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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 令和元年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 林道施設に係る長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定について


令和元年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置及び表示した意見

林野庁は、林道台帳に記載されていて同庁が所有する橋りょう、トンネル及び各管理者が定めるその他の重要な施設(以下、これらを合わせて「林道施設」という。)を対象として、施設ごとの長寿命化計画(以下「個別施設計画」という。)を策定している。また、同庁は、平成27年3月に個別施設計画に記載すべき事項等について示した「林道施設に係る個別施設計画策定のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を作成している。しかし、ガイドライン等に基づいた長寿命化点検を行わずに個別施設計画が策定されている事態及び設置年度等の必要な情報が記された林道台帳等の既存の資料を活用しないまま個別施設計画が策定されている事態が見受けられた。また、同庁と市町村等が協定を締結して併用林道として設定した区間(以下「併用区間」という。)に設置されている林道施設について、個別施設計画が策定されていない事態が見受けられた。

したがって、林野庁長官に対して令和2年4月に、次のとおり改善の処置を要求し及び意見を表示した。

ア ガイドライン等に基づく長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定が行われるよう「治山施設及び林道施設の長寿命化計画(個別施設計画)作成要領」(以下「作成要領」という。)を改正し、森林管理局及び森林管理署等に対して、改正した作成要領に基づき長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定を適切に行うよう指示すること。また、森林管理局に対して、既に策定されている個別施設計画について、林道台帳等の既存の資料が活用されていないものについては、設置年度等の諸元を記載して修正するとともに、今後、個別施設計画の策定に係る業務委託を行う場合には仕様書等に既存の資料を受注者に提供することなどを記載して、既存の資料を活用するよう指示すること(会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

イ 森林管理局及び森林管理署等に対して、併用区間に設置されている林道施設の長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定に関する考え方を示し、その考え方を基に森林管理署等が協定先の市町村等と協議を行い、その結果を協定書等に記載して各林道施設の長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定を行う者を明確にする方策を講ずること。そして、森林管理局等が上記の長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定を行うこととなった場合はこれらを速やかに行うよう指示すること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 2年10月に森林管理局及び森林管理署等に対して、作成要領に代わるものとして新たに通知を発して、ガイドライン等に基づく長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定を行うよう指示した。また、同月に森林管理局に対して事務連絡を発して、既に策定された個別施設計画に、林道台帳等の既存の資料を活用することにより設置年度等の諸元を記載して修正するとともに、今後、個別施設計画の策定について業務委託を行う場合は、仕様書等に既存の資料を受注者に提供することなどを記載するよう指示した。

イ 3年7月に併用区間の取扱いについて定めた既存の通知を改正するなどして、森林管理局及び森林管理署等に対して、併用区間に設置されている林道施設の長寿命化点検を踏まえた個別施設計画の策定については、原則として道路からの受益の割合を基にして道路の区間や費用に係る負担区分等を定めることとする考え方を示した。そして、森林管理局等に対して、上記の考え方を基にして市町村等の協定先と協議の上、個別施設計画の策定を行う者を定めて協定書等に記載させる方策を講じた。また、アの事務連絡により、併用区間に設置されている林道施設について、当該協定書等により、森林管理局等が個別施設計画の策定を行うこととなった場合には、速やかに個別施設計画を策定するよう指示した。