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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 厚生労働省|
  • 令和4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(感染症検査機関等設備整備事業に係る分)により整備した次世代シークエンサーの使用状況について


(令和4年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した意見

厚生労働省は、都道府県に対して新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(以下「交付金」という。)を交付している。そして、交付金により取得するなどした単価50万円以上の機械等については、厚生労働大臣が別に定める期間を経過するまで、同大臣の承認を受けないで交付金の交付の目的に反して使用し、譲渡するなど(以下「財産処分」という。)してはならないとされている。また、交付金の対象事業のうち、感染症検査機関等設備整備事業(以下「設備整備事業」という。)は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)の規定により都道府県、政令市(注)及び特別区が行う検査に必要な設備を整備すること、新型コロナウイルス感染症の検査を実施する民間の検査会社、大学及び医療機関(以下「民間検査機関」という。)が行う設備整備を支援することとされている。しかし、設備整備事業により民間検査機関に整備した次世代シークエンサーについて、感染症法の規定により都道府県等が行う検査(行政検査)の体制強化という目的に沿って一度も使用されていないものが多数あるなどしていて、設備整備事業の目的が達成されていない事態が見受けられた。

したがって、厚生労働大臣に対して令和5年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり意見を表示した。

ア 都道府県に対して、設備整備事業の目的について再度周知した上で、民間検査機関に整備した次世代シークエンサーが目的に沿って使用されるよう検討させること

イ アの検討の結果、設備整備事業の目的に沿って使用される見込みのない次世代シークエンサーがある場合は、交付の目的に反して使用することとなることから、都道府県に対して、当該次世代シークエンサーについて速やかに財産処分の手続を行うなどの措置をとるよう指導すること

(注)
政令市  地域保健法施行令(昭和23年政令第77号)において保健所を設置するとされている市

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、5年10月及び12月に都道府県に対して事務連絡を発出して、次のような処置を講じていた。

ア 都道府県に対して、設備整備事業の目的について再度周知して、民間検査機関に整備した次世代シークエンサーが目的に沿って使用されるよう検討させた。

イ アの検討を踏まえて、設備整備事業の目的に沿って使用される見込みがない次世代シークエンサーがある場合には、財産処分の手続を速やかに行うなどの措置をとるよう指導した。