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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 沖縄振興開発金融公庫|
  • 令和4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

住宅資金等貸付業務における個人住宅資金等に係る融資対象住宅の融資後の状況把握等について


(令和4年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置及び表示した意見

沖縄振興開発金融公庫(以下「公庫」という。)は、沖縄振興開発金融公庫法(昭和47年法律第31号)等に基づき、沖縄(沖縄県の区域をいう。)において住宅を必要とする者に対して、長期資金の貸付けを行っている(以下、長期資金のうち、住宅を賃貸する事業を行う者に対する資金を除いた個人に対して貸し付けられるものなどを「個人住宅資金等」という。)。沖縄振興開発金融公庫業務方法書等では、個人住宅資金等の貸付条件として、貸付金の使途は住宅の建設等であることなどが定められている。そして、公庫は、個人住宅資金等の貸付けに当たり、その貸付けを受ける者(以下「借受者」という。)との間で金銭消費貸借抵当権設定契約証書(以下「証書」という。)を作成し、融資対象住宅(借受者が貸付けを受けて建設等する住宅をいう。以下同じ。)が融資後も継続して上記業務方法書等の定める貸付条件に沿って利用されるようにするために、借受者が融資対象住宅の一部又は全部を店舗、事務所等、住宅以外の用途に利用する(以下「用途変更」という。)場合は、公庫の承諾を得る手続を行わなければならないこととしている。また、公庫は、融資対象住宅の用途変更等がないかどうかなどを確認するための実態調査の実施が必要なときは、貸付業務の一部を受託した金融機関(以下「代理店」という。)に対して、調査の対象、期間及び件数を通知することとしており、公庫から通知を受けた代理店は、実態調査を行い、結果を取りまとめて公庫へ報告することとしている。しかし、借受者が公庫の承諾を得ることなく融資対象住宅を用途変更していた事態が見受けられた。また、公庫において、実態調査の必要性を判断するための端緒となる情報を自ら取得してその判断をする具体的な仕組みを設けていなかったため、端緒となる情報を取得していなかったことから、実態調査が行われておらず、融資対象住宅の融資後の状況を十分に把握することができていない事態が見受けられた。

したがって、沖縄振興開発金融公庫理事長に対して令和5年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び意見を表示した。

ア 借受者が公庫の承諾を得ることなく融資対象住宅を用途変更していた事態について、借受者に対して貸付条件に沿った利用となるよう必要な対応を執らせて、借受者が必要な対応を執ることができない場合には繰上償還請求等の必要な措置を講ずること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 融資対象住宅が継続して貸付条件に沿った利用となるよう、実態調査の必要性を判断するための端緒となる情報を自ら取得してその判断をする具体的な仕組みを整備して、融資対象住宅の融資後の状況を適時適切に把握するための体制を整備すること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、公庫本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、公庫は、本院指摘の趣旨に沿い、6年4月までに次のような処置を講じていた。

ア 借受者が公庫の承諾を得ることなく融資対象住宅を用途変更していた23件の事態について、貸付条件に沿った利用となっていない状況を解消するために、必要な対応を執るよう借受者に求めた。これを受けて、22件の借受者において、用途変更部分を元に戻して住宅として利用すること、用途変更について公庫の承諾を得た上で融資対象住宅の用途変更部分に係る債務に相当する金額の繰上返済を行うことなどの対応が執られた。また、残る1件の借受者については必要な対応を執ることができなかったため、当該借受者に対して証書に基づく償還期限前の全額繰上償還の請求を行った。

イ 「沖縄公庫住宅資金債権管理の手引」を改正して、実態調査の必要性を判断するための端緒となる情報を自ら取得してその判断をする具体的な仕組みを整備するとともに、実態調査を担当する職員を増員して、融資対象住宅の融資後の状況を適時適切に把握するための体制を整備した。