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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • (第7 文部科学省、第8 厚生労働省)|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)(2) 認定こども園等の施設整備事業に係る助成金等の額の算定について


平成30年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置並びに要求した改善の処置

文部科学省及び厚生労働省は、認定こども園等の施設を整備することなどにより、子どもを安心して育てることができるような体制整備を行うことなどを目的として、都道府県が行う基金の造成(以下、造成された基金を「安心こども基金」という。)に必要な経費等として、子育て支援対策臨時特例交付金等を交付している。そして、都道府県は、安心こども基金から取り崩した助成金を実施主体に交付することなどにより、認定こども園等の施設整備事業を実施している。助成金等の額は、本体工事費等の対象経費の実支出額の合計額等と、所定の方法により算定した補助基準額の合計額とを比較して、いずれか少ない方の額に補助率を乗じて得た額とすることなどとなっている。しかし、増築等の場合における補助基準額が過大に算定され助成金の額が過大に算定されている事態及び認定こども園において幼稚園部分と保育所部分の二つの施設整備事業(以下「幼保両事業」という。)を同時に行う場合の太陽光発電設備等を整備する特殊附帯工事に係る補助基準額等(以下「特殊附帯基準額」という。)について、1施設当たりの特殊附帯基準額の算定方法が適切なものとなっていないことにより、助成金等の額の算定が適切に行われていない事態が見受けられた。

したがって、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対して令和元年6月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求した。

  • ア 助成金の額が過大に算定されていた16実施主体に係る9都府県に対して、改めて実施主体から実績報告を受けて額の確定を行わせるなどして、返還が必要となる助成金の安心こども基金への返還を求めること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)
  • イ 都道府県に対して、増築等の場合における補助基準額の算定方法を明確に示して周知徹底するとともに、都道府県を通じて市町村に対して、当該算定方法を周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • ウ 幼保両事業を同時に行う場合において、1施設当たりの特殊附帯基準額が適切な額となるよう、特殊附帯基準額を幼稚園部分と保育所部分の定員数で案分して算定するなどの具体的な算定方法について、文部科学省と厚生労働省が協議して検討すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、文部科学本省及び厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、文部科学省及び厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 元年7月に助成金の額が過大に算定されていた16実施主体に係る9都府県に対して事務連絡等を発して、改めて実施主体から実績報告を受けて額の確定を行わせるなどして、返還が必要となる助成金について、速やかに安心こども基金に返還されるよう必要な手続をとることを求めた。そして、9都府県は16実施主体から改めて実績報告を受けるなどしており、その結果、助成金の返還が必要となった8都県は、安心こども基金への返還手続を行った。

イ 元年7月に都道府県に対して事務連絡を発して、増築等の場合における補助基準額の算定方法について、算定式及び事例により明確に示して周知徹底するとともに、都道府県を通じて市町村に対して、当該算定方法を周知徹底した。

ウ 幼保両事業を同時に行う場合において、1施設当たりの特殊附帯基準額が適切な額となるよう具体的な算定方法について検討するなどした。そして、2年1月に都道府県に対して事務連絡を発して、特殊附帯基準額を幼稚園部分と保育所部分の定員数で案分して算定する方法等を周知するとともに、同年4月及び6月に子育て支援対策臨時特例交付金等の運営について定めた要領等を改正して当該算定方法等を明記した。