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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(7) 建設労働者確保育成助成金における助成金単価の設定について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

厚生労働省は、雇用保険法(昭和49年法律第116号)等に基づき、建設業における若年労働者の確保及び育成並びに技能継承を図るなどのために、雇用関係助成金支給要領(以下「支給要領」という。)に規定する一定の取組を実施する建設事業主等に対して建設労働者確保育成助成金を支給している。支給要領によれば、建設労働者確保育成助成金のうち、「認定訓練コース(賃金助成)」は、中小建設事業主が雇用する建設労働者の賃金に対する助成を行うものであり、支給対象者は、雇用する建設労働者に認定訓練を受けさせること、キャリア形成促進助成金等の支給を受けるものであることなどの要件に該当する中小建設事業主とされている。厚生労働省は、認定訓練コース(賃金助成)について、賃金に対する助成の趣旨は、中小建設事業主が雇用する建設労働者に認定訓練を有給で受講させる場合に、受講期間中に中小建設事業主が負担しなければならない受講者に係る賃金を国が助成することにより、技能の習得等の促進を図り、建設業における若年労働者の確保及び育成等を図るものであるとしており、その支給額は、キャリア形成促進助成金等の支給額に上乗せして、認定訓練の受講者(以下「受講者」という。)1人当たり日額(以下「助成金単価」という。)に、認定訓練を受けた日数を乗じて得た額とされている。そして、助成金単価については、1日当たりの賃金相当額に助成率6分の5を乗じた額からキャリア形成促進助成金等の支給相当額を差し引くなどして設定していた。しかし、厚生労働省は、支給対象となる事業主の企業規模及び受講者の年齢構成の実態と異なる統計値を基に1日当たりの賃金相当額を算定していて、認定訓練コース(賃金助成)の支給額とキャリア形成促進助成金等の支給額とを合計した額が、実際に中小建設事業主が負担した受講者が認定訓練を受けた日数に係る賃金相当額に助成率6分の5を乗じた額を上回っている事態が見受けられた。

したがって、厚生労働省において、支給要領を改正するなどして、助成金単価が受講者に係る中小建設事業主の賃金負担の実態に即したものとなるよう、厚生労働大臣に対して平成30年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、助成金単価が中小建設事業主の企業規模及び受講者の年齢構成の実態に即したものとなるよう、助成金単価の設定方法を定め、今後これに基づき助成金単価を設定することとして、31年3月に建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則及び支給要領を改正する処置を講じていた。