会計検査院は、令和2年6月15日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月16日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその結果を報告することを決定した。
一、会計検査及びその結果の報告を求める事項
(一)検査の対象
内閣官房、内閣府、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
(二)検査の内容
防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に関する次の各事項
我が国においては、近年、地震、台風、局地的な豪雨等による大規模自然災害等が各地で頻発している。国は、平成25年12月に、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模自然災害等に備えた国土の全域にわたる強靱(じん)な国づくり(以下「国土強靱化」という。)の推進に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにすることなどにより、公共の福祉の確保並びに国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的として、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(平成25年法律第95号。以下「国土強靱化基本法」という。)を制定している。
国土強靱化基本法によれば、政府は、国土強靱化に関する施策の推進に関する基本的な計画(以下「国土強靱化基本計画」という。)を定めるとともに、国土強靱化に関する施策の実施状況を踏まえ、必要に応じて、国土強靱化基本計画の見直しを行い、必要な変更を加えることとされている。そして、政府は、国土強靱化基本法に基づき、26年6月に国土強靱化基本計画を閣議決定し、その後30年12月に変更している。
また、国土強靱化基本法によれば、国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために、内閣に、国土強靱化推進本部(以下「推進本部」という。)を置くこととされている。そして、国土強靱化推進本部長は内閣総理大臣、国土強靱化推進副本部長は内閣官房長官、国土強靱化担当大臣及び国土交通大臣、本部員は本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てることとされている。
推進本部は、大規模自然災害等に対する脆(ぜい)弱性の評価(以下「脆弱性評価」という。)の指針を定め、これに従って脆弱性評価を行い、その結果に基づき、国土強靱化基本計画の案及び国土強靱化基本計画の変更の案を作成しなければならないこととされている。脆弱性評価は、「起きてはならない最悪の事態」を想定した上で、科学的知見に基づき、総合的かつ客観的に行うこととされており、国土強靱化基本計画の案及び国土強靱化基本計画の変更の案の作成に当たっては、脆弱性評価の結果の検証を受け、作成手続における透明性を確保しつつ、公共性、客観性、公平性及び合理性を勘案して、実施されるべき国土強靱化に関する施策の優先順位を定め、その重点化を図らなければならないこととされている。
また、「国土強靱化推進室の設置に関する規則」(平成25年1月内閣総理大臣決定)に基づき、国土強靱化に関する施策の推進に係る企画及び立案並びに総合調整に関する事務を処理するために、内閣官房に国土強靱化推進室(以下「推進室」という。)が置かれている。
国土強靱化基本計画によれば、国民生活・国民経済に影響を及ぼすリスクとしては、自然災害のほかに、原子力災害等の大規模事故やテロ等も含めたあらゆる事象が想定され得るが、南海トラフ地震、首都直下地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや、気候変動の影響等により水災害、土砂災害が多発していることなどから、国土強靱化基本計画では、まずは大規模な自然災害を対象とすることとしたとされている。
また、災害リスクや地域の状況等に応じて、防災施設の整備、施設の耐震化等のハード対策と訓練・防災教育等のソフト対策を適切に組み合わせて効果的に施策を推進するとともに、このための体制を早急に整備することとされている。
30年12月の国土強靱化基本計画の変更に先立ち、推進本部は、脆弱性評価の指針を定めて脆弱性評価を実施し、その結果を同年8月に公表している。当該脆弱性評価では、図表0-1のとおり、8の「事前に備えるべき目標」と45の「起きてはならない最悪の事態」を設定し、「起きてはならない最悪の事態」がどのようなプロセスで起こり得るかについて論理的に分析して表現したフローチャートを作成している(フローチャートの例については図表0-2参照)。そして、当該フローチャートに基づき、各施策が「起きてはならない最悪の事態」をどのようにして回避するものであるのかを明確にし、「起きてはならない最悪の事態」ごとにこれを回避するための施策群(以下「プログラム」という。)を一つずつ整理した上で、現状の国土・経済社会システムの脆弱性とそれに対する施策の脆弱性を総合的に分析して評価している。
図表0-1 脆弱性評価の枠組み及び手順
図表0-2 脆弱性評価に係るフローチャートの例
国土強靱化基本計画によれば、PDCAサイクルの実践を通じて、課題解決のために必要な政策やプログラムの重点化・優先順位付けに関する不断の見直しを行うために、脆弱性評価手法の改善、施策の効果に係る評価方法の改善(進捗管理のための定量的な指標の導入等)等により、国土強靱化の取組を順次ステップアップするとともに、当該取組の内容・過程等を可能な限り可視化することとされている。そして、推進本部は、毎年度、当該年度に取り組むべき施策等をプログラムごとに取りまとめた年次計画を作成しており、年次計画には、施策及び各プログラムの進捗管理のために設定した重要業績指標(以下「KPI」という。)の基準年度(KPIを設定した時点における初期値に係る年度)、初期値、目標年度、目標値及び過去5年間の現状値を記載することにしている。
国土強靱化基本計画によれば、限られた資源で効率的・効果的に国土強靱化を進めるためには、施策の優先順位付けを行い、優先順位の高いものについて重点化しながら進める必要があるとされている。そして、国の役割の大きさ、影響の大きさと緊急度の観点に加え、施策の進捗、社会情勢の変化等も踏まえ、45のプログラムのうち15のプログラムを重点化すべきものとして選定し、重点化すべき15のプログラムについては、その重要性に鑑み、更なる重点化を含め取組の一層の推進に努めることとされている。また、重点化すべき15のプログラムと関連が強い5のプログラムについても、その重要性に鑑み、取組の推進を図ることとされている(以下、重点化すべき15のプログラム及び重点化すべき15のプログラムと関連が強い5のプログラムを合わせて「重点化すべきプログラム等」という。)。
「事前に備えるべき目標」、「起きてはならない最悪の事態」及びこれを回避するための重点化すべきプログラム等の関係を示すと、図表0-3のとおりである。
図表0-3 「事前に備えるべき目標」、「起きてはならない最悪の事態」及びこれを回避するための重点化すべきプログラム等の関係
事前に備えるべき目標 | 起きてはならない最悪の事態 | プログラム等の番号 注(2) | |
---|---|---|---|
1 | 直接死を最大限防ぐ | 住宅・建物・交通施設等の複合的・大規模倒壊や不特定多数が集まる施設の倒壊による多数の死傷者の発生 | ◎1-1 |
密集市街地や不特定多数が集まる施設における大規模火災による多数の死傷者の発生 | ○1-2 | ||
広域にわたる大規模津波等による多数の死傷者の発生 | ◎1-3 | ||
突発的又は広域かつ長期的な市街地等の浸水による多数の死傷者の発生 | ◎1-4 | ||
大規模な火山噴火・土砂災害(深層崩壊)等による多数の死傷者の発生 | ◎1-5 | ||
暴風雪や豪雪等に伴う多数の死傷者の発生 | 1-6 | ||
2 | 救助・救急、医療活動が迅速に行われるとともに、被災者等の健康・避難生活環境を確実に確保する | 被災地での食料・飲料水・電力・燃料等、生命に関わる物資・エネルギー供給の停止 | ◎2-1 |
多数かつ長期にわたる孤立地域等の同時発生 | 2-2 | ||
自衛隊、警察、消防、海保等の被災等による救助・救急活動等の絶対的不足 | ◎2-3 | ||
想定を超える大量の帰宅困難者の発生、混乱 | 2-4 | ||
医療施設及び関係者の絶対的不足・被災、支援ルートの途絶、エネルギー供給の途絶による医療機能の麻痺 | ○2-5 | ||
被災地における疫病・感染症等の大規模発生 | 2-6 | ||
劣悪な避難生活環境、不十分な健康管理による多数の被災者の健康状態の悪化・死者の発生 | ◎2-7 | ||
3 | 必要不可欠な行政機能は確保する | 被災による司法機能、警察機能の大幅な低下による治安の悪化、社会の混乱 | 3-1 |
首都圏等での中央官庁機能の機能不全 | 3-2 | ||
地方行政機関の職員・施設等の被災による機能の大幅な低下 | 3-3 | ||
4 | 必要不可欠な情報通信機能・情報サービスは確保する | 防災・災害対応に必要な通信インフラの麻痺・機能停止 | ○4-1 |
テレビ・ラジオ放送の中断等により災害情報が必要な者に伝達できない事態 | 4-2 | ||
災害時に活用する情報サービスが機能停止し、情報の収集・伝達ができず、避難行動や救助・支援が遅れる事態 | ◎4-3 | ||
5 | 経済活動を機能不全に陥らせない | サプライチェーンの寸断等による企業の生産力低下による国際競争力の低下 | ◎5-1 |
エネルギー供給の停止による、社会経済活動・サプライチェーンの維持への甚大な影響 | ○5-2 | ||
コンビナート・重要な産業施設の損壊、火災、爆発等 | 5-3 | ||
海上輸送の機能の停止による海外貿易への甚大な影響 | 5-4 | ||
太平洋ベルト地帯の幹線が分断するなど、基幹的陸上海上交通ネットワークの機能停止による物流・人流への甚大な影響 | ◎5-5 | ||
複数空港の同時被災による国際航空輸送への甚大な影響 | 5-6 | ||
金融サービス・郵便等の機能停止による国民生活・商取引等への甚大な影響 | 5-7 | ||
食料等の安定供給の停滞 | ◎5-8 | ||
異常渇水等による用水供給途絶に伴う、生産活動への甚大な影響 | 5-9 | ||
6 | ライフライン、燃料供給関連施設、交通ネットワーク等の被害を最小限に留めるとともに、早期に復旧させる | 電力供給ネットワーク(発変電所、送配電設備)や都市ガス供給、石油・LPガスサプライチェーン等の長期間にわたる機能の停止 | ◎6-1 |
上水道等の長期間にわたる供給停止 | ◎6-2 | ||
汚水処理施設等の長期間にわたる機能停止 | 6-3 | ||
新幹線等基幹的交通から地域交通網まで、陸海空の交通インフラの長期間にわたる機能停止 | ○6-4 | ||
防災インフラの長期間にわたる機能不全 | 6-5 | ||
7 | 制御不能な複合災害・二次災害を発生させない | 地震に伴う市街地の大規模火災の発生による多数の死傷者の発生 | ◎7-1 |
海上・臨海部の広域複合災害の発生 | 7-2 | ||
沿線・沿道の建物倒壊に伴う閉塞、地下構造物の倒壊等に伴う陥没による交通麻痺 | 7-3 | ||
ため池、防災インフラ、天然ダム等の損壊・機能不全や堆積した土砂・火山噴出物の流出による多数の死傷者の発生 | 7-4 | ||
有害物質の大規模拡散・流出による国土の荒廃 | 7-5 | ||
農地・森林等の被害による国土の荒廃 | ◎7-6 | ||
8 | 社会・経済が迅速かつ従前より強靱な姿で復興できる条件を整備する | 大量に発生する災害廃棄物の処理の停滞により復興が大幅に遅れる事態 | 8-1 |
復興を支える人材等(専門家、コーディネーター、労働者、地域に精通した技術者等)の不足、より良い復興に向けたビジョンの欠如等により復興できなくなる事態 | 8-2 | ||
広域地盤沈下等による広域・長期にわたる浸水被害の発生により復興が大幅に遅れる事態 | 8-3 | ||
貴重な文化財や環境的資産の喪失、地域コミュニティの崩壊等による有形・無形の文化の衰退・損失 | 8-4 | ||
事業用地の確保、仮設住宅・仮店舗・仮事業所等の整備が進まず復興が大幅に遅れる事態 | 8-5 | ||
国際的風評被害や信用不安、生産力の回復遅れ、大量の失業・倒産等による国家経済等への甚大な影響 | 8-6 |
そして、30年12月の変更後の国土強靱化基本計画によれば、重点化すべきプログラム等の中で特に緊急に実施すべき施策について、達成目標、実施内容、事業費等を明示した3か年の緊急対策を定めて速やかに実施することとされている。
政府は、同月に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定している(以下、この閣議決定を「30年閣議決定」といい、これに基づいて実施される対策を「3か年緊急対策」という。)。
30年閣議決定によれば、平成30年7月豪雨、平成30年台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震等の自然災害により、国民の生活・経済に欠かせない重要なインフラが機能を喪失し、国民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生していることから、重要インフラが自然災害時にその機能を維持できるよう、平時から万全の備えを行うことが重要であり、その対策が急務となっているとされている。そして、各府省庁が重要インフラの機能確保について実施した緊急点検(以下「緊急点検」という。)や、ブロック塀、ため池等に関する既往の点検(以下「既往点検」という。)の結果等を踏まえて、「防災のための重要インフラ等の機能維持」及び「国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持」の二つの観点から、重点化すべきプログラム等に係る施策について、特に緊急に実施すべき160の対策が定められており(注1)、これらの対策を3か年緊急対策として30年度から令和2年度までの3年間で集中的に実施することとされている。
また、30年閣議決定においては、図表0-4のとおり、上記二つの観点を更に各対策の該当するプログラムに応じた3項目及び4項目の計7項目に区分し、上記の特に緊急に実施すべき160の対策が項目別に位置付けられている。
図表0-4 30年閣議決定における観点別及び項目別の対策数
観点 | 項目 | 対策数 |
---|---|---|
Ⅰ 防災のための重要インフラ等の機能維持 | (1) 大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化 | 38 |
(2) 救助・救急、医療活動等の災害対応力の確保 | 43 | |
(3) 避難行動に必要な情報等の確保 | 17 | |
Ⅱ 国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持 | (1) 電力等エネルギー供給の確保 | 8 |
(2) 食料供給、ライフライン、サプライチェーン等の確保 | 22 | |
(3) 陸海空の交通ネットワークの確保 | 28 | |
(4) 生活等に必要な情報通信機能・情報サービスの確保 | 4 | |
計 | 160 |
3か年緊急対策と「事前に備えるべき目標」、「起きてはならない最悪の事態」、プログラム、施策及びKPIとの関係を示すと、図表0-5のとおりである。
図表0-5 3か年緊急対策と「事前に備えるべき目標」、「起きてはならない最悪の事態」、プログラム、施策及びKPIとの関係(概念図)
30年閣議決定によると、3か年緊急対策に係る事業費の規模は、図表0-6のとおり、おおむね7兆円を目途とされていて、観点別及び項目別にみると、事業費の規模が最も大きいのは、「Ⅰ防災のための重要インフラ等の機能維持」の「(1) 大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化」のおおむね2.8兆円(7兆円の4割)となっている。
図表0-6 3か年緊急対策に係る事業費の規模
観点 | 項目 | 事業費の規模 |
---|---|---|
Ⅰ 防災のための重要インフラ等の機能維持 | (1) 大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化 | おおむね2.8兆円 |
(2) 救助・救急、医療活動等の災害対応力の確保 | おおむね0.5兆円 | |
(3) 避難行動に必要な情報等の確保 | おおむね0.2兆円 | |
Ⅱ 国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持 | (1) 電力等エネルギー供給の確保 | おおむね0.3兆円 |
(2) 食料供給、ライフライン、サプライチェーン等の確保 | おおむね1.1兆円 | |
(3) 陸海空の交通ネットワークの確保 | おおむね2.0兆円 | |
(4) 生活等に必要な情報通信機能・情報サービスの確保 | おおむね0.02兆円 | |
計 | おおむね7兆円 |
また、3か年緊急対策の各対策として実施する事業の事業費には、国が、事業主体として請負業者等に対して請負代金等を支払ったり、地方公共団体等の事業主体に対して国庫補助金等を交付したりする額のほか、地方公共団体、民間事業者等の事業主体が負担する額等が含まれている。推進室によると、3か年緊急対策として実施する事業の事業費のうち国が支出する額は3兆円台半ばと見込まれている。
30年閣議決定に先立って、推進室が各府省庁に発出した事務連絡によれば、3か年緊急対策として実施する各対策については、達成目標を設定することとされている。達成目標については、各対策が3年間で概成又は国土強靱化の大幅な進捗を図るもののような緊急性の高い対策であることを踏まえて、「概成される達成目標」として、例えば「全ての航空輸送上重要な空港において、1週間自家発電で運用可能」といった達成目標を設定するか、又は「KPIが大幅に進捗される達成目標」として、例えば、各対策が関連するKPIについて「○○の進捗率の達成目標を○年前倒し」といった達成目標を設定することとされている。
そして、3か年緊急対策として実施する160対策については、30年閣議決定、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(原案)(一覧)(注2)」等(以下、これらを合わせて「30年閣議決定等」という。)において、対策の具体的な内容、対策を実施することが見込まれる箇所(以下「対策予定箇所」という。)の数、達成目標等が対策ごとに示されている(各対策の達成目標等の例については図表0-7参照)。
図表0-7 各対策の達成目標等の例
観点 | 項目 | 対策名 | 府省庁 | 対策の概要 | 対策予定箇所数 | 達成目標 |
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ | (1) | 地震時等に著しく危険な密集市街地に関する緊急対策(No.19) | 国土交通省 | 防火規制が実施されている地域において、集中的に不燃化を促進するとともに、避難地・避難路を整備する。 | 地震時等に著しく危険な密集市街地のうち防火規制が実施されている地域:約2,800ha | 地震時等に著しく危険な密集市街地をおおむね解消 |
(2) | 警察施設の耐災害性等に関する緊急対策(No.46) | 警察庁 | 建替え整備や耐震改修の必要性が判明した警察署等の施設、非常用電源設備の整備・改修の必要性が判明した警察署等の施設等について必要な措置を講ずる。 | 建替え又は耐震改修:警察署等約40施設等 | 警察署等約40施設において建替え又は耐震改修を行うなど必要な措置をおおむね完了、警察署等約10施設において非常用電源設備の整備・改修をおおむね完了 | |
(3) | 準天頂衛星システムに関する緊急対策(No.82) | 内閣府 | 衛星開発の効率的な加速化を図り、災害時に確実に通信できる体制を構築するための緊急対策を実施する。 | 準天頂衛星システム | 準天頂衛星システム5-7号機の開発の効率的な加速化を実現 | |
Ⅱ | (1) | 電力インフラの強靱化に関する緊急対策(No.99) | 経済産業省 | 更なる電力供給の強靱化に向けて、約55万kW分の自家用発電設備や蓄電システム、省電力設備の導入等を支援するとともに、情報共有システムを構築する。 | 約55万kW | エネルギー需給構造の強靱化のために約55万kW分の分散型電源等を導入 |
(2) | 全国の上水道管路に関する緊急対策(No.116) | 厚生労働省 | 2022年度までに耐震化すべき基幹管路約8,600㎞について、耐震化のペースを現在の1.5倍に加速させる。 | 約4,600㎞ | 2018年度以降、年2%(約2,000km)のペースに引き上げることで、基幹管路の耐震適合率を38.7%(2016年度末実績)から2022年度末までに50%とする。 | |
(3) | 豪雨による鉄道隣接斜面の崩壊に関する緊急対策(No.147) | 国土交通省 | モルタル吹き付けやコンクリート枠による補強(法面防護工)等を実施し、線路内への土砂流入等の被害を防止する。 | 優等列車若しくは貨物列車が運行する路線、又は一定以上の輸送密度を有する線区の鉄道隣接斜面:約190か所 | 利用者数が多い線区等において、豪雨により崩壊のおそれがある鉄道隣接斜面約190か所について対策をおおむね完了 | |
(4) | 新幹線における外国人旅行客等の情報入手に関する緊急対策(No.160) | 国土交通省 | 新幹線の全駅・全車両に無料Wi-Fiサービスを利用可能な環境を整備する。 | 新幹線全108駅 新幹線全車両 |
災害時においても、訪日外国人旅行者等がウェブサイトやSNS等を通じて、鉄道の運行情報等を入手できる環境を確保するために、新幹線の全駅・全車両に無料Wi-Fiサービス環境を整備 |
30年閣議決定によれば、3か年緊急対策の期間中から進捗状況のフォローアップを定期的に行い、その結果を公表することとされている。そして、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の進捗状況のフォローアップ方針」(平成31年1月国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議決定。以下「フォローアップ方針」という。)等によれば、各年度の各府省庁の国土強靱化関連予算に係る予算案の作成時に、3か年緊急対策に係る予算の内容について取りまとめて公表するとともに、事業費及び箇所数による進捗管理を行い、3か年緊急対策の計画的かつ着実な推進を図ることとされている。そして、3年6月に公表された3年度の年次計画には、3か年緊急対策の実施結果として、約6.9兆円規模の事業費を確保したことや、対策ごとの進捗状況等が記載されている。
国土強靱化については、2年12月に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定されている(以下、この閣議決定に基づいて実施される対策を「5か年加速化対策」という。)。
当該閣議決定によれば、近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化するなどしており、我が国の行政・社会経済システムが機能不全に陥る懸念があることから、「激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」及び「国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進」の各分野について、取組の更なる加速化・深化を図ることとし、123の対策について、3年度から7年度までの5年間で、重点的かつ集中的に取り組むこととされている。そして、5か年加速化対策により追加的に必要となる事業費の規模は、5年間でおおむね15兆円程度を目途とされている。
会計検査院は、これまでも3か年緊急対策として実施された事業について検査を実施し、その結果を検査報告に掲記するなどしている(3か年緊急対策として実施された事業に係る検査報告掲記事項については別図表1参照)。
会計検査院は、前記要請の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に関する各事項について、有効性、透明性の確保(注3)及び国民への説明責任の向上(注3)等の観点から、次の点に着眼して検査した。