資源エネルギー庁は、平成23年度から27年度までの間に、民間事業者等が事業主体となって、太陽熱、地中熱、バイオマス熱等の再生可能エネルギー熱を利用する設備等(以下「再エネ熱利用等設備」という。)を導入する再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策事業に要する経費の一部を補助する事業を実施する一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(以下「協議会」という。)に補助金を交付している。そして、28年度以降も、民間事業者が事業主体となって再エネ熱利用等設備を導入する再生可能エネルギー事業者支援事業等(以下「事業者支援事業」という。)に要する経費の一部を補助する事業を実施する補助事業者に補助金を交付している。しかし、バイオマス熱利用設備で使用した燃料が利用状況報告書等に記載された燃料と異なっていて、実際に使用した燃料のバイオマス依存率が補助の要件とされている60%を下回る状況となっている事態、利用状況報告書により再エネ熱利用等設備の稼働状況や供給される熱量等の計画値に対する実績値の割合(以下「達成率」という。)を適切に把握することができない事態及び再エネ熱利用等設備が長期にわたり稼働を停止していたり、達成率が低調となっていたりしているのに、改善指導等が十分に行われていない事態が見受けられた。
したがって、資源エネルギー庁長官に対して30年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求した。
本院は、資源エネルギー庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、資源エネルギー庁は、本院指摘の趣旨に沿い、31年2月までに次のような処置を講じていた。
ア 協議会に対して事務連絡を発出するなどして指導を行い、3事業に係る事業主体に対して補助の要件を満たした適切な燃料を使用するよう指示文書を発出させるとともに、その後の状況を適切に把握することとさせた。
イ 協議会及び事業者支援事業の補助事業者に対して事務連絡を発出するなどして指導を行い、バイオマス熱利用設備については、バイオマス依存率が60%以上となる燃料を使用する必要があることを事業主体に対して周知徹底させるとともに、利用状況報告書の提出時に実際に使用した燃料の種類等が記載された納品書等のバイオマス依存率の計算根拠を裏付ける資料を提出する必要があることなどについて、事業主体に対して事務連絡を発出して周知させたり、事業者支援事業の公募要領等に明記して申請者に周知させたりして、当該提出資料等によりバイオマス熱利用設備で使用した燃料が補助の要件を満たしているかを確実に確認することとさせた。
ウ 協議会及び事業者支援事業の補助事業者に対して事務連絡を発出するなどして指導を行い、利用状況報告書の提出時に事業主体が設備の稼働状況等に関する記載内容を裏付ける資料を提出する必要があることについて、事業主体に対して事務連絡を発出して周知させたり、事業者支援事業の公募要領等に明記して申請者に周知させたりして、当該提出資料等により再エネ熱利用等設備の稼働状況や達成率を適切に把握することとさせた。
エ 協議会及び事業者支援事業の補助事業者に対して事務連絡を発出するなどして指導を行い、再エネ熱利用等設備が稼働を停止していたり、達成率が低調となっていたりしている場合には、事業主体がその原因を分析した上で、設備の稼働等に向けた取組方針や達成率を向上させるための改善計画を提出する必要があることについて、事業主体に対して事務連絡を発出して周知させたり、事業者支援事業の公募要領等に明記して申請者に周知させたりして、提出を受けた改善計画等に基づきその進捗状況を適切に把握するなどの改善指導等を行うこととさせた。