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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 文部科学省|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

高校生等奨学給付金における学校の代理受領による授業料以外の教育費への充当について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

文部科学省は、「高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)交付要綱」等に基づき、高等学校、中等教育学校の後期課程等(以下「高校等」という。)の生徒又は学生(以下「生徒」という。)の保護者等が授業料以外の教育に必要な経費に充てるために、都道府県が生徒の保護者等に支給することとされている奨学のための給付金(以下「奨学給付金」という。)の支給に要する費用について、都道府県に「高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)」(以下「補助金」という。)を交付することとしており、補助金の額は、都道府県が奨学給付金として支給した額の3分の1の額を上限としている。奨学給付金は、世帯区分等ごとに定められた給付額を給付することとされており、保護者等から奨学給付金の受給等を高校等に委任する旨の委任状の提出があった場合には、高校等は、保護者等に代わって奨学給付金を受領して、教科書費、教材費等の授業料以外の教育費と相殺(以下「代理受領による充当」という。)を行うことができることとなっている。また、都道府県は、代理受領による充当を行うなど、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるような取組を推進することとなっている。しかし、文部科学省が代理受領による充当を認めることの制度化を実施するよう求めていないことなどから、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなっていない事態が見受けられた。

したがって、文部科学省において、補助金の補助対象事業について、やむを得ないと認められる場合を除き都道府県において代理受領による充当を認めることを制度化するなど、補助金が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなるための措置を講ずるよう、文部科学大臣に対して平成30年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、31年4月に、都道府県に対して通知を発して、やむを得ないと認められる場合を除き代理受領による充当を認めることを交付要綱等に規定することについて周知するとともに、都道府県における奨学給付金の事務処理に関する標準的な手順等を示した手引を改正するなどして、補助金が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなるための処置を講じていた。