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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 毎木検知による検知業務の請負に係る費用の積算について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置

林野庁は、生産した丸太の数量等を確定させる検知業務を行っており、品等・品質の区分格付けなどを人が1本ごとに行う検知(以下「毎木検知」という。)を検知業務の請負者に請け負わせて実施している。毎木検知による検知業務の請負に係る費用の積算については、各森林管理局が管内の実情を加味して定めた素材等検知業務請負要領等(以下「積算基準」という。)において、生産する丸太の数量と1日当たりの毎木検知の標準作業量から検知業務に要する人日数を算定して、これに労務賃金を乗ずるなどして算定することとなっている。しかし、各森林管理局の積算基準では、1日当たりの毎木検知の標準作業量について、丸太が土場に搬入された日の当日内に検知業務を行うことを前提として、1日当たりの土場への丸太の運搬作業量等と同量としていて、毎木検知の作業量の調査結果に基づいて設定していないなどしていた。一方、林野庁が政策的に進めている土場の整備が進むなど作業状況が変化してきており、北海道、東北、関東、中部、近畿中国各森林管理局(以下「5森林管理局」という。)において、一定程度の量の丸太が集積できる土場等の場合には、検知業務を一定程度の量の丸太が土場に集積されてから数日分をまとめて適時に行うなど、集積された丸太の量に応じて効率的に毎木検知を行っており、毎木検知による検知業務の請負に係る費用の積算に当たり、5森林管理局が定めた積算基準が実態に即しておらず、経済的なものとなっていない事態が見受けられた。

したがって、林野庁において、5森林管理局に対して、毎木検知による検知業務の請負に係る費用の積算に当たり、集積された丸太の量に応じて毎木検知を効率的に実施できる土場について、毎木検知に要する作業量の実態を把握して、これを積算基準に反映させて、経済的な積算を行わせるよう、林野庁長官に対して平成30年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、30年12月に5森林管理局等に対して通知を発して、毎木検知に要する作業量の実態を把握して、その結果、積算基準とかい離がある場合には、実態を反映するよう積算基準を改正させることとした。これに基づき、5森林管理局は、それぞれ31年3月に積算基準を改正し、同年4月までに毎木検知による検知業務の請負に係る費用の積算にそれぞれ適用し、経済的な積算を行うこととする処置を講じていた。