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  • 令和5年度|
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(9) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業に係る分)が過大に交付されていたもの[厚生労働本省](106)


1件 不当と認める国庫補助金 57,318,000円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業に係る分)は、「令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)の交付について」(令和3年厚生労働省発医政0401第4号・厚生労働省発健0401第6号・厚生労働省発薬生0401第67号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、新型コロナウイルスワクチンの効果的・効率的な接種を進める観点から、都道府県の大規模接種会場の設置及び運営等を通じて、市区町村が実施主体であるワクチン接種の支援を行うことを目的として、国が都道府県に対して交付するものである。

交付要綱等によれば、この交付金の交付の対象は、都道府県が行う事業及び市区町村や民間団体等で都道府県が適切と認める者が行う事業に対して都道府県が補助する事業に要する経費とされており、交付金の交付率は10分の10とされている。

本院が、3道県(注)において会計実地検査を行ったところ、北海道において、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

(注)
3道県  北海道、青森、石川両県
 
部局等
補助事業者
(事業主体)
年度
交付対象事業費
左に対する交付金交付額
不当と認める交付対象事業費
不当と認める交付金相当額
        千円 千円 千円 千円
(106)
厚生労働本省
北海道
3 7,873,973 7,873,973 57,317 57,318

北海道は、令和3年度に、本件事業により新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場の設置及び運営等を交付対象事業費7,873,973,274円で実施したとして、国から交付金7,873,973,000円の交付を受けていた。また、北海道は、本件事業の実施に当たり、北海道新型コロナワクチン集団接種会場運営委託業務受託コンソーシアムと委託契約を締結しており、当該契約には道民や事業者等からの問合せに対応するコールセンター業務が含まれていた。

しかし、北海道を通じてコンソーシアムから提出されたコールセンター業務の従事者に係る勤務記録等の関係書類を確認したところ、①従事者の人件費について、従事時間数に業務に従事した実態のない時間数が上乗せされていたことや人件費単価に根拠のない金額が上乗せされていたこと、②通信機器の使用料等について、実費相当額に根拠のない金額が上乗せされていたことなどにより、交付対象事業費が過大に計上されていた。

したがって、人件費や使用料等を実績に基づき修正するなどして、適正な交付対象事業費を算定すると7,816,655,878円となり、前記の交付対象事業費7,873,973,274円との差額57,317,396円が過大に精算されていて、これに係る交付金57,318,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、北海道において、本件事業の交付対象事業費の確認が十分でなかったことなどによると認められる。

(本件に関連する事態については、前掲総務省の項「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費を過大に精算するなどしていたもの」に掲記)