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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 令和2年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(3) 丸太のトラック運搬に係る経費の積算について


令和2年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

林野庁は、森林管理署等に国有林野の林産物等の売払いを行わせている。そして、森林管理局は、林野庁が制定した「立木販売予定価格評定公式の改訂について」(以下「評定公式」という。)に基づいて立木等の販売予定価格評定要領等(以下「積算基準」という。)を制定して、森林管理署等は積算基準に基づくなどして売買契約等の予定価格を算定している。地方運輸局が公示している一般貨物自動車運送事業の貸切運賃料金表には、運搬距離ごとに1回当たりの運賃が掲載された距離制運賃表(以下、この表に基づいて算定した運賃を「距離制運賃」という。)と基準時間当たりの運賃が掲載された時間制運賃表(以下、この表に基づいて算定した運賃を「時間制運賃」という。)があり、原則として距離制運賃を用いるが、短距離を反復して運搬する場合は距離制運賃が過大となるなどのため時間制運賃を適用することとなっている。一方、評定公式によれば、丸太のトラック運搬に係る経費については、原則として距離制運賃表を適用するなどして定めることとされている。しかし、丸太のトラック運搬に係る経費の積算に当たり、複数回反復して運搬することが可能な場合において、森林管理局が定めた積算基準等が必ずしも時間制運賃表の適用を考慮することになっておらず、距離制運賃と時間制運賃を比較して安価な方を適用していない事態が見受けられた。林野庁は、本院の指摘を踏まえて、令和3年4月に評定公式を一部改正するなどしたが、森林管理局が時間制運賃の適用を考慮して丸太のトラック運搬に係る経費の積算を適切に行うためには、評定公式の一部改正だけでなく、林野庁の指導等に基づいた森林管理局における積算基準等の改正が必要となる。

したがって、林野庁において、森林管理局に対して、丸太のトラック運搬に係る経費の積算について、評定公式の考え方並びにトラックの速度、生産現場等における丸太の積込時間、積込みの付帯時間、木材市場等における丸太の積卸時間及び積卸しの付帯時間の実態調査の結果等が森林管理局の積算基準等に確実に反映されるよう指導することなどにより、複数回反復して運搬することが可能な場合に、時間制運賃の適用も考慮して適切な積算を行うこととするよう、林野庁長官に対して3年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、4年1月に森林管理局に通知を発するなどして、評定公式の考え方、実態調査の結果等が森林管理局の積算基準等に確実に反映されるなどするよう指導する処置を講じていた。そして、森林管理局において、4年3月までに積算基準等を改正して森林管理署等に通知し、同年4月以降の丸太のトラック運搬に係る経費の積算について、複数回反復して運搬することが可能な場合に、距離制運賃と時間制運賃とを比較して安価な方を適用することとする処置を講じていた。