農林水産省は、平成27年度から、米穀周年供給・需要拡大支援事業実施要領(以下「実施要領」という。)等に基づき、米穀周年供給・需要拡大支援事業(以下「周年事業」という。)を実施している。周年事業は、需要に応じた米の生産・販売が行われる環境を整備するため、豊作等の影響により必要が生じた場合に、主食用米を長期計画的に販売する取組(以下「長期販売の取組」という。)や業務用向けなどへの販売促進等を図る取組(以下「業務用向けの取組」という。)等を行う集荷業者等に対して金融機関等への支払利息(以下、支払利息の2分の1に相当する額を「金利相当額」という。)等の経費や、広告宣伝等に要した経費等を支援するものである。しかし、長期販売の取組に対する支援に当たり、事業実施主体の借入金の基となる実際の単価及び借入利率を適用することとしていないため、借入れの実態を反映しないまま国庫補助金を交付している事態、業務用向けの取組の支援に当たり、取組の効果を的確に把握できるように目標を設定していなかったり、評価が目標と整合したものとなっていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、農林水産大臣に対して30年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。
本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 長期販売の取組に対する支援については、31年3月に実施要領を改正し、事業実施主体の借入金の基となる実際の概算金の単価に実際の借入利率を乗ずるなどして算定した金利相当額に基づいた国庫補助金を交付することとした。
イ 業務用向けの取組に対する支援については、31年3月に実施要領を改正して目標の設定及び評価に関する事項を定めるとともに、事業実施計画に目標を適切に設定することを同月に公表した事業実施主体に応募する者に対する公募要領に示したり、事業実施状況等報告において目標に対する評価を根拠資料等に基づき適切に行うよう地方農政局等を通じて事業実施主体に対して令和元年8月以降の交付決定時に事務連絡を発したりなどして指導した。また、平成31年3月に地方農政局等に対して事務連絡を発して、事業実施状況等報告の確認を適切に行うよう指示した。