ページトップ
  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 国管理空港の土地等に係る行政財産の使用料の算定について


平成30年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置

国土交通省は、国管理空港の土地等の行政財産について東京、大阪両航空局(以下、両局を合わせて「地方航空局」という。)が使用許可を行う場合(以下、使用許可を行う者を「使用許可者」という。)の使用料について、不動産鑑定評価会社(以下「鑑定会社」という。)等に使用料に関する調査(以下「使用料調査」という。)及び使用料の変動率を求める調査(以下「変動率調査」という。)を委託するなどして算定している。そして、使用料の算定に当たり、旅客ターミナルビル事業、貨物ターミナルビル事業及び駐車場事業(以下「3事業」という。)については事業ごとに収益性を確認できることから、これらの純収益の額に使用許可者に配分する純収益の割合(以下「使用許可者への配分率」という。)を乗ずるなどして算出した収益賃料等を用いている。しかし、駐車場事業とは別の事業に要した費用を駐車場事業に要した費用に含めて駐車場事業から生ずる純収益を算出したり、使用許可者と使用許可を受けて駐車場等の施設を運営する者(以下「事業者」という。)とで異なる方法で算出した建物等に帰属する純収益(以下「建物等帰属純収益」という。)による比率に基づいて3事業に係る純収益の使用許可者への配分率を算出したりしていることにより、使用料が過小に算定されている事態が見受けられた。

したがって、国土交通大臣に対して令和元年10月に、会計検査院法第34条の規定により次のとおり是正改善の処置を求めた。

  • ア 元年度に駐車場事業に供されている国管理空港の土地等に係る行政財産の使用許可において、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含めて駐車場事業から生ずる純収益を算出して使用料を算定しているものについて、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含めないこととして、元年度に係る使用料の改定を行うこと
  • イ 国土交通本省が使用料調査を鑑定会社等に委託する際に、駐車場事業から生ずる純収益を算出するに当たり、駐車場事業とは別の事業に要した費用を駐車場事業に要した費用に含めないことを契約の仕様書に明記するとともに、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含まない営業損益等に関する資料を鑑定会社等に交付すること
  • ウ 3事業から生ずる純収益の使用許可者への配分率の算出について、使用許可者及び事業者の建物等帰属純収益を比較可能な方法により算出するための検討を行い、国土交通本省が使用料調査を鑑定会社等に委託する際に、その結果に基づく適切な使用許可者への配分率の算出方法を契約の仕様書に明記すること
  • エ 地方航空局が変動率調査を鑑定会社等に委託する際に、イ及びウと同様の取扱いとするよう、地方航空局へ通知すること

2 当局の処置状況

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 元年度に駐車場事業に供されている国管理空港の土地等に係る行政財産の使用許可において、2年3月に元年度に係る使用料の改定を行って、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含めて駐車場事業から生ずる純収益を算出して使用料を算定していた18件について、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含めないこととした。

イ 鑑定会社等に使用料調査を委託する際の仕様書において、駐車場事業から生ずる純収益を算出するに当たり、駐車場事業とは別の事業に要した費用を駐車場事業に要した費用に含めないことを明記するとともに、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含まない営業損益等に関する資料を当該鑑定会社等に交付することとした。そして、上記を踏まえて元年12月に使用料調査を委託した。

ウ 3事業から生ずる純収益の使用許可者への配分率の算出方法について、2年1月、使用許可者及び事業者の建物等帰属純収益を比較可能な方法により算出するために、不動産鑑定士等により構成される有識者委員会を新たに設け、同年3月に同委員会から提言を受けるなどして検討し、建物等の取得価格を用いて使用許可者及び事業者双方の建物等帰属純収益を算出することとした。

エ 地方航空局が変動率調査を鑑定会社等に委託する際に、イと同様の取扱いとなるよう駐車場事業から生ずる純収益を算出するに当たり、駐車場事業とは別の事業に要した費用を駐車場事業に要した費用に含めないことを仕様書に明記するとともに、駐車場事業とは別の事業に要した費用を含まない営業損益等に関する資料を鑑定会社等に交付するよう、2年6月に地方航空局に通知した。

一方、国土交通省は、ウの検討の結果を踏まえて、今後、建物等の取得価格を用いて使用許可者及び事業者双方の建物等帰属純収益を算出することを明記した仕様書を作成するなどした上で、当該仕様書により使用料調査を実施することとしている。そして、エの通知に加えて、上記の使用料調査が終了した後、地方航空局が変動率調査を鑑定会社等に委託する際に上記の内容を仕様書に明記するよう、地方航空局に通知することとしている。