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租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの[58税務署](20)


会計名及び科目
一般会計 国税収納金整理資金 (款)歳入組入資金受入
(項)各税受入金
部局等
58税務署
納税者
78人
徴収過不足額
徴収不足額 212,122,739円(平成25年度~30年度)
徴収過大額 671,900円(平成28年度)

1 租税の概要

源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税、消費税等の国税については、法律により、納税者の定義、納税義務の成立の時期、課税する所得の範囲、税額の計算方法、申告の手続、納付の手続等が定められている。

納税者は、納付すべき税額を税務署に申告して納付することなどとなっている。国税局等又は税務署は、納税者が申告した内容が適正であるかについて申告審理を行い、必要があると認める場合には調査等を行っている。そして、確定した税額は、税務署が徴収決定を行っている。

平成30年度国税収納金整理資金の各税受入金の徴収決定済額は77兆8107億余円となっている。このうち源泉所得税及復興特別所得税(注1)(以下「源泉所得税」という。)は19兆1546億余円、申告所得税及復興特別所得税(以下「申告所得税」という。)は3兆6148億余円、法人税は13兆6757億余円、相続税・贈与税は2兆4896億余円、消費税及地方消費税は29兆5071億余円となっていて、これら各税の合計額は68兆4419億余円となり、全体の87.9%を占めている。

(注1)
復興特別所得税  東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)に基づくものであり、平成25年1月から令和19年12月までの25年間、源泉所得税及び申告所得税に、その税額の2.1%相当額を上乗せする形で課税するもの

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、上記の各税に重点をおいて、合規性等の観点から、課税が法令等に基づき適正に行われているかに着眼して、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院に提出された証拠書類等により検査するとともに、全国の12国税局等及び524税務署のうち12国税局等及び71税務署において、申告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、国税局等及び税務署に調査等を求めて、その調査等の結果の内容を確認するなどの方法により検査した。

(2) 徴収過不足の事態

検査の結果、58税務署において、納税者78人から租税を徴収するに当たり、徴収額が、78事項計212,122,739円(25年度から30年度まで)不足していたり、1事項671,900円(28年度)過大になっていたりしていて、不当と認められる。
これを、税目別に示すとのとおりである。

表 税目別の徴収過不足額等

税目 事項数 徴収不足額 事項数 徴収過大額(△)
     
源泉所得税
1 1,429,239
申告所得税
13 27,172,200
法人税
41 135,520,700
相続税・贈与税 10 12,660,300
消費税
12 34,502,400 1 671,900
地方法人税
1 837,900
78 212,122,739 1 671,900
(注)
地方法人税  地方法人税法(平成26年法律第11号)に基づくものであり、地方交付税の財源を確保するために、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、法人税額の4.4%相当額を課税するもの

なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、全て徴収決定又は支払決定の処置が執られた。

(3) 発生原因

このような事態が生じていたのは、前記の58税務署において、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤るなどしているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、課税資料の収集及び活用が的確でなかったりしたため、誤ったままにしていたことなどによると認められる。

なお、上記事態の中には、同一事由により誤っているものがあり、これについて本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項がある(本院の指摘及び国税庁が講じた処置の内容については、「自己の居住の用に供する住宅を対象とした租税特別措置である住宅ローン控除特例等、譲渡特例等及び贈与特例について、適用誤りを防止するために納税者等に交付する手引等を見直すなどして適用要件等を周知するとともに、申告等情報を活用した審査が十分に実施されるよう審査マニュアルの見直しを行うことなどにより、適用が適正に行われるよう改善させたもの」参照)。

(4) 税目ごとの態様

この79事項のうち、源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税及び消費税に関する事態について、その主な態様を示すと次のとおりである。

ア 源泉所得税

源泉所得税に関して徴収不足になっていた事態が1事項あった。これは、退職手当に関する事態である。

退職手当の支払者は、支払の際に、退職所得の金額等に所定の税率を乗じて計算した額に、25年1月以降は復興特別所得税額を上乗せした源泉所得税を徴収して、法定納期限までに国に納付しなければならないこととなっており、納付がない場合には、税務署は支払者に対して納税の告知をしなければならないこととなっている。

この退職手当に関して、納付した源泉所得税額の中に上乗せすべき復興特別所得税相当額を含めていないのに、これを見過ごしたため、当該相当額について納税の告知をしておらず徴収不足になっていた事態が1事項1,429,239円あった。

イ 申告所得税

申告所得税に関して徴収不足になっていた事態が13事項あった。この内訳は、不動産所得に関する事態が7事項、事業所得に関する事態が4事項及びその他に関する事態が2事項である。

(ア) 不動産所得に関する事態

個人が不動産を貸し付けた場合には、その総収入金額から必要経費等を差し引いた金額を不動産所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、個人が、不動産所得について、収入、経費の各項目の金額に消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)を含めた経理を行っている場合には、不動産所得の計算上、経費に係る消費税等の額が収入に係る消費税等の額を上回るときに生ずる消費税等の還付金を総収入金額に算入することとなっている。

また、確定申告書を提出する年の前年以前3年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(注2)がある場合には、当該純損失の金額は、当該確定申告書に係る年分の総所得金額等の計算上控除することとなっている。

(注2)
純損失の金額  総所得金額等を計算する場合において、不動産所得等の計算上生じた損失額について、他の各種所得の金額から控除してもなお控除しきれない部分の金額

この不動産所得に関して、徴収不足になっていた事態が7事項計15,468,200円あった。その主な内容は、収入、経費の各項目の金額に消費税等を含めた経理を行っている場合の消費税等の還付金を総収入金額に算入していないのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていたものである。

<事例1> 消費税等の還付金を総収入金額に算入していなかった事態

納税者Aは、平成27年分の申告に当たり、不動産所得の総収入金額を27,245,918円とし、この金額の中に消費税等の還付金はないとしていた。そして、この金額から必要経費31,279,110円を差し引いた4,033,192円を不動産所得の損失額とするなどして、同年分の純損失の金額を15,770,970円とし、同金額を28年分の総所得金額の計算上控除していた。

しかし、納税者Aは不動産所得に係る収入、経費の各項目の金額に消費税等を含めた経理を行っており、また、27年12月に納税者Aに対して消費税等の還付金13,331,006円が支払われていた。したがって、この消費税等の還付金を27年分の不動産所得の総収入金額に算入するなどすると、同年分の不動産所得の金額は8,647,814円となるなどして、上記の純損失の金額は3,081,064円となるのに、これを見過ごしたため、28年分の申告所得税額4,682,000円が徴収不足になっていた。

(イ) 事業所得に関する事態

個人が事業を営む場合には、その総収入金額から必要経費等を差し引いた金額を事業所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、個人が有する減価償却資産の償却費として事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する金額は、当該資産について取得日等に応じて定められた償却方法に基づいて計算した金額とすることとなっている。そして、19年4月1日以後に取得した資産について、その償却方法の届出をしていない場合、器具及び備品の償却費は定額法に基づいて計算することとなっている。

この事業所得に関して、徴収不足になっていた事態が4事項計6,261,700円あった。その内容は、29年1月に取得した器具及び備品について、当該資産に係る償却方法の届出をしていないにもかかわらず、取得日から一定期間償却費が定額法に比べて多額となる定率法に基づいて償却費を計算していたことにより必要経費の額を過大に計上しているのに、これを見過ごしたため、事業所得の金額を過小のままとしていたものなどである。

(ウ) その他に関する事態

(ア)及び(イ)のほか、譲渡所得に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計5,442,300円あった。

ウ 法人税

法人税に関して徴収不足になっていた事態が41事項あった。この内訳は、受取配当等の益金不算入に関する事態が26事項、法人税額の特別控除に関する事態が8事項及びその他に関する事態が7事項である。

(ア) 受取配当等の益金不算入に関する事態

法人が他の内国法人から受ける配当等の金額等については、原則として、その全額を基に所定の方法により計算した金額を所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととなっている。ただし、法人が有する当該他の内国法人の株式等が、非支配目的株式等(注3)又はその他株式等(注4)に該当する場合においては、株式等の配当等の額のそれぞれ100分の20相当額又は100分の50相当額を益金不算入の対象とすることとなっている。

(注3)
非支配目的株式等  法人が他の内国法人の発行済株式総数等(その有する自己の株式等を除く。)の原則として100分の5以下に相当する数の株式等を配当等の額の支払に係る基準日において有する場合の当該株式等
(注4)
その他株式等  法人が他の内国法人の発行済株式総数等(その有する自己の株式等を除く。)の原則として100分の5を超え3分の1以下に相当する数の株式等を有する場合の当該株式等

また、法人が他の内国法人から受ける特定株式投資信託以外の証券投資信託の収益の分配金等については、その全額が受取配当等の益金不算入の対象とならないこととなっている。

この受取配当等の益金不算入に関して、徴収不足になっていた事態が26事項計85,406,200円あった。その主な内容は、次のとおりである。

a 非支配目的株式等に係る配当等の額をその他株式等に係る配当等の額としていて受取配当等の益金不算入額を過大に計上しているのに、これを見過ごしたため、所得の金額を過小のままとしていた。

b 受取配当等の益金不算入の対象とならない証券投資信託の収益の分配金等を受取配当等の益金不算入の対象としているのに、これを見過ごしたため、所得の金額を過小のままとしていた。

<事例2> 非支配目的株式等に係る配当等の額をその他株式等に係る配当等の額としていたため受取配当等の益金不算入額を過大に計上していた事態

B農業協同組合は、平成27年4月から29年3月までの2事業年度分の申告に当たり、その有する他の内国法人の株式等のうち1法人の株式等をその他株式等に該当するとして、受取配当等の益金不算入の対象となる金額を、配当等の額の100分の50相当額28年3月期分72,008,464円及び29年3月期分74,537,573円としていた。

しかし、B農業協同組合は、両事業年度において、当該法人の発行済株式総数等の100分の5以下に相当する数の株式等を配当等の額の支払に係る基準日において有していたことから、当該法人の株式等は、非支配目的株式等に該当していた。このため、両事業年度において、受取配当等の益金不算入の対象となる金額は、配当等の額の100分の20相当額28年3月期分28,803,385円及び29年3月期分29,815,029円となり、上記の金額との差額28年3月期分43,205,079円及び29年3月期分44,722,544円が過大となっているなどしていたのに、これを見過ごしたため、法人税額28年3月期分11,626,700円及び29年3月期分7,575,300円、計19,202,000円が徴収不足になっていた。

(イ) 法人税額の特別控除に関する事態

法人税額の算定に当たり、法人税額から一定の金額を控除する各種の特別控除が設けられている。これらの特別控除の一つとして、青色申告書を提出する法人については、国内雇用者に対する給与等の支給額(以下「雇用者給与等支給額」という。)を所定の割合以上増加させるなどの要件を満たす場合、所定の方法により計算した雇用者給与等支給額の増加額(以下「雇用者給与等支給増加額」という。)の100分の10相当額又は法人税額に所定の割合を乗じて計算した金額(以下「税額基準額」という。)のいずれか少ない金額を法人税額から控除できることとなっている。そして、税額基準額は、原則として、法人税額の100分の10相当額とすることとなっているが、当該法人が中小企業者等(注5)に該当する場合には、法人税額の100分の20相当額とすることとなっている。

(注5)
中小企業者等  資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(当該法人の発行済株式総数等の2分の1以上を同一の大規模法人が所有しているなどの法人を除く。)、農業協同組合等

この法人税額の特別控除に関して、徴収不足になっていた事態が8事項計23,568,200円あった。その主な内容は、雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除の適用に当たり、中小企業者等に該当しない場合、税額基準額は法人税額の100分の10相当額とすべきところ、誤って法人税額の100分の20相当額としたため法人税額から控除する金額が過大となっているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていたものである。

<事例3> 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除の規定の適用を誤ったため、法人税額から控除する金額が過大となっていた事態

C会社は、平成28年1月から12月までの事業年度分の申告に当たり、資本金の額が1億円以下であることから、中小企業者等に該当するとしていた。そして、C会社は、雇用者給与等支給増加額の100分の10相当額12,259,820円が税額基準額とした法人税額の100分の20相当額16,162,801円より少ないとして雇用者給与等支給増加額の100分の10相当額を法人税額から控除していた。

しかし、C会社の申告書の株主等の株式数等に関する資料等によれば、C会社の発行済株式総数の2分の1以上を同一の大規模法人が所有しているため、C会社は中小企業者等に該当しないこととなる。したがって、税額基準額は、法人税額の100分の20相当額ではなく、法人税額の100分の10相当額8,081,400円となるため、これを当該事業年度の法人税額から控除する金額とすべきであるのに、これを見過ごしたため、法人税額4,178,500円が徴収不足になっていた。

(ウ) その他に関する事態

(ア)及び(イ)のほか、交際費等の損金不算入、収用等の場合の課税の特例等に関して、徴収不足になっていた事態が7事項計26,546,300円あった。

エ 相続税・贈与税

相続税・贈与税に関して徴収不足になっていた事態が10事項あった。この内訳は、相続税については、土地建物等の価額に関する事態が2事項及びその他に関する事態が4事項、贈与税については、非課税の特例に関する事態が3事項及びその他に関する事態が1事項である。

(ア) 相続税
a 土地建物等の価額に関する事態

個人が相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その取得した財産に対して相続税を課することとなっており、取得した財産の価額は、相続又は遺贈により取得した時の時価とされていて、土地建物等の価額については、路線価、固定資産税評価額等を基にして計算することとなっている。そして、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族が事業又は居住の用に供していた宅地等のうち用途区分に応じて所定の方法により計算した一定の面積までの部分については、小規模宅地等として、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等の場合は、土地等の価額に100分の80の割合を乗じた額を、貸付事業用宅地等の場合は、土地等の価額に100分の50の割合を乗じた額をそれぞれ減額できることとなっている。

この土地建物等の価額に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計3,748,600円あった。その内容は、土地の価額の計算において、小規模宅地等に該当しない土地について貸付事業用宅地等であるとして土地の価額に100分の50の割合を乗じた額を減額しているのに、これを見過ごしたため、土地の価額を過小のままとしていたものである。

b その他に関する事態

aのほか、有価証券の価額、相続税の総額の計算及び相続税額の加算に関して、徴収不足になっていた事態が4事項計3,472,500円あった。

(イ) 贈与税
a 非課税の特例に関する事態

個人が贈与により財産を取得した場合には、その取得した財産に対して贈与税を課することとなっている。そして、取得した財産が直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金(注6)であり、新築、取得又は増改築等をした住宅の登記簿上の床面積が50m2以上240m2以下であるなどの要件を満たす場合には、当該住宅取得等資金のうち一定の額までの金額を贈与税の課税価格に算入しない特例(以下「非課税の特例」という。)が設けられている。

この非課税の特例に関して、徴収不足になっていた事態が3事項計4,760,000円あった。その主な内容は、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた者が、上記の新築した住宅の床面積の要件を満たしていないにもかかわらず、非課税の特例を誤って適用しているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、贈与税の課税価格を過小のままとしていたものである。

(注6)
住宅取得等資金  自己の居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための金銭
b その他に関する事態

aのほか、有価証券の価額に関して、徴収不足になっていた事態が1事項679,200円あった。

オ 消費税

消費税に関して徴収不足又は徴収過大になっていた事態が13事項あった。この内訳は、課税仕入れに係る消費税額の控除に関する事態が11事項、課税売上高の計上に関する事態が1事項及びその他に関する事態が1事項である。

(ア) 課税仕入れに係る消費税額の控除に関する事態

事業者は、課税期間(注7)における課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除した額を消費税として納付することとなっている。そして、課税売上高に対する消費税額から控除する課税仕入れに係る消費税額は、一定の要件に該当して全額控除できる場合を除き、課税仕入れに係る消費税額等の合計額に課税売上割合(非課税売上高等を含めた総売上高に占める課税売上高の割合。以下同じ。)を乗ずるなどして計算することとなっている。

(注7)
課税期間  納付する消費税額の計算の基礎となる期間で、原則として個人事業者は暦年、法人は事業年度

この課税仕入れに係る消費税額の控除に関して、徴収不足になっていた事態が11事項計27,954,100円あった。その主な内容は、非課税売上高である土地の譲渡収入を総売上高に含めないで課税売上割合を計算しているのに、これを見過ごしたため、課税仕入れに係る消費税額の控除額を過大のままとしていたものである。

<事例4> 課税仕入れに係る消費税額の控除額の計算を誤っていた事態

D会社は、平成28年1月から12月までの課税期間分の申告に当たり、課税売上割合を99.9%とするなどしていた。

しかし、同会社の法人税の申告書に添付された書類等によれば、非課税売上高である土地の譲渡収入があり、これを総売上高に含めて課税売上割合を計算すると97.68%となる。したがって、課税仕入れに係る消費税額の控除額は、同割合に基づくなどして計算すべきであるのに、これを見過ごしたため、消費税額9,993,900円が徴収不足になっていた。

(イ) 課税売上高の計上に関する事態

事業者は、課税の対象となる国内において行った資産の譲渡及び貸付け並びに請負等の役務の提供に係る収入金額を課税売上高に計上することとなっている。

この課税売上高の計上に関して、徴収不足になっていた事態が1事項6,548,300円あった。その内容は、事業者が事業用建物を譲渡しているのに、課税資料の収集及び活用が的確でなかったため、課税売上高を過小のままとしていたものである。

(ウ) その他に関する事態

(ア)及び(イ)のほか、簡易課税制度の適用に関して、徴収過大になっていた事態が1事項671,900円あった。

これらの徴収不足額及び徴収過大額を国税局別に示すと次のとおりである。

   
源泉所得税
 
申告所得税
 
法人税
 
相続税
贈与税
 
消費税
 
地方法人税
 
国税局 税務署数 事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
事項数 徴収不足
徴収過大
(△)
      千円   千円   千円   千円   千円   千円   千円
札幌国税局 5         5 4,856             5 4,856
仙台国税局 3             3 25,229                     3 25,229
関東信越国税局 11       2 2,675   5 10,862   2 1,472   6 23,094         15 38,105
東京国越国 23 1 1,429   9 23,288   17 56,423   5 5,576   5 10,457   1 837   38 98,013
1 671 1 671
金沢国税局 1                         1 950         1 950
名古屋国税局 4             3 21,283   1 2,460               4 23,743
大阪国税局 4       2 1,207   1 505   1 1,770               4 3,482
広島国税局 3             2 1,768   1 1,381               3 3,149
高松国税局 2             2 12,118                     2 12,118
熊本国税局 2             3 2,473                     3 2,473
58 1 1,429   13 27,172   41 135,520   10 12,660   12 34,502   1 837   78 212,122
1 671 1 671