整理業務経費」という。)を賄うこと、剰余金が生じたときは駐車整理業務等に必要な経費に充てることなどとなっている。しかし、職員等駐車場委託契約について、契約の内容を見直すなどすれば、一般競争入札等の競争性及び透明性を確保した契約方法により契約を締結することが可能であるのに、随意契約により委託契約を締結している事態及び駐車整理料による収入が駐車整理業務経費を上回っていて利益が生じているのに京都大学がこれを享受していない事態が見受けられた。
したがって、京都大学において、契約の内容を見直すなどした上で一般競争入札等の競争性及び透明性を確保した契約方法により契約を締結したり、職員等駐車場に係る駐車整理業務により生ずる利益を京都大学が享受できるよう契約の内容を見直すとともに、和進会が管理している剰余金については京都大学の収入とするよう和進会と協議したりするよう、国立大学法人京都大学学長に対して平成27年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、京都大学において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、京都大学は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 30年度以降の駐車整理業務については、契約の内容を見直して一般競争入札により契約を締結することとした。
イ 30年度以降の駐車整理業務に係る契約については、駐車整理料を京都大学の収入とすることにより、駐車整理業務により生ずる利益を京都大学が享受できるようにすることとした。また、剰余金について和進会と協議して、27年度の職員等駐車場委託契約において発生することが見込まれた額を加味した上で、納付しても業務運営に支障がないとされた額の4500万円を28年3月に京都大学に納付させるとともに、28、29両年度の職員等駐車場委託契約の内容を見直し、契約終了後に剰余金が生じている場合は、当該剰余金を納付させることとした。