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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 令和2年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5) 政府所有米穀の販売等業務委託契約のメッシュチェック荷役経費の単価の算定について


令和2年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、民間の事業体(以下「受託事業体」という。)に、同省が備蓄等することとなっている国内産米穀及び外国産米穀(以下、これらを合わせて「政府所有米穀」といい、このうち外国産米穀を「MA米」という。)の販売、保管、運送、販売等に伴うカビ確認等の業務を包括的に委託している。このうち販売等に伴うカビ確認は、米穀を二重の網に通し、網の上でカビ状異物を確認すること(以下「メッシュチェック荷役」という。)などによるものとされており、受託事業体は、この業務を複数の倉庫業者に再委託して実施させている。そして、受託事業体への委託費のうち、メッシュチェック荷役経費については、メッシュチェック荷役経費の単価にメッシュチェック荷役を行った政府所有米穀の数量を乗じた額を支払うこととされている。しかし、MA米に係るメッシュチェック荷役経費の単価について、多くの作業人員により処理していて1t当たりの処理時間(以下「処理時間/t」という。)が短い倉庫業者や、少ない作業人員により処理していて処理時間/tが長い倉庫業者が見受けられるのに、作業人員と処理時間/tをそれぞれの要素ごとに合計して平均値を算出し、これらを乗ずるなどして算定する方法(以下「要素ごとの算定方法」という。)により設定していたり、米穀の種類及び作業台の形状により作業効率が大きく異なっているのに、米穀の種類等ごとの処理数量を考慮せずに算定したものとなっていたりしていて、単価が作業実態に見合ったものとなっていない事態が見受けられた。

したがって、農林水産省において、政府所有米穀の品質及び作業安全性の確保に配慮しつつ、メッシュチェック荷役経費の単価について、要素ごとの算定方法によるのではなく、倉庫業者ごとに作業人員に処理時間/tを乗じて1t当たりの処理に要する作業人員・時間を算出し、それを平均するなどして算定する方法等を用いて米穀の種類等ごとの処理数量により加重平均した上で、必要な調整を行うなどしてメッシュチェック荷役の作業実態に見合った単価を算定する方法を明確に定めるとともに、それに基づいて単価を設定することにより委託費の節減を図るよう、農林水産大臣に対して令和3年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局の処置状況

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、メッシュチェック荷役経費の単価を算定するに当たり必要なメッシュチェック荷役の作業実態の調査を3年度から実施しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により十分な調査件数に至っておらず、引き続き調査を継続している。そして、同省は、上記調査の結果が取りまとまり次第、メッシュチェック荷役の作業実態に見合った単価を算定する方法を明確に定めるとともに、それに基づいて単価を設定することにより委託費の節減を図ることとしている。