独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)は、道路を占用(工作物、駐車場等の施設等を道路に設けて、継続して道路を使用することをいう。以下同じ。)する希望(以下「占用希望」という。)があり占用しようとする者に対して、道路管理者が行う占用許可に係る権限を代行している(以下、占用許可を行い、占用料を徴収するなどの仕組みを「占用制度」という。)。東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、首都高速道路株式会社及び阪神高速道路株式会社(以下、これらの6会社を総称して「道路会社」という。)は、機構との委託契約に基づき、高架の道路の路面下等(以下「高架下等」という。)について占用許可申請書が提出された場合、記載内容の確認等を行った上で機構へ送付しており、機構は、記載内容の審査を行い、高架下等の占用許可を行っている。そして、機構は、第4期中期計画において、占用料の多寡等により占用者を選定する占用入札を積極的に実施して高架下等の有効活用に努めることとしている。しかし、道路会社から未利用の高架下等の情報を得られていない事態及び占用制度全般に係る広報や未利用の高架下等についての情報提供等の積極的な高架下等の有効活用のための方策を講じていないなどの事態が見受けられた。
したがって、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構理事長に対して令和元年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。
本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 元年12月に道路会社との間で覚書を締結し、占用許可事務実施要領(以下「要領」という。)を改正するとともに、2年2月から機構と道路会社の実務担当者で構成される「高架下等有効活用連絡会議」を定期的に開催したり、同年3月に要領に基づき必要な情報を網羅した高架下等占用データベースを設置したりして、道路会社から未利用の高架下等についての情報を定期的かつ継続的に得るための体制を整備した。
イ 2年8月から要領に基づき、アで得られた情報のうち占用させることができると判断した高架下等の情報について、機構のホームページで公表するとともに、道路会社のホームページにおいてもリンク等を設置させることにより機構のホームページへの案内を行うなどして、占用希望を誘引することとした。また、占用させることができると判断した高架下等について、2年5月から現地に看板を設置することにより占用希望者を募集している高架下等であることが容易に分かるようにして、積極的に広報を行うこととした。