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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

独立行政法人中小企業基盤整備機構が保有している第2種信用基金における政府出資金の規模等について


(平成30年度決算検査報告2か所参照 リンク10420 20631

1 本院が表示した意見

独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、産業基盤整備基金から承継した債務保証業務のうち、第2種信用基金により実施する債務保証業務のための原資として政府出資金を受けるなどしている。そして、経済産業省は、新たな債務保証制度が創設される際等に、機構が第2種信用基金により債務保証業務を実施するために必要となる政府出資金の額を算定しており、平成29年度末時点において、必要となる政府出資金の額を375億4874万余円と算定し、機構は同額を保有している。しかし、債務保証の利用が極めて低調となっているなどしていて、第2種信用基金における政府出資金が有効に活用されていない事態が見受けられた。

したがって、経済産業大臣及び独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長に対して令和元年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり意見を表示した。

  • ア 経済産業省において、過年度の債務保証の利用実績、保証債務損失引当金の引当率、業務の安定性等を考慮するなどして真に必要となる政府出資金の額を検討し、必要額を超えて保有されていると認められる政府出資金に係る資産については、機構において、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)に基づき、不要財産として速やかに国庫に納付すること
  • イ 経済産業省及び機構において、今後、同様の事態が生じないよう、債務保証の利用実績、保証債務損失引当金の引当率等の情報を十分に共有するなどして、真に必要となる政府出資金の額を適時適切に検討し、必要額を超えて保有されていると認められる政府出資金に係る資産を不要財産として速やかに国庫に納付することができる体制を整備すること

2 当局が講じた処置

本院は、経済産業本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、経済産業省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 経済産業省は、過年度の債務保証の利用実績、保証債務損失引当金の引当率、業務の安定性等を考慮するなどして、平成30年度以降に新たに追加された業務を含めた債務保証業務を実施するために真に必要となる政府出資金の額を検討し、その結果を踏まえて、機構は、必要額を超えて保有されていると認められた政府出資金165億1721万余円に係る資産について国庫に納付することとした。そして、現金及び預金で保有している137億円については、通則法に基づき、令和元年12月に、財務大臣及び経済産業大臣に対して不要財産の国庫納付に係る通知を行い、2年2月に国庫に納付した。また、残りの満期保有目的債券で保有している28億1721万余円については、同年10月に満期日が到来する債券の償還後、通則法に基づき、財務大臣及び経済産業大臣に対して不要財産の国庫納付に係る通知を行い、速やかに国庫に納付することとした。

イ 経済産業省及び機構は、今後、同様の事態が生じないよう、2年3月に債務保証制度に係る検討会を設置し、債務保証の利用実績、保証債務損失引当金の引当率等の情報を十分に共有するなどして、真に必要となる政府出資金の額を適時適切に検討し、必要額を超えて保有されていると認められる政府出資金に係る資産を不要財産として速やかに国庫に納付することができる体制を整備した。