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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 東日本高速道路株式会社、第4 中日本高速道路株式会社、第5 西日本高速道路株式会社、第6 本州四国連絡高速道路株式会社|
  • 令和4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)―(4) 高速道路における橋脚補強の整備手法について


(令和4年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した意見

東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社(以下、これらの会社を総称して「3会社」という。)及び本州四国連絡高速道路株式会社(以下、3会社と合わせて「4会社」という。)は、橋りょうに係る耐震補強工事を実施して、地震時に橋りょうの損傷を軽微にとどめて速やかに機能回復を図り、緊急輸送道路として機能させるための性能(以下「機能回復性能」という。)を確保することとしている。機能回復性能を確保するには至っていない橋りょうは、地震時に生じた橋脚の損傷に起因して、上下線共に通行不能となり、緊急車両の通行帯が確保できないなどの事態が発生し、緊急輸送道路としての高速道路ネットワークが機能しないおそれがある(以下、地震発生時に橋脚の損傷に起因して、上下線共に通行不能になる部分を「地震時のミッシングリンク」という。)。そこで、4会社は、機能回復性能を確保するために、橋脚の耐震補強工事(以下「橋脚補強」という。)を進めている。対象となる橋りょうの中には、並行する上下線を分離した橋脚がそれぞれ支える構造のもの(以下「分離橋りょう」という。)などがある。そして、4会社は、「高速道路における安全・安心実施計画」を策定して、令和3年度又は8年度までを橋脚補強の完了目標年度とするなどとしている。しかし、4会社において、橋脚補強を計画的に進めて早期に完了することを目指しているにもかかわらず、多くの区間等において地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある状況下で、橋脚補強の実施に当たり、分離橋りょうについて暫定的に上下線いずれか一方の橋りょうの橋脚補強を実施するという効率的な整備手法を用いていなかった事態、3会社において、段階的に4車線化した区間の橋りょうについて、機能回復性能が確保された車線を追加して整備した後は地震時のミッシングリンクが生ずるおそれはないにもかかわらず、予定していた4車線のうち2車線を暫定的に整備して供用を開始した段階(以下「暫定整備段階」という。)で設置された橋りょうの橋脚補強を実施していた事態が見受けられた。

したがって、4会社において、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等を早期に解消させるために、現地の条件等を踏まえた橋脚補強の効率的な整備手法について検討を行い、今後の整備手法の方針等を決定し各支社等に対して通知するなどの措置を講ずるよう、4会社のそれぞれの代表取締役社長に対して5年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、4会社の本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、4会社は、本院指摘の趣旨に沿い、現地の条件等を踏まえた橋脚補強の効率的な整備手法について検討を行い、6年1月に今後の整備手法の方針を定めた「高速道路の耐震補強実施計画」を4会社の連名で策定していた。そして、4会社は、分離橋りょうについて、暫定的に上下線いずれか一方の橋脚補強を整備することを、また、3会社は、段階的に4車線化した区間の橋りょうについて、機能回復性能が確保された車線を追加して整備した後は暫定整備段階で設置された橋りょうの橋脚補強時期を見直すことを基本とすることとして、6年4月にそれぞれ各支社等に対して通知する処置を講じていた。