国土交通省は、国が実施する直轄事業又は地方公共団体が実施する交付金事業として、道路の陥没の原因となる路面下の空洞を早期に発見するための路面下空洞調査業務(以下「調査業務」という。)を実施している。一方、道路の路面下には、地方公共団体や民間企業等が道路管理者の許可を受けて上水道管、下水道管、ガス管等(以下「路面下占用物件」といい、路面下占用物件を設置している地方公共団体や民間企業等を「占用企業者」という。)が多数埋設されていて、路面下占用物件の破損等が原因で路面下に空洞が発生するなどしていることから、国土交通省は、占用企業者が路面下占用物件を常時良好な状態に保つように管理して道路の構造又は交通に支障を及ぼさないよう努めなければならないことなどを占用許可の条件としている。しかし、調査業務は占用許可の条件の適切な履行に資することとなるのに、占用企業者に、調査業務に要した費用について応分の負担を求めていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、調査業務に要した費用について、占用企業者に応分の負担を求めるための指針等を整備して、これを地方整備局ごとに設置されている技術事務所、北海道開発局及び沖縄総合事務局並びに道路の占用許可を行っている国道事務所等に対して周知することにより、国道事務所等が指針等に基づき関係者との合意形成を図り、占用企業者に応分の負担を求めるよう、また、地方公共団体に対しても同様な助言をするよう、国土交通大臣に対して平成30年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、既に負担を求めている国道事務所での事例等を参考に、引き続き、占用企業者等の関係者と協議するなどして、調査業務に要した費用について占用企業者に応分の負担を求めるための指針等の整備に向けた検討を行っている。