日本年金機構(以下「機構」という。)は、各種年金の支給等に係る業務を行うため、16事務センター及び312年金事務所を設置している。年金事務所は、事業主又は被保険者等から提出された各種の届け書や申請書等(以下「届け書等」という。)を受け付けた後、事務センターに回付することとなっており、事務センターは、回付された届け書等に不備がある場合には、年金事務所に返戻することとなっている。機構は、届け書等の回付等に係る配送業務を配送業者に委託しており、届け書等は、年金事務所又は事務センターの職員が配送用のケースに入れて配送業者に引き渡し、毎日決まった時間に、定期便により集荷され、配送されている。そして、定期便による輸送方法は、他の荷主の荷物と積み合わせて輸送する方法(以下「積合せ輸送」という。)と、配送車両を貸し切って輸送する方法(以下「貸切り輸送」という。)とがある。しかし、積合せ輸送において、届け書等を1個のケースにまとめるなどせずに種類別にケースを分けて発送していたり、事務センター内の配送先を集約していなかったりしている事態及び貸切り輸送において積合せ輸送により実施する方が低額となっていて経済的な輸送方法となっていない事態が見受けられた。
したがって、日本年金機構理事長に対して令和元年10月に、次のとおり会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 元年11月に年金事務所に対して指示文書を発出して、年金事務所において、事務センターに回付する届け書等の種類が異なっていても1個のケースにまとめるなど少ない個数により発送することを指示した。
イ 事務センター内の配送先を集約した上で、貸切り輸送による場合の費用と積合せ輸送による場合の費用とを比較するなどの検討を行った。その結果、貸切り輸送よりも積合せ輸送の方が経済的となったことから、2年2月以降の配送業務を積合せ輸送により実施することとした。