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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 障害者に係る就労移行支援事業の給付費の算定について


平成30年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

厚生労働省は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号)等に基づき、就労を希望する障害者に対して提供された就労移行支援に要した費用について、市町村が支弁した訓練等給付費の100分の50を負担している。そして、就労移行支援については、就労移行支援に係る指定障害福祉サービス事業所において、利用者を通所させて就労移行支援を提供した場合に就労移行支援サービス費として所定の単位数を算定することとなっており、利用者が就職した日の前日まで算定可能となっている。また、平成29年度までは、就労定着者の割合等が所定の要件を満たす場合には、就労定着支援体制加算(26年度までは就労移行支援体制加算。以下同じ。)として基本報酬の単位数に所定の単位数を加算することができることになっており、30年度の報酬改定により就労定着支援体制加算は廃止されたが、その算定の仕組みが基本報酬に組み込まれている。しかし、適正な就労定着の状況に基づかずに就労定着支援体制加算を算定している事態及び利用者が就職した後も就労移行支援サービス費を算定している事態が見受けられた。

したがって、厚生労働大臣に対して令和元年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

  • ア 36指定障害福祉サービス事業者等(以下、指定障害福祉サービス事業者等を「事業者」という。)の37事業所に対して都道府県等を通じるなどして速やかに過大に算定されていた訓練等給付費の返還手続を行わせること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)
  • イ 都道府県等に対して、基本報酬の届出の内容を確認するために届出の際に事業者に提出を求めるべき根拠資料を明確に示すなどした上で、届出の内容の確認を適切に行うよう周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • ウ 市町村に対して、利用者が就職した後は引き続き就労移行支援サービス費を算定できない旨を都道府県を通じて明確に周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • エ 事業者に対して、基本報酬の届出を就労定着の実績に応じて適切に行うこと、利用者が就職した後に引き続き就労移行支援サービス費を算定できないこと及び利用者が就職した場合に市町村に対して適時に報告することを都道府県等を通じて周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 2年8月までに、36事業者の37事業所に対して、過大に算定されていた訓練等給付費の返還手続を行わせた。

イ 元年11月に都道府県等に対して通知を発するなどして、基本報酬の届出の際に事業者に提出を求めるべき根拠資料として雇用契約書等を例示するなどした上で、届出の内容の確認を適切に行うよう周知徹底した。

ウ イの通知等により、利用者が就職した後は引き続き就労移行支援サービス費を算定できない旨を明示した上で、市町村に対して、都道府県を通じて周知徹底した。

エ イの通知等により、事業者に対して、基本報酬の届出を就労定着の実績に応じて適切に行うこと、利用者が就職した後に引き続き就労移行支援サービス費を算定できないこと及び利用者が就職した場合に市町村に対して適時に報告することを都道府県等を通じて周知徹底した。