日本中央競馬会(以下「競馬会」という。)は、競馬場のスタンド用地、馬場用地等の直接事業運営の用に供している土地(以下「事業用地」という。)及び舎宅用地、寮用地等の事業用地以外の土地(以下「事業外用地」という。)を保有している。そして、競馬会本部は、毎事業年度、所有地の現況を把握し適切な資産管理がされるよう、土地の利用状況に関する調査(以下「調査」という。)を実施しており、調査では、10競馬場、7附属機関等の事業所が競馬会本部に対して、保有する事業用地及び事業外用地の面積並びに利用状況を報告することになっている。また、競馬会は、保有する土地等の不動産のうち、当初の利用目的を達成し、今後とも事業の用に供することが見込めないものについては、維持保全経費の負担もあることから、逐次売却等の処分を進めることとする指針を示している。しかし、利用されていない事業外用地(以下「未利用地」という。)を適切に把握していない事態及び利用計画又は処分方針を策定しないまま未利用地を保有し続けている事態が見受けられた。
したがって、競馬会において、調査により、事業外用地のうち現に利用していない全ての土地を未利用地として適切に把握するとともに、把握した未利用地について、利用計画を策定したり、売却等の処分方針を策定したりするための体制を整備することにより、未利用地の利用又は処分が図られるよう、日本中央競馬会理事長に対して令和元年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、競馬会本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、競馬会は、本院指摘の趣旨に沿い、元年12月、2年3月及び6月に各事業所に対して通知を発するなどして、2事業年度の調査から様式等の変更を行って、事業外用地のうち現に利用していない全ての土地を未利用地として適切に把握するとともに、把握した未利用地について、毎事業年度末に利用方針又は売却等の処分方針を策定し、当該利用方針等に沿って利用計画を策定したり、売却等に必要な手続を実施したりする体制を整備して、未利用地の利用又は処分を図る処置を講じていた。