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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 外務省|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 日本NGO連携無償資金協力により供与した贈与資金の残余金の国庫への返還について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

外務省は、国際協力を行う非営利の市民組織(以下「NGO」という。)が開発途上にある海外の地域で行う経済社会開発事業を対象として資金を供与する日本NGO連携無償資金協力(以下、「N連無償」といい、N連無償を受けてNGOが実施する経済社会開発事業を「N連事業」という。)を実施している。N連無償の実施に当たっては、本省又は在外公館等がそれぞれ贈与契約に基づきNGOに贈与資金を供与していて、このうち本省が供与した贈与資金については本省の担当部局が贈与資金の精算を行い、残余金が生じていることが確認された場合は、NGOに残余金の返還を指示している。しかし、本省の担当部局において、N連事業ごとの贈与資金の精算の進捗管理を組織的に行っていなかったことなどから、贈与資金の精算に時間を要して残余金の国庫への返還が遅れているN連事業を把握しておらず、これらの贈与資金の精算に優先的に取り組むなどの対応を執っていない事態が見受けられた。

したがって、外務省において、贈与資金の精算に時間を要して残余金の国庫への返還が遅れているN連事業11事業について、速やかに精算を完了し、NGOに残余金を国庫に返還させるとともに、今後贈与資金の精算を行うN連事業について、定期的な部局内での報告、管理簿の整備等により、贈与資金の精算に時間を要して残余金の国庫への返還が遅れているN連事業を組織的に把握して、担当者間の業務の配分を見直すなどした上で贈与資金の精算に係る事務処理の工程を定めて優先的に精算に取り組むなどの体制を担当部局において整備することにより、残余金を早期に国庫に返還させるよう、外務大臣に対して平成30年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、外務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、外務省は、本院指摘の趣旨に沿い、贈与資金の精算に時間を要して残余金の国庫への返還が遅れているN連事業11事業について、贈与資金の精算を完了し、令和元年6月までにNGOに残余金を国庫に返還させていた。また、今後贈与資金の精算を行うN連事業について、平成30年12月に、担当部局において、贈与資金の精算の進捗状況等を記録するための完了報告管理簿を整備し、これを用いて常時精算の進捗状況を共有するなどして贈与資金の精算に時間を要して残余金の国庫への返還が遅れているN連事業を組織的に把握して、贈与資金の精算を専門に行う担当者を配置するなどした上で贈与資金の精算に係る事務処理の工程を上記の完了報告管理簿に定めて当該N連事業に係る贈与資金の精算に優先的に取り組む体制を整備することにより、残余金を早期に国庫に返還させるようにするための処置を講じていた。