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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 文部科学省|
  • 令和4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備事業の実施について


(令和4年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置並びに要求した改善の処置及び表示した意見

文部科学省は、令和元年度から3年度まで、公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金交付要綱(以下「交付要綱」という。)に基づき、都道府県、市町村等(以下「事業主体」という。)に対して公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。交付要綱によれば、補助金の補助対象経費は、事業主体が公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備事業(以下「補助事業」という。)を実施するために必要な経費のうち、校内LANの新設・更新の事業に必要な経費等とされている。また、同省は、2年に、補助事業についての基本的な考え方等を記載した各種資料(以下「説明資料」という。)を作成し、事業主体に対して通知等により計7回にわたり提供して、補助事業実施年度の翌年度以降の期間分のライセンス費用のほか、保守費用、代替機費用、校外施設費用等は補助の対象とならない経費(以下「補助対象外経費」という。)であることを周知している。しかし、18事業主体において補助対象外経費を補助対象経費に含めていて補助金が過大に交付されている事態、また、説明資料ごとに補助対象外経費として挙げている内容が区々となっているなどしており、個々の説明資料では補助対象外経費について十分な理解が得られるものとなっていない事態が見受けられた。

したがって、文部科学大臣に対して5年10月に、次のとおり是正の処置を要求し並びに改善の処置を要求し及び意見を表示した。

ア 前記の18事業主体に対して、過大に交付されていた補助金を速やかに返還するよう求めること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 補助金の交付を受けた事業主体に対して、補助対象外経費を網羅した資料等を示した上で、改めて実績報告書の内容を確認するよう求めること。そして、当該確認の結果、補助金が過大に交付されていたと認められる場合には、速やかに当該補助金の返還を求めること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

ウ 今後、校内LANの更新等を対象とする同様の事業を実施する際に、前記の18事業主体と同様の事態が生じないよう、補助対象経費について、今回誤りの多かった点を記載した資料を公表するなど十分な理解を得るための方策を検討すること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局の処置状況

本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 5年11月に通知を発出し、前記の18事業主体に対して、過大に交付されていた補助金を返還するよう求めた。

イ 6年5月に事務連絡を発出し、補助金の交付を受けた事業主体に対して、補助対象外経費を網羅したQ&A等を一覧で示した上で、改めて実績報告書の内容を確認してその結果を報告するよう求めた。

ウ 今後、補助事業と同様の校内のネットワーク環境を整備するための工事が含まれる学校施設環境改善交付金事業等を実施する際に、前記の18事業主体と同様の事態が生じないよう、補助対象経費について、十分な理解を得るための方策として、誤りの多かった点を記載した資料を上記の事務連絡と併せて送付するとともに、6年6月にホームページ上に公表するなどして周知を行った。

一方、文部科学省は、イの報告を踏まえ、補助金が過大に交付されていたと認められる場合には、当該事業主体に対して補助金の返還を求めることとしている。