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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第9 日本年金機構|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 日本年金機構による地方公共団体情報システム機構に対する本人確認情報の照会に係る情報提供手数料の支払について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置

日本年金機構(以下「機構」という。)は、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)等に基づき、地方公共団体情報システム機構(以下「J―LIS」という。)に対して、年金の給付を受ける権利を有する者のうち裁定(注)を受けた者(以下「受給権者」という。)について、住民票に記載されている住所、氏名、性別、生年月日、住民票の消除等の事由(死亡等。以下「異動事由」という。)、異動事由が生じた年月日等の情報(以下「本人確認情報」という。)の照会を実施してその提供を受けており、この照会には、月次照会と年次照会がある。機構は、月次照会では、毎月、受給権者のうち本人確認情報に変更があった者について、その変更に係る本人確認情報の提供を受けることにしており、また、年次照会では、原則として年1回、死亡を確認したことにより年金の支払を保留する処理(以下「死亡保留」という。)がされた者等を除く全ての受給権者を対象として、対象者の状況について「死亡」、「不明」又は「生存」のいずれかで示した情報等の提供を受けることにしており、J―LISに対して、月次照会及び年次照会に係る情報提供手数料を支払っている。しかし、月次照会により提供を受けた本人確認情報を活用することにより、年次照会により提供を受けている「死亡」、「不明」及び「生存」の状況を把握することができ、年次照会の対象者の範囲を年金請求書を提出して新たに年金の裁定を受けた新規裁定者等に限定することができるのに、死亡保留がされた者等を除く全ての受給権者を対象者として年次照会を行い、情報提供手数料を支払っている事態が見受けられた。

したがって、機構において、受給権者の本人確認情報の照会に係る事務をより経済的かつ効率的に行うために、月次照会により提供を受ける本人確認情報を活用することにより、年次照会の対象者の範囲を新規裁定者等に限定して、情報提供手数料支払額の節減を図るよう、日本年金機構理事長に対して平成30年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。

(注)
裁定  厚生労働大臣が年金の給付を受ける権利があることを確認すること

2 当局が講じた処置

本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、月次照会により提供を受ける本人確認情報を活用することとし、31年2月から年次照会の対象者の範囲を新規裁定者等に限定して情報提供手数料支払額の節減を図る処置を講じていた。