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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • (第2 内閣府(内閣府本府)、第8 厚生労働省)|
  • 令和2年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

放課後児童健全育成事業に係る子ども・子育て支援交付金の算定等の状況について


令和2年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

内閣府は、厚生労働省が定めた「「放課後児童健全育成事業」の実施について」(以下「実施要綱」という。)に基づき放課後児童健全育成事業(以下、同事業を構成する複数の種類の事業のうち同事業と同じ名称のものを「健全育成事業」という。)を実施する市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して、子ども・子育て支援交付金(以下「交付金」という。)を交付している。交付金の算定に用いる一の支援の単位(以下「支援単位」という。)当たりの年額の単価は、年間開所日数が200日から249日までの場合は250日以上の場合よりも低額等となっている。また、実施要綱や、その内容を具体的に示した「放課後児童健全育成事業に係るQ&A」等(以下「Q&A」という。)によれば、支援単位ごとに放課後児童支援員の数は2人以上とすること、利用する児童が少数である土曜日等に複数の支援単位が合同で健全育成事業を実施する場合、その日を複数の支援単位それぞれの開所日として取り扱うためには、支援単位ごとに同支援員を2人以上とすることなど(以下、これらを合わせて「開所の要件」という。)とされている。しかし、9都府県の18市町村において、開所の要件を満たしていなかったことなどにより、子ども・子育て支援交付金事業実績報告書(以下「実績報告書」という。)の子ども・子育て支援交付金精算額調書(以下「精算額調書」という。)に年間開所日数として計上した開所日等が適正なものとなっておらず交付金が過大に交付されていたり、12都府県において、実績報告書の精算額調書の審査が十分でなかったりしている事態が見受けられた。

したがって、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に対して令和3年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

  • ア 内閣府において、交付金が過大に交付されていた18市町村に対して、過大に交付された交付金について返還手続を行わせること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)
  • イ 厚生労働省において、市町村に対して、Q&Aにある開所の要件の説明を理解しやすいように集約して示すなどの方法により、利用する児童が少数である土曜日等に健全育成事業を実施する場合の開所の要件を周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • ウ 内閣府において、利用する児童が少数である土曜日等を含んだ年間開所日数が250日程度であったり、利用する児童が少数である土曜日等に合同で健全育成事業を実施した複数の支援単位で年間開所日数等が同じであったりするなどの交付額に影響しやすい場合に、開所日及び開所時間が開所の要件を満たしているかについて市町村が根拠資料を用いて確認するようにしたり、市町村が開所の要件を理解等した上で実績報告書を作成しているかについて都道府県が必要な審査を行うようにしたりするための方策を講ずること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

2 当局が講じた処置

本院は、内閣府本府及び厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、内閣府及び厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 内閣府は、3年11月に9都府県に対して通知を発して、4年3月までに、18市町村に対して、過大に交付されていた交付金の返還手続を行わせた。

イ 厚生労働省は、4年3月に都道府県に対して事務連絡を発するなどして、市町村に対して、Q&Aにある開所の要件の説明を理解しやすいように集約して示し、利用する児童が少数である土曜日等に健全育成事業を実施する場合の開所の要件を周知徹底した。

ウ 内閣府は、4年3月に都道府県に対して事務連絡を発するなどして、市町村が実績報告書を作成する際や都道府県が実績報告書を審査する際にそれぞれチェックシートを用いて、利用する児童が少数である土曜日等を含んだ年間開所日数が250日程度であるなどの交付額に影響しやすい場合に、開所日及び開所時間が開所の要件を満たしているかについて市町村が根拠資料を用いて確認するようにしたり、市町村が開所の要件を理解等した上で実績報告書を作成しているかについて都道府県が必要な審査を行うようにしたりする方策を講じた。