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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4) 農山漁村の活性化のために実施された事業の達成状況の評価等について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成19年法律第48号。以下「法」という。)等に基づき、農山漁村の活性化に関する計画(以下「活性化計画」という。)を作成した都道府県等(以下「計画主体」という。)が活性化計画に基づく事業(以下「活性化事業」という。)等の実施をしようとするときに、計画主体に対して農山漁村振興交付金を交付している。活性化事業の対象は、「定住等の促進」及び「地域間交流の促進」という法の二つの目的に応じて区分されており、それぞれに対応した活性化事業が定められている。そして、法によれば、計画主体は、活性化計画に、活性化計画の目標(以下「活性化計画目標」という。)、活性化事業に関連して実施される事業(以下「関連事業」という。)等を記載するよう努めることとされており、農山漁村振興交付金実施要綱等によれば、活性化事業等により達成される目標(以下「事業目標」という。)を定め、その達成状況を評価することなどとされている。一方、活性化計画目標の達成状況については、活性化計画を作成するに当たり留意することが望ましい事項として、計画主体は自己評価をしておくこととされている。しかし、活性化計画目標が達成されていないのにその原因分析等が行われていない事態及び活性化計画目標が活性化事業等により実現しようとする法の二つの目的と適切に対応していない事態が見受けられた。

したがって、農林水産大臣に対して平成30年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

  • ア 計画主体に対して、活性化計画目標を設定した場合は、事業目標が達成されている場合であっても活性化計画目標の達成状況を確認して、達成されていない場合は、原因分析等を行い、活性化事業の運営や関連事業等の実施に改善の余地はないかなどについて検討を行うよう指導するとともに、これを行う仕組みを設けること
  • イ 計画主体に対して、活性化計画目標を設定しようとする場合は、活性化計画目標の達成状況を適切に評価できるようにするために、活性化計画目標が活性化事業等により実現しようとする法の二つの目的に適切に対応しているかなどについて確認するよう指導するとともに、これを適切に審査することとすること

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、31年3月に農山漁村振興交付金に係る実施要領を改正するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 計画主体に対して、活性化計画目標を設定した場合は活性化計画目標の達成状況等について評価を行い、達成されていない場合は原因分析等を行って、活性化事業の運営や関連事業等の実施に改善の余地はないかなどについて学識経験者等第三者の意見を聴いた上で検討を行うよう地方農政局等を通じて指導するとともに、計画主体が農林水産大臣に提出する活性化計画目標等の評価に関する報告書の様式に、活性化計画目標の達成状況、今後の方針等を記載する項目を新たに設けるなどして、計画主体が上記の検討を適切に行うようにする仕組みを設けた。

イ 計画主体に対して、活性化計画目標が活性化事業等により実現しようとする法の二つの目的に適切に対応しているかなどについて確認するよう地方農政局等を通じて指導するとともに、計画主体が活性化計画を作成する際に農林水産大臣に提出する活性化計画の内容等を点検するための事前点検シートの様式に、活性化計画目標と事業目標とが適切に対応しているかを確認するための項目を新たに設けるなどして、地方農政局等において適切に審査することとした。