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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • (第2 内閣府(内閣府本府)、第4 総務省)|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

中心市街地活性化のために実施するソフト事業を対象とした特別交付税の算定等について


平成30年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置並びに要求した改善の処置

総務省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号。以下「交付税法」という。)等に基づき、市町村が中心市街地活性化のために実施するソフト事業に要する経費を対象として特別交付税(以下「中活ソフト特別交付税」という。)を交付している。市町村は、中活ソフト特別交付税の交付を受けようとする事業について、中活ソフト事業として中心市街地の活性化に関する施策を推進するための基本計画に位置付けて内閣総理大臣の認定を受けるとともに、国から交付される国庫補助金等を伴うなど中活ソフト事業に該当しない事業を除外したり、国以外の公的機関から交付を受ける助成金等の額を控除したりして算定した中活ソフト事業を実施するために市町村が負担する経費(以下「一般財源所要額」という。)を算定資料等に記載することとなっている。そして、総務省は、都道府県の審査を経た算定資料等における一般財源所要額(以下「報告額」という。)をもって中活ソフト特別交付税の額を算定して交付することとなっている。また、総務省及び都道府県は、地方交付税の交付後に、算定に用いた資料に関する検査(以下「交付税検査」という。)を行うこととなっている。さらに、総務省は、報告額が実際に要した経費を著しく上回ったことなどにより特別交付税の額が過大に算定されたと認められるときは、当該年度の特別交付税の額から総務大臣が調査した額を控除(以下「減額調整」という。)することとなっている。しかし、中活ソフト事業に該当しない事業を中活ソフト特別交付税の算定の対象とするなどしていて中活ソフト特別交付税が過大に交付されている事態、中活ソフト事業に実際に要した経費が報告額を著しく下回っているのに減額調整が行われていない事態及び交付税検査が実質的に行われていない事態が見受けられた。

したがって、次のとおり、内閣総理大臣に対して令和元年10月に改善の処置を要求し、総務大臣に対して同月に是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め並びに改善の処置を要求した。

  • ア 総務省において、中活ソフト事業に該当しない事業を中活ソフト特別交付税の算定の対象とするなどしていて中活ソフト特別交付税が過大に交付されている事態について速やかに減額調整を行うこと(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)
  • イ 内閣府において、①市町村に対して、基本計画については総務省と事前に内容を調整するなどして適切に作成すること、中活ソフト特別交付税の交付を受けようとする事業については中活ソフト事業として基本計画に位置付けて認定を受けることなどについて周知徹底すること、②市町村が、中活ソフト特別交付税の交付を受けようとする事業について中活ソフト事業として基本計画に適切に位置付けることができるよう総務省と連携して「中心市街地活性化基本計画認定申請マニュアル」(以下「申請マニュアル」という。)を見直すなどすること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

    また、総務省において、算定資料等の内容の確認を適切に行えるようにするとともに、市町村に対して、算定誤りの事例や中活ソフト事業に係る一般財源所要額として認められない経費を明確に示して、算定資料等の作成を適切に行うよう、また、都道府県に対して、算定資料等の審査を適切に行うよう周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

  • ウ 総務省において、都道府県及び市町村に対して中活ソフト事業に実際に要した経費について報告を求めるなどして把握し、減額調整を行う必要性について検討すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)
  • エ 総務省において、交付税検査が適切に行われるよう中活ソフト特別交付税についての具体的な検査項目や確認事項等を示した検査要領等を定めること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

2 当局の処置状況

本院は、内閣府本府及び総務本省から関係資料の提出を受けるなどして、その後の処置状況について検査した。

検査の結果、内閣府及び総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

1のイについては、内閣府は、元年10月までに、①市町村に対して事務連絡を発して、基本計画については総務省と事前に内容を調整するなどして適切に作成すること、中活ソフト特別交付税の交付を受けようとする事業については中活ソフト事業として基本計画に位置付けて認定を受けることなどについて周知徹底し、②市町村が中活ソフト特別交付税の交付を受けようとする事業について中活ソフト事業として基本計画に適切に位置付けることができるよう、総務省と連携して申請マニュアルを見直すなどした。また、総務省は、2年8月までに、算定資料の様式について、記載要領を充実させたり、チェック欄を設けたりするなどして、算定資料等の内容の確認を適切に行えるようにするとともに、市町村に対して、算定誤りの事例や中活ソフト事業に係る一般財源所要額として認められない経費を明確に示して、算定資料等の作成を適切に行うよう、また、都道府県に対して、算定資料等の審査を適切に行うよう、それぞれ事務連絡を発して周知徹底した。

1のウについては、総務省は、元年度特別交付税12月分について、都道府県及び市町村に対して中活ソフト事業に実際に要した経費の報告を求めて把握し、当該報告に基づき減額調整を行う必要性について検討していた。

1のエについては、総務省は、2年8月までに、交付税検査が適切に行われるよう中活ソフト特別交付税についての具体的な検査項目や確認事項等を示した検査要領を定めるなどした。

一方、1のアについては、総務省は、元年12月までに、都道府県及び市町村に対して事務連絡を発して、中活ソフト特別交付税が過大に交付されている事態について、交付税法の規定により減額調整の対象外となる平成26年度交付分を除いて報告を求めていた。そして、同省は、報告された過大交付額について、同省が事業ごとに交付額が過大となった経緯等を勘案して減額調整を行わないとしたものを除き、令和元年度特別交付税の算定において減額調整を行った上で、引き続き、報告漏れがあった一部の事業について事実関係を確認するなどして、2年度特別交付税の算定において適切に減額調整を行うこととしている。