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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 外務省|
  • 令和元年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

政府開発援助の効果の発現について


(令和元年度決算検査報告2か所参照 リンク1 2

1 本院が表示した意見

外務省及び独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献することを目的として、開発途上地域の政府等に対して政府開発援助を実施している。しかし、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」という。)による学校拡充計画において校舎の安全性が確保されていないことなどにより完成間近であった校舎が取り壊されていて援助の効果が全く発現していない事態、及び無償の資金供与による協力(以下「無償資金協力」という。)による防災ラジオ放送網改善計画において一部機材が取り外されていたり所在不明となっていたりしていて援助の効果が十分に発現していない事態が見受けられた。

したがって、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して令和2年10月に、会計検査院法第36条の規定により、次のような措置を講ずるよう意見を表示した。

ア 学校拡充計画については、外務省において、当該計画における事態を踏まえて、今後、草の根無償を実施するに当たり、事業実施中に工事の進捗状況の確認等ができなくなった場合、工事の進捗状況の確認等を行うための必要な措置を講ずるなどして、適時適切に確認等をした上で、必要に応じて事業実施機関等と協議を行うこと

イ 防災ラジオ放送網改善計画については、機構において、防災連絡システムが利用可能な状態となるよう、事業実施機関に対して、国家災害管理局等における中継機等の再設置及び所在不明となっている機材に係る対応について十分に働きかけを行うとともに、当該計画における事態を踏まえて、今後、無償資金協力により、防災連絡システムを整備する場合、緊急時に支障なく活用することができるよう、事業実施機関及び関係機関に対して、機材を常に利用可能な状態にしておくことの重要性や機材の適切な管理のための体制整備について必要な助言を十分に行うこと、事業完了後に機材が利用可能な状態になっていないことを把握した場合、機材を利用可能な状態にするための効果的な働きかけを十分に行うこと

2 当局が講じた措置

本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 学校拡充計画については、外務省において、3年5月に在外公館に対して通知を発して、今後、草の根無償を実施するに当たり、事業実施中に工事の進捗状況の確認等ができなくなった場合、工事の進捗状況の確認等を行うための必要な措置を講ずるなどして、適時適切に確認等をした上で、必要に応じて事業実施機関等と協議を行うこととした。

イ 防災ラジオ放送網改善計画については、機構において、事業実施機関に対して、国家災害管理局等における中継機等の再設置及び所在不明となっている機材について代替機材の調達をするなどして防災連絡システムが利用可能な状態となるよう働きかけを行った。その結果、事業実施機関等において中継機等が再設置されたり、代替機材が調達されたりなどした。また、機構は、3年6月に関係部署に対して通知を発して、今後、無償資金協力により防災連絡システムを整備する事業を実施する場合、事業実施機関及び関係機関に対して、機材を常に利用可能な状態にしておくことの重要性や機材の適切な管理のための体制整備について必要な助言を十分に行うこととした。あわせて、機構は、上記の通知において、事業完了後に機材が利用可能な状態になっていないことを把握した場合、事業実施機関及び関係機関に対して機材を利用可能な状態にするための働きかけを文書の送付、面談等により行い、その対応状況を確認した上で必要に応じて働きかけを継続的に行うこととした。