国土交通省は、可搬形の発電装置、燃料タンク、配電盤、変圧器盤及びそれらの付属品により構成された電源設備(以下、これらを合わせて「可搬形電源設備」という。)の管理・運用・保守について、「運用業務マニュアル」を制定している。運用業務マニュアル等によれば、可搬形電源設備を保管している空港等を管理している空港事務所等(以下「保管官署」という。)は、可搬形電源設備管理等細則(以下「細則」という。)において、可搬形電源設備の管理、運用及び保守について定めることとされている。また、可搬形電源設備は、地震等に十分耐え得る状態で保管することなどとされ、保管に関する詳細事項については細則で定めることとされている。しかし、国土交通本省において、可搬形電源設備を地震等に十分耐え得る状態で保管するために必要となる耐震設計に係る計算の方法及び計算の結果耐震性が確保されていないことが判明した場合の設置方法について検討しておらず、保管官署において、可搬形電源設備が地震等に十分耐え得る状態で保管されていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通大臣に対して令和3年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。
本院は、国土交通本省から関係資料の提出を受けるなどして、その後の処置状況について検査した。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 国土交通本省において、可搬形電源設備を地震等に十分耐え得る状態で保管するために必要となる耐震設計に係る計算の方法及び計算の結果耐震性が確保されていないことが判明した場合の設置方法について検討を行い、その結果を4年1月に事務連絡を発出して保管官署に対して示した。
イ 保管官署において、アで示された事項に基づいて、耐震設計に係る計算を行い、その結果耐震性が確保されていないことが判明した場合に、現地の状況を踏まえて、可搬形電源設備を地震等に十分耐え得る状態で保管するために必要となる設置方法の詳細事項について細則に定め、4年4月から適用することとした。
ウ 保管官署において、イで定めた細則に基づき、可搬形電源設備が地震等に十分耐え得る状態で保管されるよう、4年10月までに、可搬形電源設備の基礎部に転倒防止のために架台等を設置したり、設備間の離隔距離を確保したりするなどの必要な措置を講じた。