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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 国土交通省|
  • 令和元年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

地籍調査事業の実施により作成された地籍図等に係る認証請求の早期の実施等について


令和元年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

国土交通省は、市町村等が行う地籍調査事業に要する経費を負担する都道府県に対して地籍調査費負担金及び社会資本整備総合交付金を交付しており、国土調査事業事務取扱要領(以下「取扱要領」という。)によれば、市町村等は、地籍調査事業を実施した後、都道府県知事に地籍図等を送付した上で、遅滞なく認証請求を行うよう努めることとされている。しかし、市町村等において、地籍調査事業の実施により地籍図原図及び地籍簿案(以下、これらを合わせて「原図等案」という。)又は地籍図等を作成しており、調査実施地区の全ての筆において境界の確認が得られている場合に、認証請求を行うための事務処理が遅れていたり、全ての土地所有者等が閲覧したことの確認や基準点を使用した認証されていない隣接する他の調査実施地区(以下「未認証隣接地区」という。)の認証が行われないと認証請求を行うことができないなどとしたりして所定の手続を経ておらず、認証請求が行われていない事態が見受けられた。また、調査実施地区の多数の筆について確認が得られているにもかかわらず、一部の筆において境界の確認が得られていないことを理由として所定の手続を経ておらず、認証請求が行われていない事態が見受けられた。

したがって、国土交通大臣に対して令和2年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 市町村等に対して、取扱要領では土地所有者等が実際に原図等案を閲覧したことを確認することまでは求めていないことについて明確に示すとともに、調査実施地区の成果に未認証隣接地区の調査で設置した基準点を含めて認証請求を行うことが認められていることや、境界の確認が得られていない場合に筆界未定とする地図を作成することにより作業工程を進めることについて周知徹底すること

イ 地籍図等が作成されてから認証請求を行うまでの標準的な期間を定めるとともに、市町村等に対して、地籍調査の目的及び重要性を踏まえて、原図等案を作成した場合は遅滞なく公告して閲覧に供することにより地籍図等を作成するとともに、地籍図等を作成した場合は上記の標準的な期間内に認証請求を行うことについて周知すること

ウ 市町村等における認証請求の状況を定期的に把握し、地籍図等が作成されているにもかかわらず認証請求が行われていない地籍調査事業について、市町村等に対して、ア及びイを考慮するなどして認証請求の可否を検討するとともに、ほとんどの筆が筆界未定になるなど認証請求を行うことが困難となっているなどのものを除いた認証請求が可能なものについては遅滞なく認証請求を行うよう技術的助言を行うこととすること

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省から関係資料の提出を受けるなどして、その後の処置状況について検査した。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 2年10月に通知を発して、都道府県を通じて市町村等に対して、取扱要領では土地所有者等が実際に原図等案を閲覧したことを確認することまでは求めていないことを明確に示すとともに、調査実施地区の成果に未認証隣接地区の調査で設置した基準点を含めて認証請求を行うことが認められていることや、境界の確認が得られていない場合に筆界未定とする地図を作成することにより作業工程を進めることについて周知し、また、市町村等の担当者に対して研修を実施することなどにより、上記の内容について3年6月までに周知徹底を図った。

イ 地籍図等が作成されてから認証請求を行うまでの標準的な期間を3か月以内と定めた上で、アの通知により、都道府県を通じて市町村等に対して、地籍調査の目的及び重要性を踏まえて、原図等案を作成した場合は遅滞なく公告して閲覧に供して、その後は遅滞なく地籍図等を作成するとともに、地籍図等を作成した場合は上記の標準的な期間内に認証請求を行うことについて周知した。

ウ 市町村等における認証請求の状況を定期的に把握することとし、2年12月に都道府県に対して認証の状況等に関する調査を依頼し、当該調査の結果を踏まえて、都道府県を通じて市町村等に対して、認証請求の可否を確認するとともに、認証請求が可能なものについては遅滞なく認証請求を行うよう、技術的助言を行った。