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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 総務省|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 地域経済循環創造事業交付金事業の効果の発現状況について


平成30年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

総務省は、地域経済循環の創造を目的として、平成24年度から地域経済循環創造事業交付金事業(以下「交付金事業」という。)を実施している。交付金事業は、地方公共団体が、地域金融機関から融資を受けて事業化に取り組む民間事業者等(以下「地域事業者」という。)に、事業化段階で必要となる経費の助成を行う場合に、国が、その実施に要する経費に対して地方公共団体へ地域経済循環創造事業交付金を交付するものである。地域経済循環創造事業交付金交付要綱等によれば、交付金事業は、原則として、事業に係る経常支出において、地域の人材及び資源を活用することとされており、地方公共団体は、地域における経済循環を創造する際の中心的な役割が期待されるとして、地域金融機関等と連携して事業の立ち上げ及び継続について十分に支援することなどとされている。しかし、総務省において、地方公共団体に対して、地域事業者、地域金融機関等の関係者との連携を密にさせて交付金事業の事業効果等に係る定期的な検証を実施させていなかったり、地域の人材及び資源を十分に活用しておらず、交付金事業の事業効果が十分に発現していない事業について、具体的な改善策等を検討させていなかったりしている事態が見受けられた。また、販路や地域の人材、資源の確保の収支計画の達成に重要な要素等について、地方公共団体に対して、地域事業者、地域金融機関等の関係者と綿密に検討させた上で、その結果を地域経済循環創造事業交付金実施計画書(以下「事業計画書」という。)に反映させていない事態が見受けられた。

したがって、総務大臣に対して令和元年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

  • ア 既存の交付金事業の実施に当たり、地方公共団体に対して、事業効果を把握した上で事業実施の参考となる情報を提供するなどして、地域事業者、地域金融機関等の関係者と交付金事業の状況について幅広く共有・協議する場を設けさせて、より一層関係者との連携を密にさせて交付金事業の事業効果等に係る定期的な検証を実施させることとしたり、売上高が低調となっているなどのため地域の人材及び資源を十分に活用しておらず、交付金事業の事業効果が十分に発現していない事業がある場合には、地方公共団体に対して、地域事業者、地域金融機関等の関係者と具体的な改善策等を検討させたりすること
  • イ 今後の交付金事業の実施に当たり、販路や地域の人材、資源の確保の収支計画の達成に重要な要素や、事業に内在するリスクとその回避策について、地方公共団体に対して、地域事業者、地域金融機関等の関係者と綿密に検討させた上で、その結果を事業計画書に反映させるなどの方策を検討すること

2 当局が講じた処置

本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 地方公共団体に対して、元年11月及び2年6月に事務連絡を発出するなどして、既存の交付金事業の実施に当たり、優良な事例のほか、事業計画と比べて低調となっている事例の特徴や要因を分析するなどした分析調査報告書等を事業実施の参考となる情報として提供するとともに、地域事業者、地域金融機関等の関係者と交付金事業の事業効果等に係る定期的な検証を実施することを周知した。

そして、2年7月に、全事業を対象として毎年実施しているフォローアップ調査の調査票等の様式を改正するなどして、上記の定期的な検証について同調査票等により直近1年以内の実施状況等を確認するとともに、売上高、地域の人材の活用に係る経費及び地域の資源の活用に係る経費の実績が収支計画を大きく下回る事業について、地域事業者、地域金融機関等の関係者と情報を共有して原因分析等を行った上で具体的な改善策等を策定の上、同調査票等に記載させることとした。

イ 地方公共団体に対して、元年11月に事務連絡を発出するなどして、今後の交付金事業の実施に当たり、事業計画書の作成に当たっては、販路や地域の人材、資源の確保の収支計画の達成に重要な要素や、事業に内在するリスクとその回避策について、地域事業者、地域金融機関等の関係者と事前に綿密に検討することを周知するとともに、当該検討結果を事業計画書に反映させるなどの方策を検討した。その結果、2年3月に事業計画書の様式を改正して、同年4月以降に交付決定される事業から、上記の検討結果を記載させることとした。