我が国の公的年金制度は、平成27年9月までは、基礎年金を「一階部分」とし、民間企業の被用者及び公務員等についてはそれぞれ厚生年金保険及び共済年金による報酬比例の年金を基礎年金に上乗せされる「二階部分」とする「二階建ての年金制度」として運営されていたが、27年10月に、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第63号。以下「被用者年金一元化法」という。)が施行され、共済年金による二階部分のうち厚生年金保険に係る分が厚生年金保険に統一されることとなった。そして、国家公務員共済組合制度等の実施機関が保有している積立金のうち厚生年金保険に係る分については、厚生年金保険制度における積立金の運用の目的に沿って、それぞれの実施機関ごとに運用されることとなった。
また、我が国の公的年金制度は、年金給付に必要な費用を、その都度、被保険者からの保険料で賄っていく財政方式(賦課方式)を基本として運営されているが、現役世代の保険料のみで年金給付を賄うこととすると、少子高齢化に伴う保険料負担の急激な増加又は給付水準の急激な低下が避けられないことから、一定金額の積立金を保有し、その運用収入及び元本の取崩しを年金給付の財源の一部として活用することにより、将来の保険料水準や給付水準の平準化を図ることとしている。
16年に国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号)が施行され、政府は、改正後の国民年金法(昭和34年法律第141号)及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)に基づき、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに保険給付に要する費用の額その他の国民年金事業及び厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及びその後おおむね100年間の財政均衡期間における見通しを作成しなければならないこととなっている(以下、両事業の財政に係る収支の現況及び見通しの作成を「財政検証」という。)。
厚生労働大臣は、公的年金制度における積立金のうち、国民年金及び厚生年金保険に係る積立金(国家公務員共済組合等が管理する厚生年金保険に係る分を除き、年金特別会計において、それぞれの積立金として積み立てられる前の決算剰余金を含む。以下「年金積立金」という。)を管理しており、年金積立金の残高は、29年度末において、164兆1609億余円となっている。
年金特別会計の国民年金勘定(以下「特会国年勘定」という。)及び厚生年金勘定(以下「特会厚年勘定」という。)において、毎会計年度の歳入及び歳出の決算上、剰余金を生じた場合には、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号。以下「特会法」という。)に基づき、当該剰余金のうち、将来の年金給付等の財源に充てるために必要な額を積立金として積み立てることとなっている。そして、特会国年勘定及び特会厚年勘定において管理している年金積立金は、国民年金法及び厚生年金保険法に基づき、厚生労働大臣が年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund。以下「GPIF」という。)に寄託して運用することとなっている。
また、特会国年勘定及び特会厚年勘定において、年金給付等に充てるために現金を保有しているが、支払上現金に余裕がある場合には、特会法に基づき、これを財政融資資金に預託して運用している。一方、特会国年勘定及び特会厚年勘定において、支払上現金に不足がある場合には、特会法に基づき、それぞれ積立金に属する現金を繰り替えて使用することができることとなっており、両勘定では、GPIFから当該繰替使用に用いる額の寄託償還を受けるなどした歳入歳出外現金を一時的に保有している。
GPIFは、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成16年法律第105号。以下「GPIF法」という。)に基づき、年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的として、18年4月に設置されている。
GPIFの厚生年金勘定(以下「GPIF厚年勘定」という。)及び国民年金勘定(以下「GPIF国年勘定」という。)は、特会厚年勘定及び特会国年勘定から寄託されたそれぞれの年金積立金の管理に係る経理を行う勘定で、GPIF厚年勘定及びGPIF国年勘定に寄託された年金積立金は、総合勘定に繰り入れられ、総合勘定において債券、株式等により一括して運用されている。また、GPIFの毎年度の総合勘定の損益は、GPIF厚年勘定及びGPIF国年勘定から受け入れた額を基準に案分して各勘定に帰属させるなどすることとされている。
さらに、GPIF法によれば、GPIF厚年勘定及びGPIF国年勘定の積立金から厚生労働大臣が定める額を控除してなお残余がある場合は、その残余の額を翌年度の3月31日までに年金特別会計に納付しなければならないとされている。
年金積立金は、近年増加傾向にあり、29年度末における年金積立金の残高は、年金特別会計が管理している分が7兆7777億余円、GPIFが管理している分が156兆3831億余円、計164兆1609億余円となっている。
また、年金特別会計及びGPIFが管理運用する年金積立金のうち厚生年金保険に係る分に、国家公務員共済組合連合会(以下「KKR」という。)、地方公務員共済組合連合会(以下「地共連」という。)及び日本私立学校振興・共済事業団(以下「私学事業団」という。)が管理運用する積立金のうち厚生年金保険に係る分を合わせた29年度末における厚生年金保険に係る積立金の合計額は185兆7517億余円となっている。そして、そのうち年金特別会計及びGPIFが管理運用する年金積立金の厚生年金保険に係る分が154兆9034億円となっていて、83.3%を占めている。
厚生労働大臣は、財政検証の結果を踏まえて、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)に基づき、GPIFが達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定めており、この中で、実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた運用利回りをいう。以下同じ。)の目標が示されている。GPIFは、GPIF法等に基づき、中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)を作成しており、中期計画において、長期的な観点からの資産構成割合(以下「基本ポートフォリオ」という。)等を定め、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に管理運用業務を行うこととしている。そして、GPIFは、運用結果等について、GPIF法第26条の規定に基づき、毎年度、業務概況書を作成して公表している。
GPIFは、年金積立金について、基本ポートフォリオに基づき、国内外の債券、株式等に分散投資を行っている。また、25年度以降、運用の多様化を図るためにオルタナティブ投資(注1)を行ったり、29年度以降、中長期的な収益の確保のためにESG投資(注2)を行ったりするなどして投資手法の拡大を図っている。
GPIFによる年金積立金の市場運用には、年金積立金の運用を委託した機関(以下「運用受託機関」という。)に投資の判断等を一任する契約(以下「投資一任契約」という。)に基づき行う委託運用と、GPIF自らが投資の判断等を行う自家運用とがある。29年度末におけるGPIFの資産運用額156兆3831億余円のうち、委託運用に係る分は118兆6650億余円(75.8%)、自家運用に係る分は37兆7180億余円(24.1%)となっている。そして、GPIFは、特定運用信託契約(注3)により、年金積立金の管理を信託銀行に委託している(以下、年金積立金の管理を行う信託銀行を「資産管理機関」という。)。
GPIFによる自家運用には、運用収益の確保を主な目的としている国内債券のパッシブ運用(注4)のファンド(以下、パッシブ運用のファンドを「パッシブファンド」という。)、物価連動国債ファンド、財投債ファンド及びオルタナティブ投資に係るファンドがあり、また、流動性の確保を目的としている短期資産ファンド、キャッシュアウト等対応ファンド等がある。
短期資産ファンドは、流動性の確保を目的として譲渡性預金等により短期資産運用を行うもので、29年度末現在の残高は8兆5897億余円となっている。また、キャッシュアウト等対応ファンドは、将来の寄託金償還又は納付金の納付(以下、これらを「キャッシュアウト」という。)のための資金の確保を目的として、原則、キャッシュアウトが必要となる時期に対応した償還期間の国内債券を満期まで保有することにより運用を行うもので、29年度末現在の残高は14兆6572億余円となっている。
厚生年金基金は、厚生年金保険法に基づき、企業が従業員の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的として設置する認可法人であり、国に代わって厚生年金保険の給付の一部を代行して支給する(以下、当該給付の一部を「代行部分」という。)とともに、厚生年金基金の実情等に応じて独自の上乗せ給付を行うことができることとされている(注5)。しかし、バブル経済の崩壊等により、いわゆる代行割れ基金が多数存在することから、26年4月に、「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第63号。以下「25年改正法」という。)が施行され、厚生年金基金の新設を認めないこととするとともに、財務基盤が非常に健全な場合を除き、厚生年金基金の解散又は代行部分の支給義務の国への返上(以下、これらを合わせて「解散等」という。)を促進するために、解散等の際に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例や納付額の特例(注6)を適用するなどとされた。
日本銀行は、バブル経済の崩壊後の景気の悪化、長期金利の上昇等を踏まえて、11年2月から12年8月までの間にゼロ金利政策を実施し、その後、13年3月から18年3月までの間に量的緩和政策を実施するなどしている。そして、消費者物価の対前年度上昇率を2%とする物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために、25年4月に量的・質的金融緩和(注7)を導入し、その後、28年2月にマイナス金利付き量的・質的金融緩和(以下「マイナス金利政策」という。)を導入している。
これにより、金融機関等が相互の資金決済等のために日本銀行に保有している当座預金残高のうち政策金利残高(注8)に対してはマイナス0.1%の金利が適用されている。
29年10月に、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第114号。以下「28年改正法」という。)が施行され、GPIFについて、国民から一層信頼される組織体制の確立を図るために、合議制による意思決定の導入等のガバナンス改革が実施された。
本院は、23年12月に参議院から国会法(昭和22年法律第79号)第105条の規定に基づく会計検査の要請を受けて、その検査結果を24年10月に「年金積立金(厚生年金及び国民年金)の管理運用に係る契約の状況等に関する会計検査の結果について」として報告し、年金積立金の管理運用に係る業務の状況等について所見を記述している(以下、この報告を「24年報告」という。)。
そして、前記のとおり、25年改正法、被用者年金一元化法及び28年改正法が施行されたり、日本銀行において25年4月及び28年2月に、それぞれ量的・質的金融緩和及びマイナス金利政策が導入されたりなどしていて、24年報告以降、年金積立金の管理運用に係る環境は大きく変化している。
そこで、本院は、厚生労働省及びGPIFにおける24年報告の所見に対する対応に留意しつつ、年金積立金の運用状況等について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。
ア 年金積立金の運用状況等は、どのようになっているか。運用に係る基本ポートフォリオ等は、どのように策定又は変更され、運用にどのような影響・効果を及ぼしているか。
イ 厚生年金基金の解散等、低金利政策の継続及びマイナス金利政策の導入等の運用環境の変化は、年金積立金の運用にどのような影響を及ぼしているか。
ウ 委託運用及び自家運用におけるファンドの運用実績は、どのようになっているか。また、管理運用業務の委託先の評価等は適切に行われているか。
エ GPIFにおけるガバナンスは組織改編後、どのようになっているか。
厚生労働本省及びGPIFにおいて、24年度から29年度までの間の年金積立金の管理運用に係る業務を対象として、年金特別会計の決算及び26年の財政検証のデータ並びに年金積立金の管理運用方針、管理運用に係る業務委託契約書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
そして、年金積立金の運用状況等の実態を把握するために、資産管理機関である4信託銀行(注9)全てと、運用受託機関である34機関のうち運用資産額が多額となるなどしている8運用受託機関(注10)の計12法人において、当該法人が受託している年金積立金の管理運用に係る契約を対象として、運用手法、運用体制等の実態を確認するなどして会計実地検査を行った。また、GPIFが自家運用により投資しているオルタナティブ投資に係る投資信託の運用者であるニッセイアセットマネジメント株式会社の担当者から、投資信託の管理運用の実態を聴取するなどして調査した。
さらに、厚生年金保険事業の実施機関のうちKKR及び私学事業団において、積立金のうち厚生年金保険に係る分の管理運用に係る業務を対象として、業務の実態を聴取するなどして会計実地検査を行うとともに、地共連等の担当者から年金基金の管理運用の実態を聴取するなどして調査した。
(以下、各株式会社の名称中、「株式会社」は記載を省略する。)
29年度末において、年金特別会計及びGPIFが管理している年金積立金の残高は、それぞれ7兆7777億余円、156兆3831億余円、計164兆1609億余円となっている。
24年度から29年度までの間のGPIFにおける年金積立金の運用状況をみると、収益額は、株価の下落等により△5兆3098億余円となった27年度を除いて、7兆9363億余円から15兆2922億余円までの間で推移しており、収益率も、これに応じて、27年度の△3.81%を除いて、5.86%から12.27%までの間で推移していた。その結果、運用資産額は、27年度末を除いて増加しており、29年度末では156兆3831億余円となっている。
また、24年度から29年度までの間の各年度の翌年度(25年度から30年度まで)に、GPIFから年金特別会計に納付された納付金の累計額は、計7兆4869億余円となっている。
27年10月の被用者年金制度の一元化以降は、GPIF、KKR等の運用主体がそれぞれの基本ポートフォリオを定めるに当たって参酌すべきモデルポートフォリオが定められることとなった。
モデルポートフォリオの策定過程について、モデルポートフォリオに関する連絡会議の事務局を務めたGPIFは、市場への影響を考慮して、同会議の開催要綱において、同会議は非公開、資料及び議事録は公表しないことを定めたとしている。また、「積立金の管理及び運用が長期的な観点から安全かつ効率的に行われるようにするための基本的な指針」(平成26年総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省告示第1号。以下「積立金基本指針」という。)によれば、各運用主体は、財政検証が行われるなど必要があるときは、共同して、モデルポートフォリオについて検討して変更することとされているが、変更が必要となる場合の具体的な基準や手続が特に整備されていない状況となっていた。この点について、GPIFは、運用利回りが名目賃金上昇率を下回る確率、予定積立金額を下回る確率等の指標を複合的にみる必要があること、経済の動向等も含めて総合的に判断する必要があることなどから、変更が必要となる場合の具体的な基準を事前に定めることは困難であるとしている。
しかし、各運用主体が策定する基本ポートフォリオは運用成績を左右する重要な要因とされており、各運用主体が基本ポートフォリオを策定する際にモデルポートフォリオを参酌すべきとされていることに鑑みれば、モデルポートフォリオの策定過程の事後的な検証可能性が確保されることは重要であると考えられる。市場への影響については、一定期間を経過した後に公表するなどとすれば影響の度合いを抑えることができると考えられる。
厚生労働省は、26年6月に公表された26年の財政検証の結果等を踏まえて同年10月31日に第2期中期目標を変更し、GPIFに対して、年金積立金の運用目標として、長期的に実質的な運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保することを示した。そして、GPIFは、変更後の第2期中期目標を踏まえて第2期中期計画を変更し、26年10月31日に基本ポートフォリオを再度変更した。
26年10月の変更後の基本ポートフォリオにおいては、国内株式と外国株式を合わせた構成割合が24%から50%に増加するなどしており、基本ポートフォリオの期待収益率のばらつき具合であるリスク(標準偏差)が以前よりも大きくなっており、単年度での収益率の振れ幅も大きくなっているものと考えられる。
GPIFの単年度の収益額は、利息・配当金収入と価格変動による損益である実現損益及び評価損益との合計額となっており、未実現損益である評価損益が、単年度の収益額の過半を占めている。
24年度から29年度までの間における実質的な運用利回りに関して、GPIFの実績及びこれに特別会計分を含めた年金積立金全体の実績を、財政検証の前提として設定されている実質的な運用利回りと比較すると、27年度においてGPIF分では△4.31%、年金積立金全体分では△4.12%と単年度では財政検証の前提を下回ったものの、その他の年度は財政検証で前提とした実質的な運用利回りを上回っている状況となっている。
GPIFが24年度から29年度までの間に支払った管理運用手数料等の推移をみると、管理運用手数料については24年度の222億余円から29年度の487億余円に、管理運用手数料率については24年度の0.019%から29年度の0.031%に、それぞれ増加している。
そして、管理運用手数料の大部分を占める運用手数料について、資産区分別の推移をみると、国内債券以外の資産区分において増加していた。また、運用手数料率については、国内債券に比べて、国内株式、外国債券及び外国株式において高い傾向となっていた。
GPIFは、25年度に、アクティブ運用(注11)のファンド(以下「アクティブファンド」という。)の一部に実績連動報酬制を導入しており、29年度において33ファンドに実績連動報酬制を適用している。また、25年度以降、GPIFが支払うアクティブファンドに係る運用手数料全体に占める実績連動報酬制を導入したファンドに係る運用手数料(基本報酬と実績連動報酬との合計額)の割合は増加しており、29年度では64.0%となっている。
上記33ファンドのうち、超過収益を獲得できていないのにパッシブ運用を上回る報酬が支払われているものが5ファンド見受けられたが、GPIFは、30年度から、運用受託機関の目標達成への意欲をより高めて長期的に超過収益率(注12)の水準向上を図るためとして、従来設けていた報酬率の上限を撤廃し、超過収益を獲得できない場合はパッシブ運用並みの報酬となるようにした新しい実績連動報酬制を、原則として全てのアクティブファンドに適用することとしている。
GPIFは、外国債券に係る運用資産の管理について、資産管理機関であるステート・ストリート信託銀行とファンドごとに特定運用信託契約を締結している。ステート・ストリート信託銀行が、外国において有価証券の保管を業として営む金融機関であるグローバルカストディアンのA社に対して支払う外国における保管手数料(以下「カストディ費用」という。)に係る料率表は、全ての特定運用信託契約において同一となっている。また、GPIFは、毎年度実施している資産管理機関の総合評価においてカストディ費用についても評価しており、資産管理機関に対する現地ヒアリングにおいて、カストディ費用の料率の妥当性について聞き取りを行って、当該資産管理機関とグローバルカストディアンとの間で取り決められているカストディ費用の料率が最も優遇されたものであることを確認しているとしている。
一方、GPIFは、災害時の事業継続計画の観点から資産管理機関との契約について見直しを検討しており、その一環として、資産管理機関に対して、現行の特定運用信託契約の対象となっている資産区分以外に参入の意向があるかを確認したところ、B信託銀行は、29年6月に外国債券及び外国株式の管理に係る提案を行っており、このうち外国債券の管理についてはA社をグローバルカストディアンとして採用することとして提案していた。そして、B信託銀行が提案した外国債券に係るカストディ費用の料率は、GPIFがステート・ストリート信託銀行と締結している現行の外国債券等に係る特定運用信託契約に基づくカストディ費用の料率よりも低くなっていた。
この点について、GPIFは、A社がB信託銀行に提示したカストディ費用の料率については、既存の外国債券に加えて、外国株式が新規追加となることで、預かり資産が現状よりも増加することが前提となっていることを確認しているとしている。
前提となる運用資産額が異なるため、単純な比較はできないものの、運用資産額の規模等によっては、現行のカストディ費用の料率よりも低い料率が適用される可能性がある。
25年改正法の施行を受けて、厚生年金基金の解散等が増加し、解散等する厚生年金基金から特会厚年勘定への最低責任準備金の納付額は高い水準で推移している。特会厚年勘定における余裕金の状況についてみたところ、28年6月以降については増加していた。この理由について、厚生労働省は、解散等した厚生年金基金からの最低責任準備金や厚生年金保険の適用事業所の拡大による保険料収入はあらかじめ納付額や時期が定まらないが、これらの増加等の影響があるためとしている。
GPIFが流動性を確保するために保有している短期資産ファンドは、運用利回りが低く、その残高は、28年度から著しく増加していて、29年度末で8兆5919億余円となっており、これに年金特別会計分の短期資産を合わせると14兆0843億余円(年金積立金全体の8.70%)となっている。このようにGPIFの短期資産ファンドの額が増加したのは、解散等した厚生年金基金から最低責任準備金が年金特別会計に納付されるなどしたことにより、短期的に特会厚年勘定の収支が改善したことから、GPIFからのキャッシュアウトが必要なくなり、キャッシュアウト等対応ファンドの債券の満期償還金を国内債券等に再投資できるようになったものの、GPIFがマイナス金利政策下では国内債券への配分が困難であるなどと判断したため、当該償還金が実際には再投資されずに、短期資産ファンドとして保有されていることによると考えられる。
GPIFが将来のキャッシュアウトに備えて保有しているキャッシュアウト等対応ファンドは、原則として、資金が必要となる時期に対応した償還期間の国内債券を満期まで保有することにより運用している(29年度末の残高14兆6572億余円)。しかし、キャッシュアウト等対応ファンドについては、上記aのとおり、特会厚年勘定の収支が短期的に改善したため、GPIFが想定していた27、28両年度中のキャッシュアウトが必要なくなるなど、キャッシュアウトが必要な時期が26年度以降の10年間程度との見込みと異なる状況となるなどしており、また、将来のキャッシュアウトに使用される見込みの少ない残存期間の長い国債を多く保有している状況となっている。この点について、GPIFは、キャッシュアウト等対応ファンドを現段階で機動的に見直したとしても、31年に行われる次期財政検証でキャッシュアウトの想定が大きく変わった場合には、債券の不必要な取引による費用で損失が発生するため、機動的に見直すことによる便益はほとんどないとしている。
GPIFによる年金積立金の運用には、委託運用と自家運用とがある。29年度末におけるGPIFの運用資産額156兆3831億余円の内訳をみると、オルタナティブ投資分を除いて、委託運用分92ファンド、118兆6056億余円、自家運用分7ファンド、37兆5631億余円となっている。また、オルタナティブ投資分については、委託運用分3ファンド、581億余円、自家運用分2ファンド、1548億余円となっている。
上記の委託運用分92ファンドのうち、パッシブファンドは38ファンド、93兆4460億余円、アクティブファンドは54ファンド、25兆1595億余円となっている。
アクティブファンド54ファンドのうち、29年度末時点で3年以上の運用実績がある39ファンドの超過収益率の確保の状況についてみると、25年度から29年度までの平均年率(最長5年)及び27年度から29年度までの平均年率(3年)で超過収益率を確保していたのは、それぞれ計30ファンド、計32ファンドとなっていた。また、27年度から29年度までの3期間で1期も超過収益率を確保できなかったファンドが1ファンド(外国株式)あった。
また、パッシブファンド38ファンドのうち、29年度末時点で3年以上の運用実績がある26ファンドの超過収益率の確保の状況についてみると、25年度から29年度までの平均年率(最長5年)及び27年度から29年度までの平均年率(3年)で超過収益率を確保していたのは、それぞれ計17ファンド、計20ファンドとなっていた。
さらに、GPIFは、先駆的な取組の一つとして、29年度からESG指数(注14)に基づく国内株式のパッシブ運用を開始している(29年度末時価総額1兆5379億余円)。GPIFは、ESG投資について、投資期間が長期にわたるほど、リスク調整後のリターンを改善する効果があるとしており、中長期的に投資の効果を確認しながら、新たなESG指数の活用やアクティブ運用なども含めてESG投資を拡大する方針であるとしている。
GPIFは、年金積立金のより効率的な運用を図るために、運用受託機関の構成やファンドの資金配分が最適なものとなるよう、運用受託機関が運用する既存のファンドについては、毎年度総合評価を実施し、運用受託機関が提案する新規のファンドについては、申込期限を設定しない公募(マネジャー・エントリー制)により公募した上で、総合評価を行うなどして、運用受託機関の見直しを行っている。
現在の基本ポートフォリオは、国内株式と外国株式を合わせた構成割合が50%となっており、予想される期待収益率のばらつき具合(標準偏差)によって表されるリスクが増加している。そして、実際の収益の状況についてみると、委託運用のアクティブファンドのうち、25年度から29年度までの平均年率(最長5年)等の基準でみて超過収益率を確保していなかったのは、主として国内株式ファンドと外国株式ファンドとなっている。また、委託運用のアクティブファンドのうち、国内株式ファンドと外国株式ファンドの時間加重収益率(注15)及び超過収益率のばらつきが、国内債券及び外国債券よりも大きくなっている。同様に、委託運用のパッシブファンドにおいても、超過収益率を確保していなかったのは株式のファンドが多い状況となっている。
GPIFは、29年10月以前は運用受託機関に係る総合評価を定性評価及び定量評価により行っていたが、29年11月以降の定性評価においては、従来の定量評価の指標となっていた超過収益率等を定性評価を行う際の参考指標として評価することとしている。
GPIFは、上記総合評価の方法の変更について、将来の超過収益獲得可能性を高めるために実施したとしているが、変更したことによる影響等についてはまだ分析できていないとしている。
自家運用における国内債券パッシブ運用について、業務概況書において公表された時間加重収益率を基に、ベンチマークが同一の指標となっている委託運用分と比較すると、超過収益率に大きな差はない状況となっているが、GPIFが開示している収益率は、自家運用分については証券貸付運用の収益を含めて算定されている一方、委託運用分については、証券貸付運用の収益を含まないことから、両者の運用実績を厳密に比較することは困難な状況となっている。
GPIFは、26年2月からオルタナティブ投資を実施し、第3期中期計画において、オルタナティブ資産を年金積立金全体の5%を上限とすることにしており、29年度末における時価総額は2130億余円(オルタナティブ投資に係る資産の年金積立金全体に占める割合0.13%)となっている。また、投資信託受益証券を購入する形で自家運用によりオルタナティブ投資を行っている2ファンドに係る収益については、運用開始後は内部収益率(注16)がマイナスで推移しているが、1ファンドは29年度に収益が生じている状況となっている。この点について、GPIFは、投資の開始前に運用受託者と合意した内部収益率の水準と比較して、おおむね想定した収益が得られているとしている。また、オルタナティブ投資については、通常先行して費用が発生し、当初数年は関連する費用の支払等によりマイナスの収益が続くが、その後に分配が始まって収益が改善するといういわゆるJカーブ効果があるとしている。
また、投資信託を活用する仕組みは機関投資家によるオルタナティブ投資としては特殊な方法であり、投資信託からファンド・オブ・ファンズ(注17)に投資する場合には高額な手数料が生じているなどの課題があるとされている。
さらに、オルタナティブ投資に係る費用には、自家運用及び委託運用について資産管理機関に対して支払っている管理手数料と委託運用について運用受託機関に対して支払っている運用手数料があるが、GPIFは、管理手数料については、自家運用分及び委託運用分に係る信託財産の合計額に対して管理手数料率を乗じて算出されることから、自家運用分と委託運用分を分離して算出することができないとしている。また、オルタナティブ投資に係る運用手数料について、GPIFは、委託運用を29年度から開始しており、29年度にはまだ運用手数料の支払が発生していないとしている。
GPIFは、分散投資を推進するために、オルタナティブ投資を今後も拡大させていく方針としており、現在選定中の海外不動産等に係る運用受託機関を通じた投資を実行に移すとともに、29年9月に年金積立金管理運用独立行政法人法施行令の一部を改正する政令(平成29年政令第244号)が施行されたことにより可能となった投資事業有限責任組合(LPS)による方式についても、リスク管理やオペレーションの体制整備を行い、投資の検討を進めていくとしている。
GPIFは、業務概況書において、29年度における管理運用手数料487億余円を開示している。しかし、この金額には、資産管理機関が管理する信託財産から引き去られているカストディ費用等81億余円が含められておらず、GPIFが運用受託機関及び資産管理機関に対して実質的に負担している費用は計568億余円(運用資産額に対する費用の割合0.036%)となっていた。上記のカストディ費用等の金額を業務概況書において開示していない理由について、GPIFは、投資一任契約に係る運用受託機関への運用手数料及び特定運用信託契約に係る資産管理機関への管理手数料については、GPIFが直接契約している相手方に対して支払っていることから、管理運用手数料として開示しているが、カストディ費用等はGPIFが直接契約して支払っているものではないため開示していないとしている。しかし、信託財産から引き去られるカストディ費用等についても開示することにより、管理運用に係る全ての費用が明らかになり、GPIFが行う年金積立金の管理運用に係る透明性の向上に資すると考えられる。
また、GPIFは、証券貸付運用に係る費用のうち、外国債券及び外国株式の委託運用分について、GPIFが直接契約を締結していないとして、業務概況書等において開示していなかった。さらに、国内債券の自家運用分について、業務概況書において他の管理手数料に含めて開示しており、他の管理手数料と分離して開示していなかった。しかし、これらの費用についても開示することにより、GPIFが行う年金積立金の管理運用に係る透明性の向上が更に図られると考えられる。
さらに、オルタナティブ投資に係る費用のうち、管理手数料について、GPIFは、業務概況書において他の管理手数料と分離して開示していなかった。この点について、GPIFは、資産別ではなく支払先別に管理手数料を集計して開示していることから、オルタナティブ投資に係る管理手数料について、オルタナティブ投資に係る資産管理機関が他に管理している外国債券等に係る管理手数料と合わせて開示していたとしている。また、運用手数料について、GPIFは、委託運用を29年度から開始しており、29年度にはまだ運用手数料の支払が発生していないことから、業務概況書等において開示していないとしている。しかし、GPIFは、オルタナティブ投資について、運用の効率性の向上等の効果が期待できるとし、分散投資を推進するために今後も拡大させていく方針としていることから、オルタナティブ投資に係る費用を明らかにすることは、GPIFが行う年金積立金の管理運用に係る透明性の向上に資すると考えられる。
GPIFが27年度の業務概況書にリスク情報として記載したVaR(注18)及びcVaR(注19)は、各資産区分の日次ベンチマークを基データとして、保有期間1年、観測期間13年1月以降、信頼水準95%という前提(観測期間には20年のリーマンショック以降の金融危機等が含まれている。)でオルタナティブ資産を除く伝統的資産を対象に算出されたものであり、両指標の値は、24年度以降増加傾向となっていた。この理由について、GPIFは、26年10月の基本ポートフォリオの変更に伴い、主に価格変動の度合いの高い株式保有の割合が増加したことによるものであるとしている。
一方、GPIFが29年度の業務概況書において記載したVaRは、上記の27年度のものとは異なり、GPIFが実際に保有している資産のデータを基に、保有期間1年、観測期間2年、信頼水準84%という前提で算出されており、リスク量は損失額ではなく資産額に対する割合(単位:%)で表現されている。また、GPIFは、第3回経営委員会(29年11月)において、上記29年度の業務概況書に記載されたVaRの値が減少傾向にあるのは、直近のデータを使用して計算しているためではないかとの意見があったことなどを踏まえて、観測期間を5年、信頼水準を95%としたVaRの値についても算出しており、当該VaR等の推移をみると、29年度中を通じて増加傾向となっていた。
また、GPIFは、価格変動等によりある資産区分の構成割合が基本ポートフォリオのかい離許容幅に抵触した場合、現行のルールでは、かい離許容幅の内側に戻す方向で資産の入替えを行う必要があるとしている。
28年改正法が29年10月に施行され、従来の運用委員会に代わって経営委員会が設置されて、基本ポートフォリオを含む中期計画の作成又は変更等の重要事項等の意思決定を行うこととされた。これにより、GPIFのガバナンス体制は、理事長による独任制から経営委員会による合議制へと転換が図られた。また、経営委員会は、執行部の監督を行うこととされ、意思決定及び監督と執行が分離されることになった。そして、理事長は、経営委員会の定めるところに従って、GPIFの業務を総理することとされた。また、監事に代わって監査委員会が設置され、経営委員会とは独立した立場、権限により経営委員会及び執行部の監査・監視を行うこととされた。
モデルポートフォリオの策定過程について、モデルポートフォリオに関する連絡会議の事務局を務めたGPIFは、市場への影響を考慮して、同会議の開催要綱において、同会議は非公開、資料及び議事録は公表しないことを定めたとしている。また、積立金基本指針によれば、各運用主体は、財政検証が行われるなど必要があるときは、共同して、モデルポートフォリオについて検討して変更することとされているが、変更が必要となる場合の具体的な手続が特に整備されていない状況となっていた。
29年度において実績連動報酬制が適用されている33ファンドのうち、超過収益を獲得できていないのにパッシブ運用を上回る報酬が支払われているものが5ファンド見受けられたが、GPIFは、30年度から、従来設けていた報酬率の上限を撤廃し、超過収益を獲得できない場合はパッシブ運用並みの報酬となるようにした新しい実績連動報酬制を、原則として全てのアクティブファンドに適用することとしている。
GPIFは、ステート・ストリート信託銀行に対する現地ヒアリングにおいて、カストディ費用の料率が最も優遇されたものであることを確認しているとしている。
一方、GPIFが資産管理機関との契約の見直しを検討する一環としてB信託銀行から提案を受けた外国債券に係るカストディ費用の料率は、現行のステート・ストリート信託銀行の料率よりも低くなっていた。前提となる運用資産額が異なるため、単純な比較はできないものの、運用資産額の規模等によっては、現行のカストディ費用の料率よりも低い料率が適用される可能性がある。
特会厚年勘定における余裕金は、28年6月以降については増加していた。
GPIFが流動性を確保するために保有している短期資産ファンドの残高は、28年度から著しく増加していた。
キャッシュアウト等対応ファンドについては、キャッシュアウトが必要な時期が26年度以降の10年間程度との見込みと異なる状況となるなどしており、また、将来のキャッシュアウトに使用される見込みの少ない残存期間の長い国債を多く保有している状況となっている。
GPIFは、29年度からESG指数に基づく国内株式のパッシブ運用を開始しており、中長期的に投資の効果を確認しながら、新たなESG指数の活用やアクティブ運用なども含めてESG投資を拡大する方針であるとしている。
GPIFは、運用受託機関が運用する既存のファンドについては、毎年度総合評価を実施して見直しを行っている。各ファンドの実際の収益の状況についてみると、委託運用のアクティブファンドのうち、25年度から29年度までの平均年率(最長5年)等の基準でみて超過収益率を確保していなかったのは、主として国内株式ファンドと外国株式ファンドとなっている。
GPIFは、29年11月以降の定性評価においては、従来の定量評価の指標となっていた超過収益率等を定性評価を行う際の参考指標として評価することとしている。
GPIFが自家運用における国内債券パッシブ運用について開示している収益率は、証券貸付運用の収益を含めて算定されている一方、委託運用分については、証券貸付運用の収益を含まないことから、両者の運用実績を厳密に比較することは困難な状況となっている。
GPIFは、26年2月からオルタナティブ投資を実施しているが、投資信託受益証券を購入する形で自家運用によりオルタナティブ投資を行っている2ファンドに係る収益については、運用開始後は内部収益率がマイナスで推移しているが、1ファンドは29年度に収益が生じている状況となっている。
GPIFは、業務概況書において、直接契約している運用受託機関及び資産管理機関に対して支払った管理運用手数料について開示しているが、資産管理機関が管理する信託財産から引き去られているカストディ費用等については開示していなかった。
また、GPIFは、証券貸付運用に係る費用のうち、外国債券及び外国株式の委託運用分について、GPIFが直接契約を締結していないとして、業務概況書等において開示していなかった。そして、国内債券の自家運用分について、業務概況書において他の管理手数料に含めて開示しており、他の管理手数料と分離して開示していなかった。
さらに、オルタナティブ投資に係る管理手数料について、GPIFは、業務概況書において他の管理手数料と分離して開示していなかった。
GPIFは、29年度の業務概況書において、リスク情報として、GPIFが実際に保有している資産のデータを基に、保有期間1年、観測期間2年、信頼水準84%という前提で算出したVaRを記載している。
また、GPIFは、価格変動等によりある資産区分の構成割合が基本ポートフォリオのかい離許容幅に抵触した場合、現行のルールでは、かい離許容幅の内側に戻す方向で資産の入替えを行う必要があるとしている。
公的年金制度は、国民全体の連帯による世代間扶養の仕組みによって終身にわたる確実な所得保障を行い、国民の老後等の生活設計の柱としての役割を果たすものである。具体的には、年金給付に必要な費用を、その都度、被保険者からの保険料で賄っていく財政方式である賦課方式を基本としつつ、一定金額の年金積立金を保有し、その運用収入及び元本の取崩しを年金給付の財源の一部として活用することにより、将来の保険料水準や給付水準の平準化を図ることとしている。
29年度末における年金積立金の残高が164兆1609億余円に上っており、基本ポートフォリオの変更もあって、期待収益率のばらつき具合であるリスク(標準偏差)が大きくなるなどしていることから、年金積立金の管理運用については、年金積立金が国民から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の年金給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら被保険者である国民の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、公的年金制度の運営の安定に資することが、従来にも増して強く求められている。また、GPIFは、業務運営の財源に年金積立金の運用益等を充てていることから、その業務運営について規律の確保、透明性の向上及び経費の節減がより強く求められるものとなっており、ガバナンスの強化も図られている。
ついては、厚生労働省においては、次の各点に、また、GPIFにおいては、イ(ア)を除く各点にそれぞれ留意することとし、もって年金積立金の適切な管理運用に努める必要があると認められる。
本院としては、今後とも、年金積立金の管理運用が運用環境の変化等に即して適切に実施されているかなどについて、多角的な観点から引き続き検査していくこととする。