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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第11 国立研究開発法人森林研究・整備機構|
  • 平成29年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

水源林造成事業における保育(搬出)間伐に係る収益分収対象額の算定について


平成29年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

国立研究開発法人森林研究・整備機構(以下「機構」という。)は、水源をかん養するための森林の造成に関する業務(以下「水源林造成事業」という。)の実施に当たり、植栽した造林木を育成するための保育費等の造林に要する費用を負担する者として、造林する土地の所有者(以下「造林地所有者」という。)及び造林地所有者以外の者でその土地について造林を行う者(以下「造林者」という。)と三者(造林地所有者と造林者が同一の場合がある。)で分収造林契約を締結している。各契約当事者は、造林による収益を分収する(以下「収益分収」という。)こととされており、収益分収は、造林木の売払代金から売払いに要した費用を控除した額について行うこととされている。そして、機構は、水源林造成事業において、機構のみが費用を負担する保育費により、造林木を選木して伐倒する施業に加えて、伐倒した造林木を丸太に加工する施業、伐倒した造林木を一定の箇所へ集積する施業及び丸太を林内からトラック等の車両が通行可能な作業道まで運び出し集積する施業を含めて行う間伐(以下「保育(搬出)間伐」という。)を実施し、丸太となった造林木の素材(丸太)販売を行っている。しかし、保育(搬出)間伐の作業工程のうち、丸太を林内からトラック等の車両が通行可能な作業道まで運び出し集積する工程(以下「丸太の移動等」という。)については、販売を前提にした施業であることから、保育(搬出)間伐に係る収益分収対象額の算定に当たり、丸太の移動等に係る費用(以下「丸太の移動費用」という。)は機構、造林地所有者及び造林者の三者で負担する売払いに要した費用と認められるのに、丸太の移動費用を保育費として機構のみが負担し、造林木の売払代金から控除することとされている売払いに要した費用に含めていない事態が見受けられた。

したがって、機構において、内規を改正するなどして、丸太の移動費用を保育費として負担するのではなく、収益分収対象額の算定に当たっては、機構のみが負担していた丸太の移動費用を売払いに要した費用に含めることとし、機構、造林地所有者及び造林者の三者で当該費用を負担するよう、国立研究開発法人森林研究・整備機構理事長に対して平成30年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、機構において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、31年3月に要領等を改正し、収益分収対象額の算定に当たっては、丸太の移動費用を売払いに要した費用に含めることとし、機構、造林地所有者及び造林者の三者で当該費用を負担するようにするなどの処置を講じていた。