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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 環境省|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 委託事業により取得した物品の管理等について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

原子力規制委員会(以下「委員会」という。)は、環境放射能の影響調査等のために、毎年度、都道府県や研究機関等と委託契約を締結して多数の事業を実施しており、受託者は、委託費により必要な測定装置等の物品(以下「委託事業物品」という。)を取得している。物品管理法(昭和31年法律第113号)等によれば、国の物品の管理については、物品管理簿を備えてその現在高等を記録することなどとされており、また、復興庁から発出された事務連絡によれば、東日本大震災復興特別会計の予算により取得した委託事業物品(以下「復興特会委託事業物品」という。)については、専ら復興事業に使用するという特別な場合を除き、同特別会計から一般会計へ管理換をして、一般会計で管理することとされている。さらに、委員会は、受託者が委託事業終了後に委託事業物品の継続使用を希望する場合において、受託者に対して、貸付けの目的以外の目的のために使用しないことなどの条件を付して、委託事業物品を無償で貸し付けることとしている。しかし、委託事業物品等の管理が適切に行われておらず、物品管理簿が国の物品の現況を反映した正確なものとなっていないなどしている事態及び委託事業物品が無償貸付された上で収益事業等に使用されている事態が見受けられた。

したがって、原子力規制委員会委員長に対して平成30年10月に、会計検査院法第34条の規定により次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

  • ア 物品管理簿に正確に記録されていないなどの委託事業物品のうち重要物品等について、現況を把握して物品管理簿等を適切なものとするよう必要な処置を執ったり、都道府県等において使用される見込みがないまま長期間保管されているものについては、速やかにその活用方法の検討を行ったりすること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)
  • イ 委託事業の執行担当課に対して、委託事業終了の際に、受託者が継続使用を希望する委託事業物品について、所有権移転を指示する通知書を速やかに受託者に送付したり、財産取得通知書を速やかに物品管理係に提出したりして、必要な情報を物品管理係と共有して無償貸付等の手続を適時適切に行うよう周知徹底を図ること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • ウ 受託者に対して、無償貸付の条件に従い、委託事業物品を善良な管理者の注意をもって適切に管理し、委託事業物品を使用する見込みがなくなった場合には、委員会に対して速やかにその旨を報告するよう周知徹底を図るなどして、委員会において活用方法の検討が適時適切に行われるようにすること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • エ 委託事業物品の取扱いに関する事務連絡等に次の内容を記載して、その内容を関係者に周知すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
    • (ア) 複数の機器で構成される委託事業物品について、その構成機器ごとの更新状況や取得価格を把握して物品管理を適切に行う必要性及びその具体的な方法
    • (イ) 物品管理の対象とすべきものの範囲、その取得価格の考え方等
    • (ウ) 復興特会委託事業物品の属する会計の取扱い
  • オ 受託者に対して無償貸付された委託事業物品を貸付けの目的以外の目的のために使用しないことの周知徹底を図るとともに、受託者が貸付けの目的である委託事業に使用していない時間に収益事業等に使用することを希望する場合には、その報告をさせることとした上で、収益事業等に使用させないこととしたり、必要なものについては有償貸付としたりすること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

2 当局が講じた処置

本院は、委員会において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、委員会は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 委託事業物品のうち重要物品等の現況を把握して、物品管理簿に記録されていないものを記録したり、廃棄されているのに物品管理簿に記録されたままとなっているものを削除したりなどして、30年度末時点の物品管理簿等を適切なものとした。また、都道府県等において使用される見込みがないまま長期間保管されている委託事業物品については、活用方法の検討を行い、活用できるものは活用することとし、活用できないものは30年度末までに不用決定を行った上で物品管理簿から削除した。

イ 30年10月に事務連絡を発出するなどして、委託事業の執行担当課に対して、委託事業終了の際に、受託者が継続使用を希望する委託事業物品について、所有権移転を指示する通知書を速やかに受託者に送付したり、財産取得通知書を速やかに物品管理係に提出したりするなどして、必要な情報を物品管理係と共有して無償貸付等の手続を適時適切に行うよう周知徹底を図った。

ウ 30年10月に事務連絡を発出するなどして、受託者に対して、無償貸付の条件に従い、委託事業物品を善良な管理者の注意をもって適切に管理し、委託事業物品を使用する見込みがなくなった場合には委員会に対して速やかにその旨を報告するよう周知徹底を図るとともに、執行担当課において、当該報告を受けた場合には、活用方法の検討を適時適切に行うこととした。

エ 30年10月に事務連絡を発出するとともに、31年3月に委託事業物品に関するマニュアルを改定するなどして、関係者に対して、委託事業物品の構成機器ごとの更新状況や取得価格を把握して物品管理を適切に行う必要性及びその具体的な方法、物品管理の対象とすべきものの範囲、その取得価格の考え方等を周知し、同年4月に物品管理係の内部マニュアルを改定して、担当職員に対して、復興特会委託事業物品の属する会計の取扱いを周知した。

オ 30年10月に事務連絡を発出して、執行担当課に対して、受託者が無償貸付された委託事業物品を貸付けの目的以外の目的のために使用しないよう周知徹底させた。また、受託者が貸付けの目的以外の目的のために使用することを希望する場合には、その報告をさせることとした上で、執行担当課において、他の目的のために使用させることの可否等について検討を行って、収益事業等に使用させないこととしたり、必要なものについては有償貸付としたりすることとした。