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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 外務省|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 無償資金協力(経済社会開発計画)における贈与資金の効率的な活用について


平成30年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置及び表示した意見

外務省は、貧困削減を含む経済や社会の開発に取り組む事業(以下「事業」という。)を実施する開発途上にある国及び地域(以下「開発途上国」という。)に対し、事業に必要な資機材等の調達のための資金の贈与を行う無償資金協力(経済社会開発計画)を実施している。そして、外務省は、事業の実施状況についてモニタリングを行い、進捗が低調であるなどの場合には援助の相手となる開発途上国(以下「相手国」という。)に対して必要な働きかけを行うことになっている。しかし、外務省において、相手国に対して事業の進捗に向けた効果的な働きかけを十分に行っていなかったことなどから、調達代理契約の締結等が遅延していて贈与資金の全額が相手国名義の口座(以下「相手国口座」という。)に保有されたままとなっていたり、交換公文締結から長期間が経過しているのに資機材等の調達契約が締結されていないなど事業の進捗が低調で贈与資金の50%以上が調達代理機関の口座(以下「調達代理口座」という。)に保有されたままとなっていたりしていて、贈与資金が効率的に活用されていない事態が見受けられた。

したがって、外務大臣に対して令和元年10月に、次のとおり改善の処置を要求し及び意見を表示した。

  • ア 事業のモニタリングの実施に当たり、進捗が低調で長期間にわたり贈与資金が相手国口座や調達代理口座に保有されたままとなっている事業又はそのおそれがあると認められる事業を把握した場合において、相手国に対して事業の進捗に向けた効果的な働きかけを行うことができるよう取組方針を明確に定めるとともに、必要に応じて、相手国との間で、贈与資金の返還の可能性を含めた協議を行うことができるよう贈与資金の取扱いに係る対応について定めて、これらを在外公館に通知すること(会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)
  • イ 調達代理契約の締結等が遅延していて贈与資金の全額が相手国口座に保有されたままとなっている3事業及び交換公文締結から長期間が経過しているのに進捗が低調で贈与資金の50%以上が調達代理口座に保有されたままとなっている12事業について、アの通知に基づいて、相手国に対する事業の進捗に向けた効果的な働きかけや、必要に応じて、相手国との間で贈与資金の返還の可能性を含めた協議を行うこと(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、外務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、外務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 外務本省は、2年2月に、事業のモニタリングの実施に当たり、進捗が低調で長期間にわたり贈与資金が相手国口座や調達代理口座に保有されたままとなっている事業又はそのおそれがあると認められる事業を把握した場合において、相手国に対して事業の進捗に向けた効果的な働きかけを行うことやその具体的な方法、必要に応じて贈与資金の返還の可能性を含めた検討を行い相手国との間で対応を協議することなどを示した取組方針を定めて、在外公館に通知した。

イ 外務本省及び在外公館は、調達代理契約の締結等が遅延していて贈与資金の全額が相手国口座に保有されたままとなっている3事業及び交換公文締結から長期間が経過しているのに進捗が低調で贈与資金の50%以上が調達代理口座に保有されたままとなっている12事業について、アの通知に基づいて、相手国に対して贈与資金の返還の可能性にも言及しつつ事業の進捗に向けた働きかけを行うなどした。その結果、調達代理契約が締結されたり、資機材等の調達契約が締結されたりするなど、それぞれの相手国において事業が進捗している。