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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 外務省|
  • 令和4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

無償資金協力(草の根・人間の安全保障無償資金協力)の実施状況について


(令和4年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した意見

外務省は、開発途上地域の政府等に対して返済の義務を課さないで資金を贈与することにより実施する無償の資金供与による協力等の政府開発援助を実施している。しかし、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」という。)によるフィジー共和国における小学校整備計画のうち、ナヴアケゼ・ディストリクト小学校整備計画及びカランブ小学校整備計画において、新校舎の建設工事が中断していることや、トイレ棟及び幼稚園舎の工事が中断していることにより、事業の目的が全く達成されていない状況となっていて無償資金協力の効果が全く発現していない事態、また、バウ・ディストリクト小学校整備計画において、校舎は完成したものの、寄宿舎は完成しておらず、事業の目的が十分に達成されていない状況となっていて無償資金協力の効果が十分に発現していない事態が見受けられた。

したがって、外務大臣に対して令和5年10月に、会計検査院法第36条の規定により、次のとおり意見を表示した。

ア ナヴアケゼ・ディストリクト小学校整備計画、カランブ小学校整備計画及びバウ・ディストリクト小学校整備計画について、事業実施機関等に対して、速やかに工事を再開するなどして施設を完成させるよう働きかけるなどすること

イ ナヴアケゼ・ディストリクト小学校整備計画及びカランブ小学校整備計画における事態を踏まえて、今後、草の根無償を実施するに当たり、小学校等の建設工事を実施する際に、事業実施機関から施工業者等への支払が工事等の進捗に伴い段階的に行われることとなっている場合、施工業者等に対する事業実施機関の支払においては、契約書等に記載された段階どおりのものとなっているかなど、資金引出しに際して事前に請求書等で使途等の確認を徹底すること

ウ ナヴアケゼ・ディストリクト小学校整備計画及びカランブ小学校整備計画における事態を踏まえて、今後、草の根無償を実施するに当たり、小学校等の建設工事を実施する際に、進捗状況の確認のために事業実施機関から取り付けることとしていた中間報告書が期限までに未提出であるなどの場合、口頭による確認のみならず、その内容の根拠の確認、遅延の原因の究明、工事の現況把握のための現地訪問等、事業の進捗を確認する措置を十分に講ずること

エ カランブ小学校整備計画及びバウ・ディストリクト小学校整備計画における事態を踏まえて、今後、草の根無償を実施するに当たり、小学校等の建設工事を実施する際に、事業実施機関と施工業者等との連絡がとれなくなっているなどの場合、事業実施機関からその状況を速やかに報告させることを徹底するとともに、在外公館が事業実施機関と共に施工業者等を訪問し十分に協議を行うなどして事業の継続を図ること

2 当局が講じた処置

本院は、外務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、外務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 3事業について、速やかに工事を再開するなどして施設を完成させるよう事業実施機関等に対して働きかけを行った。その結果、事業実施機関は、6年5月までに全ての施設の工事を再開した。

イ 6年6月に在外公館に対して、草の根無償で小学校等の建設工事を実施する際の注意喚起を目的とした通知を発して、今後、事業実施機関から施工業者等への支払が工事等の進捗に伴い段階的に行われることとなっている場合、施工業者等に対する事業実施機関の支払においては、契約書等に記載された段階どおりのものとなっているかなど、資金引出しに際して事前に請求書等で使途等の確認を徹底することとした。

ウ イの通知により、今後、進捗状況の確認のために事業実施機関から取り付けることとしていた中間報告書が期限までに未提出であるなどの場合、口頭による確認のみならず、その内容の根拠の確認、遅延の原因の究明、工事の現況把握のための現地訪問等、事業の進捗を確認する措置を十分に講ずることとした。

エ  イの通知により、今後、事業実施機関と施工業者等との連絡がとれなくなっているなどの場合、事業実施機関からその状況を速やかに報告させることを徹底するとともに、在外公館が事業実施機関と共に施工業者等を訪問し十分に協議を行うなどして事業の継続を図ることとした。