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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 補助の対象とならないもの

地域企業再起支援事業の実施に当たり、要件を満たしていない中小企業者が実施していて補助の対象とならないもの[中小企業庁](220)


(1件 不当と認める国庫補助金 2,000,000円)

 
部局等
補助事業者
(所在地)
間接補助事業者
(所在地)
補助事業
年度
事業費
補助対象事業費
左に対する国庫補助金交付額
不当と認める補助対象事業費
不当と認める国庫補助金相当額
            千円 千円 千円 千円
(220) 中小企業庁
山口県
サビエルカンパーナ株式会社
(山口県山口市)
〈事業主体〉
地域企業再起支援
2 4,874
(4,430)
2,000 4,430 2,000

この補助事業は、地域企業再起支援事業費補助金(以下「再起支援補助金」という。)の交付を受けた山口県が、新型コロナウイルス感染症による県内経済への影響の軽減を図ることを目的として、新型コロナウイルス感染症による売上減少等の影響を受けた事業者に対して、営業の維持及び発展に対する取組に要する経費の全部又は一部を補助するものである。

同県は、再起支援補助金のほか、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(注)(以下「コロナ交付金」という。)を財源として新型コロナウイルス対策営業持続化等補助金(以下「営業持続化等補助金」という。)を交付することにしており、同県が作成した新型コロナウイルス対策営業持続化等補助金交付要綱等(以下「県交付要綱等」という。)によれば、交付対象者の要件は、最近1か月の売上高が前年同月比で減少するなどした山口県内に主たる事業所を有する中小企業者とされている。

サビエルカンパーナ株式会社(令和3年9月17日以降は株式会社Cafe&Bakery Campana。以下「会社」という。)は、新型コロナウイルス感染症対策として、店内の密集・密接を回避し安全に料理を提供するために実施した内装工事事業に要した事業費4,874,089円(補助対象事業費4,430,990円)に対して、営業持続化等補助金の交付を受けるために、2年5月26日に同県に交付申請書を提出した。その交付申請書に添付して提出されていた平成31年2月から令和2年4月までの月次推移損益計算書によれば、2年4月の売上高は15,740,597円、平成31年4月の売上高は22,602,682円であるとされていた。そして、同県は、これにより交付対象者の要件を満たすとして、前記の再起支援補助金2,000,000円及びコロナ交付金1,000,000円を財源として、営業持続化等補助金3,000,000円を交付していた。

しかし、会社の売上高等を確認したところ、会社の設立年月は令和2年2月であり、同年9月以前の売上高は計上されていなかった。すなわち、会社に対する営業持続化等補助金の交付の要件となる2年4月の売上高が前年同月比で減少した事実はなく、会社は県交付要綱等に定める交付対象者の要件を満たしていなかった。

したがって、本件事業は、補助の対象とは認められず、これに係る再起支援補助金2,000,000円及びコロナ交付金1,000,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、同県において営業持続化等補助金の交付申請時等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金制度要綱(令和2年府地創第127号等。以下「制度要綱」という。)等に基づき、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月閣議決定)等に掲げる新型コロナウイルス感染症の拡大防止策等についての対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに効果的・効率的で必要な事業を実施できるよう、地方公共団体が作成した新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施計画に基づく事業に要する費用のうち地方公共団体が負担する費用に充てるために、国が交付するものである。そして、制度要綱等によれば、同交付金の交付対象事業は制度要綱に掲げる基準に適合する地方単独事業、国庫補助事業等とすることとされており、本件地域企業再起支援事業は制度要綱に定める国庫補助事業等に該当し、同交付金の交付対象にすることができることとなっている。