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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 独立行政法人中小企業基盤整備機構|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

特定地域中小企業特別資金事業に係る貸付金の規模について


(令和3年度決算検査報告2か所参照 リンク1 2)

1 本院が要求した改善の処置

独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、一般勘定の政府出資金を財源として、中小企業庁及び福島県との協議の上で定めた「原子力発電所事故に伴う「特定地域中小企業特別資金」事業に係る福島県に対する資金の貸付けに関する準則」(以下「準則」という。)等に基づき、福島県に対して、特定地域中小企業特別資金事業を実施する公益財団法人福島県産業振興センター(以下「センター」という。)に対する貸付けに必要な資金の一部を無利子で貸し付けている(以下、機構が福島県に対して貸し付けている資金を「機構貸付金」といい、福島県がセンターに対して貸し付けている資金を「県貸付金」という。)。そして、センターは、県貸付金を原資として、東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所等における事故により移転を余儀なくされている中小企業者等(以下「移転中小企業者等」という。)に対する資金の貸付けを行う事業(以下「貸付事業」という。)や、事務費充当基金を造成してその運用収入等を原資として貸付事業に附帯する事務等を行う事業を実施している。また、準則等によれば、福島県は、移転中小企業者等に新規の貸付けを実施する期間(以下「貸付実施期間」という。)の終了日の属する年度末以降に県貸付金の規模を見直すこととされている。しかし、貸付事業の貸付実績が貸付事業の原資の規模に比べて低調なものとなっているなどしていたのに、福島県の申出により毎年度貸付実施期間が延長されているため準則に基づく県貸付金の規模の見直しが行われていなかったり、貸付需要が減少するなどの制度をめぐる環境の変化を把握できていたのにこれを踏まえた県貸付金の規模の見直しが行われていなかったりしていることなどにより、国費を財源とした多額の資金が使用見込みのない状況となっている事態が見受けられた。

したがって、中小企業庁長官及び独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長に対して令和4年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 県貸付金の規模の見直しを行い、使用見込みのない機構貸付金の額を算出して償還するよう、福島県に対して求めること

イ 県貸付金の規模の今後の見直しについて、貸付実施期間の終了前にも福島県における見直しが定期的に行われたり、貸付実績、事務費充当基金の収支等の実績や制度をめぐる環境の変化に応じて機構が福島県に見直しを求めたりすることを準則に規定することにより、今後も適時に見直しが行われるようにすること

2 当局の処置状況

本院は、中小企業庁及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、中小企業庁及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 中小企業庁及び機構は、県貸付金の規模の見直しについて福島県と具体的な手順を協議するなどした上で、機構において、イの改正した準則に基づき、5年6月に福島県に対して県貸付金の適正な規模を確認するための調査を行うよう求めた。

イ 中小企業庁及び機構は、県貸付金の規模の今後の見直しについて福島県と協議するなどした上で、機構において、5年6月に準則を改正して、貸付実施期間の終了前にも福島県における県貸付金の必要額の検討が5年度ごとに行われたり、事業実績や制度をめぐる環境の変化等に応じて機構が福島県に対して県貸付金の適正な規模を確認するための調査を行うことを求めたりする規定を定めることにより、適時に見直しが行われるようにした。

一方、中小企業庁及び機構は、引き続き、福島県に対して、アの調査結果を踏まえて県貸付金の規模の見直しを行い、使用見込みのない機構貸付金の額を算出して償還するよう求めていくこととしている。