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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • (第5 東日本高速道路株式会社、第6 中日本高速道路株式会社、第7 西日本高速道路株式会社)|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)―(3) 道路構造物の点検等について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置並びに表示した意見

東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社(以下、これらの会社を総称して「3会社」という。)は、管理する橋りょう、トンネル等の道路構造物(以下「構造物」という。)の点検等を各社制定の保全点検要領(以下「点検要領」という。)に基づき実施している。点検等業務のうち、現場における点検、点検等に係る情報の記録、構造物の維持管理計画等の検討案の作成については、保全点検業務を実施している株式会社ネクスコ・エンジニアリング北海道等12社(以下「エンジニアリング会社」という。)に委託しており、点検結果等に基づく維持管理計画等の策定は3会社が行っている。しかし、点検要領等に基づく近接目視等が物理的に困難な箇所(以下「点検困難箇所」という。)における点検が十分に行われていない事態、構造物の変状箇所の状況等の点検結果及び当該変状箇所の補修結果が点検管理システム等(以下「システム」という。)に適切に記録されておらず、変状原因の分析、維持管理計画等の立案等に十分活用できるものとなっていない事態及び点検結果が維持管理計画等に適切に反映されていない事態が見受けられた。

したがって、3会社のそれぞれの代表取締役社長に対して平成30年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに意見を表示した。

  • ア 点検困難箇所に係る点検においてファイバースコープ等が使用されるよう、具体的な使用方法等をマニュアル等に定めるなどして、支社及び管理事務所等に周知すること(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • イ 支社及び管理事務所等に対して指示するなどして、現在、システムに記録されていない変状状況写真や補修写真について、エンジニアリング会社が詳細点検時に撮影するなどした写真をシステムに記録させること(同法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)
  • ウ 点検要領等を改訂するなどして変状状況写真や補修写真の全てを適切にシステムに記録させることとし、さらに、エンジニアリング会社によるシステムへの記録に関する履行確認を確実に行うよう支社及び管理事務所等に周知徹底を図ること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • エ 「AA(変状が著しく、機能面への影響が非常に高いと判断され、速やかな対策が必要な場合)」と判定されている変状箇所について、定期的に変状の内容、補修等の対策に係る進捗状況等を支社から報告させるなどしてその状況を的確に把握するとともに、支社及び管理事務所等に対して指示するなどして、点検結果を維持管理計画等に適切に反映させるなど補修等の対策を的確かつ速やかに実施できる体制を整備すること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、3会社の本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、3会社の本社は、本院指摘の趣旨に沿い、30年10月に、点検要領を改正するとともに、支社及び支社を通じて管理事務所等に対して通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 点検困難箇所に係る点検において、現地の状況に応じてファイバースコープ等を使用して点検を行うことを点検要領に明示するとともに、31年4月にマニュアルを制定して、ファイバースコープ等の具体的な使用方法等を周知した。

イ システムに記録されていなかった変状状況写真や補修写真について、エンジニアリング会社が詳細点検及び補修時に撮影した写真を、30年12月までにシステムに記録させた。

ウ 変状状況写真や補修写真の全てを適切にシステムに記録させることを点検要領に明示するとともに、エンジニアリング会社との間の30年度以降の契約に係るシステムへの記録について、履行確認を確実に行うよう周知徹底した。

エ 「AA」と判定されている変状箇所等について、システムに記録されている変状の内容、補修等の対策に係る5か年分の進捗状況等を維持管理計画に記載させて、支社を通じて定期的に本社へ報告させることにより、本社においてその状況を的確に把握することとして、その維持管理計画の策定等のために管理事務所等が開催する会議に支社の担当者を出席させて指導させることにより、点検結果を維持管理計画に適切に反映させて、補修等の対策を的確かつ速やかに実施できる体制を整備した。