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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 内閣府(内閣府本府)|
  • 令和元年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

企業主導型保育事業における整備費に係る助成金の交付を受けて整備された病児保育室等における病児保育等の実施状況について


令和元年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

内閣府は、仕事と子育てとの両立に資する子ども・子育て支援の提供体制の充実を図るために、平成28年度から企業主導型保育事業に対する国庫補助を実施しており、28年度から30年度までにおいて公益財団法人児童育成協会(以下「協会」という。)を補助事業者として選定するなどし、国庫補助金を交付している。そして、協会は、同事業を実施する一般事業主等(以下「事業主体」という。)に対して、同事業を行う施設(以下「企業主導型保育施設」という。)の整備に要する費用等の助成を行っている。また、同事業においては、保育を必要とする乳児又は幼児(以下「乳幼児」という。)等であって疾病にかかっているものについて企業主導型保育施設において保育を行う事業(以下「病児保育事業」という。)、家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児について企業主導型保育施設において一時的に預かり必要な保護を行う事業(以下「一時預かり事業」という。)等も実施できることとなっている。そして、病児保育事業のうち病児対応型又は病後児対応型(以下「病児・病後児保育」という。)は、専用スペース又は専用施設(以下「病児保育室」という。)を設置するなどすることとなっている。また、一時預かり事業のうち一般型は、企業主導型保育施設の利用定員の外で専用の一時預かりのための保育室(以下「一時預かり室」という。)を設置するなどすることとなっている(以下、このような一時預かりを「一般型一時預かり」という。)。しかし、事業主体において、病児・病後児保育又は一般型一時預かり(以下「病児保育等」という。)を全く実施していなかったり、病児保育等の実施を中止していて再開する予定がなかったりしている事態や、補助事業者である協会において、企業主導型保育施設内に整備した病児保育室又は一時預かり室(以下「病児保育室等」という。)の利用実態を十分に把握して指導していない事態が見受けられた。

したがって、内閣総理大臣に対して令和2年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 補助事業者に対して、各事業類型の実施要件等を事業主体に十分に周知させるとともに、助成申込書の審査を行う際に、事業主体から病児保育等の実施体制等に係る計画を提出させて審査を適切に行うことができる体制を整備させること

イ 補助事業者に対して、病児保育室等を整備した事業主体における病児保育室等の利用実態の把握を十分に行い、病児保育室等を整備したのに病児保育等を全く実施していないなどの事業主体に、病児保育室等を病児保育等に利用させるように指導する仕組みを整備させること

2 当局が講じた処置

本院は、内閣府本府において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、内閣府は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 2年12月に事務連絡を発出して、補助事業者に対して、各事業類型の実施要件等を詳細に示した資料を配布させることにより、各事業類型の実施要件等を事業主体に十分に周知させた。また、上記の事務連絡に基づき、補助事業者に、企業主導型保育事業助成要領等を改正させて、事業主体から提出させた病児保育等の実施体制等に係る計画及びチェックシートの内容を評価する審査を適切に行うことができる体制を整備させた。

イ 3年6月に事務連絡を発出して、補助事業者に対して、企業主導型保育施設における病児保育等の運営の状況を確認させるなどして、病児保育室等を整備した事業主体における病児保育室等の利用実態の把握を十分に行い、病児保育室等を整備したのに病児保育等を全く実施していないなどの事業主体に、病児保育室等の整備の目的に合わせた病児保育等の実施体制等に係る計画を新たに提出させるなどして、病児保育室等を病児保育等に利用させるように指導する仕組みを整備させた。