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  • 令和5年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに特定検査対象に関する検査状況等|
  • 第2節 特定検査対象に関する検査状況

第2 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施状況について


検査対象
内閣府本府、総務省、47都道府県等
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の概要
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るために、地方公共団体が作成した実施計画に基づく事業に要する費用に対し、国が交付するもの
上記に係る予算額
18兆3259億円(令和2年度~4年度)

<構成>

1 検査の背景(a1リンク参照)

(1) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の概要(a1_1リンク参照)

ア 制度の概要(a1_1_1リンク参照)

イ 交付対象事業の概要(a1_1_2リンク参照)

ウ 予算の概要(a1_1_3リンク参照)

エ 効果検証の概要(a1_1_4リンク参照)

(2) これまでの検査の実施状況(a1_2リンク参照)

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法(a2リンク参照)

(1) 検査の観点及び着眼点(a2_1リンク参照)

(2) 検査の対象及び方法(a2_2リンク参照)

3 検査の状況(a3リンク参照)

(1) 予算の執行状況(a3_1リンク参照)

ア 内閣府及び総務省における予算措置及びその執行状況(a3_1_1リンク参照)

イ 交付金事業の経済対策別執行状況(a3_1_2リンク参照)

ウ 予備費を財源とするコロナ交付金の執行状況(a3_1_3リンク参照)

(2) 交付金事業の実施状況等(a3_2リンク参照)

ア 地方単独事業及び国庫補助事業等の地方負担分事業(a3_2_1リンク参照)

イ 協力要請推進交付金(a3_2_2リンク参照)

ウ 事業者支援交付金(a3_2_3リンク参照)

エ 検査促進交付金(a3_2_4リンク参照)

オ 物価高騰対応分(a3_2_5リンク参照)

カ 重点支援交付金(a3_2_6リンク参照)

(3) 効果検証の実施状況及び検証結果の公表状況(a3_3リンク参照)

4 本院の所見(a4リンク参照)

1 検査の背景

(1) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の概要

ア 制度の概要

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(以下「コロナ交付金」という。)は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援して地方創生を図るために、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月7日閣議決定(4月20日変更))、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(令和2年12月8日閣議決定)、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和4年4月26日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)及び「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)への対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施することを目的として措置されたものである。

 「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金制度要綱」(令和2年府地創第127号等。以下「制度要綱」という。)によれば、国は、地方公共団体が作成した新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施計画(以下「実施計画」という。)に基づく事業に要する費用に対してコロナ交付金を交付することとされている。

地方公共団体は、制度要綱及びその運用について定めた事務連絡に基づき、コロナ交付金の交付対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)の名称、事業の概要、交付対象事業と経済対策との関係、事業費やコロナ交付金の充当額(以下「交付金充当額」という。)等の事項を実施計画に記載して、内閣府に提出することとなっている。そして、内閣府は、実施計画に記載された交付対象事業が経済対策に対応した事業に該当することなどを確認するなどした上で、コロナ交付金の総額を明らかにして配分計画を作成し、これに基づき、コロナ交付金の予算を交付の事務を行う各省に移し替えることとなっている。制度要綱によれば、実施計画に記載された交付対象事業が、複数の府省が所管する事業である場合等は、総務省が交付行政庁となることとされている。そして、実施計画に記載された交付対象事業は、全て複数の府省が所管する事業等となっていたため、制度創設以降総務省のみが交付行政庁となっている。

総務省が定めた「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金交付要綱(総務省)」(令和2年総行政第148号)によれば、総務省は、内閣府から移し替えられたコロナ交付金の予算により、地方公共団体が作成する実施計画に記載されている交付対象事業に要する費用に対して、地方公共団体ごとの交付限度額以内でコロナ交付金を交付することなどとされている。また、地方公共団体は、事業の完了の日から起算して1か月を経過した日又は事業の完了の日が属する年度の翌年度の4月10日のいずれか早い期日までに、総務大臣に実績報告書を提出することとされている。そして、実績報告書には、事業名、総事業費、交付金充当額等のみを記載することとなっており、事業の概要については記載することになっていない。

イ 交付対象事業の概要

交付対象事業は、制度要綱及び「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について」(令和2年内閣府地方創生推進室事務連絡)によれば、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等を通じた地方創生に資する事業とされている。内閣府が令和2年5月に作成した「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金Q&A」等によれば、交付対象事業については、新型コロナウイルス感染症への対応として効果的な対策であり、地域の実情に合わせて必要な事業であれば、原則としてコロナ交付金の使途に制限はないとされている。また、4年9月の事務連絡によれば、コロナ交付金は、新型コロナウイルス感染症への対応として必要な事業であれば、自由度高く活用が可能な制度であるとされている。

なお、コロナ交付金は、アのとおり、2年4月から4年10月までの間に決定された五つの経済対策への対応として予算が措置されており、内閣府において、コロナ交付金の対象となる地方単独事業等の別に予算が配分されている。このうち、令和2年度第2次補正予算以降に措置された「協力要請推進枠交付金」(以下「協力要請推進交付金」という。)及び「検査促進枠交付金」(以下「検査促進交付金」という。)については、その使途に制限が設けられており、それぞれ「営業時間短縮等の要請に応じた事業者に対する協力金の支給」及び「PCR検査等無料化の取組への支援」に要する経費とされている。

そして、コロナ交付金について、予算が配分された事業等の名称及び概要を示すと図表1のとおりであり、予算が配分された事業等の推移を示すと図表2のとおりである。

図表1 コロナ交付金の予算が配分された事業等の名称及び概要

予算が配分された事業等の名称 事業等の概要
地方単独事業 新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等を通じた地方創生に資する事業(経済対策に対応した事業)の実施に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費
国庫補助事業等の地方負担分事業 制度要綱に掲げる基準に適合する国の補助事業等において、地方公共団体が一部を負担することとされている費用
協力要請推進交付金 飲食店等への営業時間短縮の要請等に伴う協力金又は酒類販売事業者に対する支援金(以下、これらを合わせて「協力金」という。)の支払等に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費
事業者支援交付金 感染拡大の影響を受けている事業者の支援等に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費
検査促進交付金 新型コロナウイルス感染症に係る検査(PCR検査等又は抗原定性検査に限る。)に対する支援等に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費
コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分(以下「物価高騰対応分」という。) コロナ禍において原油価格・物価高騰等に直面する生活者や事業者に対する支援に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費
電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金(以下「重点支援交付金」という。) エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の支援に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費

図表2 コロナ交付金の予算が配分された事業等の推移

コロナ交付金の予算が配分された事業等の推移

ウ 予算の概要

コロナ交付金については、アの閣議決定等に掲げられた五つの経済対策を実現するために、2年度の制度創設以降、累次にわたる補正予算及び予備費により、4年度までに累計で18兆3259億余円が内閣府所管の予算として措置されており、5年度以降は予算が措置されていない。

各年度の予算措置の状況は図表3のとおりである。

図表3 各年度の予算措置の状況

(単位:億円)
年度 予算額 経済対策の名称 財源内訳 予算
措置額
予算が配分された事業等ごとの配分額
地方単独事業
国庫補助事業等の地方負担分事業
協力要請推進交付金
事業者支援交付金
検査促進交付金
物価高騰対応分
重点支援交付金
令和
2年度
7兆8791 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策
(2年4月)
第1次補正予算
(2年4月)
1兆0000 7060
2940
第2次補正予算
(2年6月)
2兆0000 1兆9500
500
国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策
(2年12月)
予備費
(2年12月)
2169 2169
予備費
(3年1月)
7417 7417
第3次補正予算
(3年1月)
1兆5000 1兆0000
2000
2000
1000
予備費
(3年2月)
8801 8801
予備費
(3年3月)
1兆5402 1兆5402
3年度 7兆2968 予備費
(3年4月)
5000 5000
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
(3年11月)
補正予算
(3年12月)
6兆7968 1兆2000
3000
注(1)
4兆9768
3200
4年度 3兆1500 コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」
(4年4月)
予備費
(4年4月)
8000 注(2)
8000
物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策
(4年10月)
予備費
(4年9月)
4000 注(3)
4000
第2次補正予算
(4年11月)
7500 4500
3000
予備費
(5年3月)
1兆2000 1兆2000
補正予算計 12兆0468 4兆8560 1兆2440 5兆2268 1000 6200
予備費計 6兆2791 3兆3791 5000 8000 1兆6000
合計 補正予算と予備費の合計 18兆3259 4兆8560 1兆2440 8兆6059 6000 6200 8000 1兆6000
  • 注(1) 令和3年度の協力要請推進交付金には、2年度の地方単独事業の繰越額のうち10.9億円、国庫補助事業等の地方負担分事業の繰越額のうち0.4億円、計11.4億円を流用している。
  • 注(2) 令和4年4月の物価高騰対応分には、別途3年度補正の地方単独事業の繰越額のうち2000億円を流用している。
  • 注(3) 令和4年9月の重点支援交付金には、別途4年4月予備費の物価高騰対応分のうち2000億円を流用している。
  • 注(4) 本図表の予備費は、全て予算総則で使途を制限した予備費となっている。
  • 注(5) 本文中及び図表中の数値は、表示単位未満を切り捨てているため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある(以下、図表において同じ。)。

エ 効果検証の概要

内閣府は、地方公共団体に対して、コロナ交付金を活用して実施した個々の交付対象事業(以下「交付金事業」という。)の終了後に、効果の検証(以下「効果検証」という。)を実施し、検証結果を公表するなど説明責任を果たすよう要請している。検査したところ、地方公共団体において交付金事業の適切な方法による効果検証が実施されていない事態が見受けられたことから、本院は、内閣総理大臣に対して4年10月に、内閣府において、効果検証の趣旨に沿った適切な方法により、速やかに効果検証を実施して検証結果を公表するよう周知することなどについて、会計検査院法第36条の規定により意見を表示している。

そして、内閣府は、本院指摘の趣旨に沿い、4年11月に地方公共団体に対して事務連絡を発し、地方公共団体において、適切な方法により速やかに効果検証を実施して検証結果を公表するよう周知している。

また、4年12月23日に改正された制度要綱等において、地方公共団体は、実施計画に基づき交付金事業の実施状況及びその効果をインターネット等の利用により公表することとされている。内閣府は、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金Q&A」において効果検証の実施及び公表について、地方公共団体ごとの事業の進捗状況や効果検証の方法に基づき、適切な方法で、適切な時期に行うよう求めているほか、事務連絡において、コロナ交付金について、一部その使途について議論もあることから、効果的、効率的な事業に活用するとともに、各地方公共団体において説明責任を果たすよう要請している。

なお、5年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」に基づき策定された「新経済・財政再生計画改革工程表2023」では、交付金事業について、6年度までに実施状況及び効果を公表している地方公共団体数100%を目指すこととされている。そして、内閣府は6年6月に、4年度までの効果検証については、全ての地方公共団体において公表済みであるとしている。

(2) これまでの検査の実施状況

本院がコロナ交付金について検査した結果を掲記したものは図表4のとおりとなっている。そして、令和3年度決算検査報告及び令和4年度決算検査報告に掲記した不当事項、会計検査院法第36条の規定により意見を表示し又は処置を要求した事項は、いずれも地方単独事業や国庫補助事業等の地方負担分事業により実施された事業が対象となっている。

図表4 コロナ交付金について本院が検査した結果を掲記したもの

報告名 掲記区分等 府省名 件名
令和2年度決算検査報告 特定検査対象に関する検査状況 16府省等 「新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について」
令和3年度決算検査報告 不当事項(3件) 総務省 「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費が過大に精算されていたなどのもの」
会計検査院法第36条の規定による処置要求及び意見表示 内閣府
総務省
「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に当たり、商品券等の配布事業において使用期限経過後の未換金相当額等に交付金を充当しない取扱いとするなどした上でその旨を地方公共団体に対して周知するなどするよう改善の処置を要求するとともに、水道料金等の減免事業において実施計画の確認を確実に行えるようにするための方策を検討するなどしたり、効果検証の趣旨に沿った適切な方法により、速やかに効果検証を実施して検証結果を公表するよう地方公共団体に対して周知したりするよう意見を表示したもの」
特定検査対象に関する検査状況 17府省等 「新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について」
会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告(令和5年9月) 国会からの検査要請事項に関する報告 9府省等 「予備費の使用等の状況に関する会計検査の結果について」
令和4年度決算検査報告 不当事項(15件) 総務省 「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費に対象とならない経費を含めるなどしていたもの」
会計検査院法第36条の規定による処置要求 内閣府
総務省
「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に当たり、物品配布等事業において使用されていない物品の活用を促進する方策を検討するよう地方公共団体に対して周知するなどするとともに、端末購入等事業における超過期間に係る保守費用等について交付対象経費となる範囲の取扱いを明確に定めるなどした上で、実施計画上で交付の対象となる範囲を明らかにすることなどを地方公共団体に対して周知するなどするよう改善の処置を要求したもの」

(注) 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告(令和5年9月)には、コロナ交付金に係る予備費の使用等の状況が含まれている。

図表4のうち、不当事項については、指摘を受けた地方公共団体はコロナ交付金の国庫への返還を行うとしている。また、令和3年度決算検査報告に掲記した会計検査院法第36条の規定による処置要求及び意見表示のうち、商品券等の配布事業において使用期限経過後の商品券等に係る未換金相当額等が滞留するなどしている事態、金融機関から融資を受けた中小企業者等が負担した信用保証料の補助等事業において保証対象の債務に係る繰上償還に伴い生じた信用保証料等の過払い分の返金等が地方公共団体に滞留している事態については、本院の指摘に基づきコロナ交付金を国庫へ返還する仕組みが整備されたことなどにより、該当する地方公共団体はコロナ交付金を国庫へ返還する必要がある。

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

コロナ交付金については、1(1)のとおり、2年度の制度創設から数年間にわたり補正予算や予備費により多額の予算措置が行われて、地方公共団体に交付されているが、地方公共団体における事業の執行に関しては、不正受給が発生していることや、新型コロナウイルス感染症対策として実施したとする事業内容への疑義などが報じられている。

そして、地方公共団体は、内閣府に実施計画を、総務省等に実績報告書をそれぞれ別々に提出しているため、国は交付金事業の実施状況や交付金充当額について網羅的に把握していない状況であり、コロナ交付金の全体の執行状況を取りまとめたものは公表されていない。

また、内閣府は、コロナ交付金の効果検証に関する調査を3年度から5年度までの間に実施してその結果を公表しており、交付金充当額等に関しては、実施計画に記載された全ての事業を調査対象としたとしているが、交付金事業の実績、効果等に関しては、全ての事業ではなく地方公共団体や内閣府が抽出した事業を対象として、アンケート調査及びヒアリング調査の結果を踏まえて取りまとめていた。

そこで、本院は、合規性、経済性、有効性、透明性の確保(注1)及び国民への説明責任の向上(注1)等の観点から、2年度の制度創設から4年度(5年3月の予備費の使用決定)までの間に予算が措置されたコロナ交付金の全体像について、国の予算措置とその執行状況はどのようになっているか、交付を受けた地方公共団体における事業の執行状況はどのようになっているか、事業の実施体制や審査体制はどのようになっているか、コロナ交付金に係る不正受給等の発生やそれに伴う返還等の状況はどのようになっているか、コロナ交付金の財源として予備費が充てられているものについては使用決定から執行までの状況はどのようになっているか、地方公共団体における効果検証において説明責任が果たされているかなどに着眼して検査した。

(注1)
会計検査院法における「その他会計検査上必要な観点」に位置付けられるものである。

(2) 検査の対象及び方法

2年度から5年度までの間に地方公共団体(47都道府県及び1,741市区町村(コロナ交付金の交付を受けた市区町村))に対して交付されたコロナ交付金を対象として、内閣府本府、総務本省及び43都道府県(注2)(うち管内市区町村を含む会計実地検査は16都道府県)において会計実地検査を行うほか、上記の地方公共団体に係る実施計画及び実績報告書の提出を受けるとともに、44都道府県(注3)から調書の提出を受け、これらを分析するなどして検査した。

また、協力要請推進交付金による事業及び検査促進交付金による事業については、内閣感染症危機管理統括庁(5年8月31日以前は内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室)が制度設計、都道府県との協議等を行っていることから、内閣府を通じて同庁の見解を確認するなどして検査した。

(注2)
43都道府県  福島県及び「令和6年能登半島地震」により被災した新潟、富山、石川各県を除く。
(注3)
44都道府県  「令和6年能登半島地震」により被災した新潟、富山、石川各県を除く。

3 検査の状況

(1) 予算の執行状況

ア 内閣府及び総務省における予算措置及びその執行状況

コロナ交付金は2年度から4年度までの間に18兆3259億余円が内閣府所管として予算措置され、内閣府は、これらの予算のうち総務省へ計15兆2991億余円(うち予備費使用額6兆2222億余円)を移し替えており、総務省へ移し替えされなかった4、5両年度の計3兆0268億余円(同568億余円)が不用額となっている。

そして、総務省は、地方公共団体へ計15兆0579億余円(うち予備費使用額6兆1665億余円)を交付しており、2年度から5年度までの間の計2396億余円(同549億余円)が不用額となっている。

不用額については、内閣府と総務省で計3兆2665億余円となっている(図表5参照)。

図表5 コロナ交付金に係る予算の執行状況

(単位:億円)
年度 財源の内訳 内閣府 総務省
歳出予算額
総務省への移替額(支出済歳出額)
翌年度繰越額
不用額
歳出予算額(内閣府からの移替額)
地方公共団体への交付額(支出済歳出額)
翌年度繰越額
不用額
令和
2年度
補正予算と予備費の計
7兆8791 5兆0110 2兆8680 5兆0110 2兆6144 2兆3958 7
うち予備費の額
3兆3791 1兆6288 1兆7502 1兆6288 2817 1兆3470
3年度
補正予算と予備費の計
7兆2968 5兆7195 4兆4454 5兆7195 6兆8229 1兆2566 357
うち予備費の額
5000 2兆2502 2兆2502 3兆4163 1786 23
4年度
補正予算と予備費の計
3兆1500 3兆1201 1兆8931 2兆5821 3兆1201 3兆7981 5014 771
うち予備費の額
2兆4000 1兆1461 1兆2538 1兆1461 9418 3777 51
5年度
補正予算と予備費の計
1兆4484 4446 1兆4484 1兆8223 14 1261
うち予備費の額
1兆1969 568 1兆1969 1兆5265 7 474
補正予算と予備費の計
18兆3259 15兆2991 3兆0268 15兆2991 15兆0579 2396
うち予備費の額
6兆2791 6兆2222 568 6兆2222 6兆1665 549
  • 注(1) 図表中の金額欄の「0」は単位未満あり、「―」は皆無を示している(以下、図表において同じ。)。
  • 注(2) 歳出予算額(当初予算額、補正予算額並びに予算移替増加額及び予算移替減少額の合計)に前年度繰越額、予備費使用額、流用等増減額及び予算決定後移替増減額を加減したものが歳出予算現額となる。

イ 交付金事業の経済対策別執行状況

内閣府は、1(1)アのとおり、制度要綱等に基づき、コロナ交付金の交付を受けようとする地方公共団体に対して、交付対象事業の名称、事業の概要、交付対象事業と経済対策との関係、事業費や交付金充当額等の事項を記載した実施計画を提出させ、その内容を確認するなどしている。1(1)イのとおり、コロナ交付金は、2年4月から4年10月までの間に決定された五つの経済対策への対応として措置されたものである。

そして、五つの経済対策には計14の「経済対策の柱」とそれに基づく取組が記載されている。内閣府は、「経済対策の柱」に基づく取組を「経済対策の区分」として設定し、これを実施計画に記載させることとしており、経済対策の別に「経済対策の柱」と「経済対策の区分」については図表6のとおりとなっている。

図表6 内閣府が設定した経済対策の区分

経済対策の名称
(閣議決定年月)
経済対策の柱 経済対策の区分
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策(令和2年4月)

Ⅰ 感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発

①―Ⅰ―1.マスク・消毒液等の確保
①―Ⅰ―2.検査体制の強化と感染の早期発見
①―Ⅰ―3.医療提供体制の強化
①―Ⅰ―4.治療薬・ワクチンの開発加速
①―Ⅰ―5.帰国者等の受入れ体制の強化
①―Ⅰ―6.情報発信の充実
①―Ⅰ―7.感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力
①―Ⅰ―8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備

Ⅱ 雇用の維持と事業の継続

①―Ⅱ―1.雇用の維持
①―Ⅱ―2.資金繰り対策
①―Ⅱ―3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援
①―Ⅱ―4.生活に困っている世帯や個人への支援
①―Ⅱ―5.税制措置

Ⅲ 次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復

①―Ⅲ―1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
①―Ⅲ―2.地域経済の活性化

Ⅳ 強靱な経済構造の構築

①―Ⅳ―1.サプライチェーン改革
①―Ⅳ―2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援
①―Ⅳ―3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
①―Ⅳ―4.公共投資の早期執行等
国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策(2年12月)

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策

②―Ⅰ―1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
②―Ⅰ―2.PCR検査・抗原検査の体制整備
②―Ⅰ―3.ワクチン接種体制の整備、治療薬の開発等
②―Ⅰ―4.知見に基づく感染防止対策の徹底
②―Ⅰ―5.感染症の収束に向けた国際協力

Ⅱ ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現

②―Ⅱ―1.デジタル改革
②―Ⅱ―2.グリーン社会の実現
②―Ⅱ―3.中小・小規模事業者の経営転換や企業の事業再構築等の支援
②―Ⅱ―4.イノベーションの促進
②―Ⅱ―5.サプライチェーンの強靱化と国際競争力の向上
②―Ⅱ―6.地方への人の流れの促進など活力ある地方創り
②―Ⅱ―7.成長分野への円滑な労働移動等の雇用対策パッケージ
②―Ⅱ―8.更なる輸出拡大を軸とした農林水産業の活性化
②―Ⅱ―9.家計の暮らしと民需の下支え
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(3年11月)

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止

③―Ⅰ―1.医療提供体制の強化
③―Ⅰ―2.ワクチン接種の促進、検査の環境整備、治療薬の確保
③―Ⅰ―3.感染防止策の徹底
③―Ⅰ―4.事業者への支援
③―Ⅰ―5.生活・暮らしへの支援
③―Ⅰ―6.エネルギー価格高騰への対応

Ⅱ 「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え

③―Ⅱ―1.安全・安心を確保した社会経済活動の再開
③―Ⅱ―2.ワクチン・治療薬等の国内開発
③―Ⅱ―3.感染症の収束に向けた国際協力等
③―Ⅱ―4.新型コロナウイルス感染症対策予備費の適時適切な執行

Ⅲ 未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動

③―Ⅲ―1.科学技術立国の実現
③―Ⅲ―2.地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」
③―Ⅲ―3.経済安全保障
③―Ⅲ―4.公的部門における分配機能の強化等
コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」(4年4月)

Ⅰ 原油価格高騰対策

④―Ⅰ.原油価格高騰対策

Ⅱ エネルギー・原材料・食料等安定供給対策

④―Ⅱ.エネルギー・原材料・食料等安定供給対策

Ⅲ 新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等

④―Ⅲ.新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等

Ⅳ コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援

④―Ⅳ.コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援
物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策(4年10月)

Ⅳ 防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保

⑤―Ⅳ―1.ウィズコロナ下での感染症対応の強化

1(1)のとおり、地方公共団体は、新型コロナウイルス感染症への対応として効果的な対策であり地域の実情に合わせて必要とする事業とその事業内容等を記載した実施計画を作成し、内閣府へ提出するなどしてコロナ交付金の交付を受けている。そして、地方公共団体は、交付を受けたコロナ交付金について、実施計画に基づいて実施した事業に充当しているが、全ての地方公共団体が実施計画に記載した全ての事業を実施しているわけではない。また、実績報告書は事業名、総事業費、交付金充当額等のみの記載となっており、事業の概要が記載されていない。

このため、交付金事業の概要と執行状況を把握するには、実績報告書により実施した事業を特定して、特定した事業を更に実施計画と突合する必要がある。突合に際しては、実施計画と実績報告書とで異なる事業名等により提出されるものもあるため、その場合、実績報告書により特定した事業が実施計画のどの事業に該当するか当該地方公共団体に確認する必要がある。

また、実施計画は内閣府に、実績報告書は総務省等にそれぞれ別々に提出されるため、コロナ交付金の交付を受けた全ての地方公共団体における交付金事業の実施状況や交付金充当額については、網羅的に把握することができない状況となっている。

そこで、本院において、コロナ交付金の事業等のうち使途に制限が設けられている「協力要請推進交付金」及び「検査促進交付金」を除く事業等について、47都道府県1,741市区町村が5年11月までに内閣府に提出した実施計画に基づき実施した事業(計164,803事業)を対象として、実施計画と実績報告書とを突合するとともに、当該地方公共団体に確認するなどして「経済対策の柱」及び「経済対策の区分」の別により集計したところ、次のような状況となっていた。

(ア) 「経済対策の柱」の別による事業費とコロナ交付金の充当の状況

各地方公共団体が実施し額の確定を受けた上記の交付金事業164,803事業について、総務省等へ提出された実績報告書に記載された事業と、内閣府へ提出された実施計画に記載された事業とを突合して、「経済対策の柱」の別により集計したところ、事業費とコロナ交付金の充当の状況は、図表7のとおりとなっていた。

図表7 「経済対策の柱」の別による事業費とコロナ交付金の充当の状況

(単位:事業、百万円)
経済対策の名称
(閣議決定年月)
経済対策の柱 事業数 事業費 交付金充当額
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策
(令和2年4月)

Ⅰ 感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発

54,492 1,260,135 963,134

Ⅱ 雇用の維持と事業の継続

31,015 3,620,425 2,153,676

Ⅲ 次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復

19,812 1,075,475 850,117

Ⅳ 強靱な経済構造の構築

14,241 540,629 393,521
国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策
(2年12月)

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策

2,679 132,868 95,031

Ⅱ ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現

3,097 81,841 60,448
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
(3年11月)

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止

20,030 511,571 323,815

Ⅱ 「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え

2,213 41,179 33,316

Ⅲ 未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動

2,723 51,349 36,512
コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」
(4年4月)

Ⅰ 原油価格高騰対策

4,513 102,674 86,717

Ⅱ エネルギー・原材料・食料等安定供給対策

1,615 29,908 25,680

Ⅲ 新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等

510 22,234 16,768

Ⅳ コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援

7,283 363,254 290,529
物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策
(4年10月)

Ⅳ 防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保

580 6,420 3,831
164,803 7,839,969 5,333,101

交付金充当額についてみると、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月)の四つの柱のうち、「Ⅱ雇用の維持と事業の継続」に2兆1536億余円、「Ⅰ感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」に9631億余円、「Ⅲ次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」に8501億余円等が充当されており、協力要請推進交付金及び検査促進交付金を除く交付金充当額の総額(5兆3331億余円)に占める割合はそれぞれ40.3%、18.0%、15.9%であり、三つの経済対策の柱で全体の74.3%を占めていた。

(イ) 「経済対策の区分」の別による年度ごとのコロナ交付金の充当の状況

地方公共団体における交付金事業について、年度ごとの「経済対策の区分」の別による交付金充当額を集計したところ、図表8のとおりとなっており、2、3両年度は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月)の「Ⅱ雇用の維持と事業の継続」のうち、「①―Ⅱ―3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援」に、2年度9385億余円、3年度6193億余円が充当されており、各年度の交付金充当額の総額(2年度3兆0485億余円、3年度1兆6343億余円)に占める割合はそれぞれ30.7%、37.8%となっていた。一方、4年度は、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和4年4月)のうち「Ⅳコロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援」に2905億余円、「Ⅰ原油価格高騰対策」に867億余円が充当されており、4年度の交付金充当額の総額(6501億余円)に占める割合はそれぞれ44.6%、13.3%であり、物価高騰対策が交付金充当額の総額の過半を占めていた。

図表8 「経済対策の区分」の別による年度ごとのコロナ交付金の充当の状況

(単位:千円)
経済対策の名称
(閣議決定年月)
経済対策の柱 経済対策の区分 交付金充当額
(2年度)
交付金充当額
(3年度)
交付金充当額
(4年度)
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策
(令和2年4月)
Ⅰ 感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発 ①―Ⅰ―1.マスク・消毒液等の確保 237,237,862 68,368,417 305,606,279
①―Ⅰ―2.検査体制の強化と感染の早期発見 37,482,812 35,452,418 72,935,231
①―Ⅰ―3.医療提供体制の強化 218,443,678 114,229,257 332,672,936
①―Ⅰ―4.治療薬・ワクチンの開発加速 245,045 172,945 417,990
①―Ⅰ―5.帰国者等の受入れ体制の強化 1,073,331 810,944 1,884,275
①―Ⅰ―6.情報発信の充実 18,074,344 9,702,076 27,776,421
①―Ⅰ―7.感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力 26,366 11,550 37,916
①―Ⅰ―8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備 186,396,260 35,407,030 221,803,291
Ⅱ 雇用の維持と事業の継続 ①―Ⅱ―1.雇用の維持 37,395,863 17,196,374 54,592,237
①―Ⅱ―2.資金繰り対策 240,726,595 26,061,755 266,788,350
①―Ⅱ―3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援 938,534,132 619,391,786 1,557,925,918
①―Ⅱ―4.生活に困っている世帯や個人への支援 213,208,084 60,807,585 274,015,670
①―Ⅱ―5.税制措置 330,145 24,139 354,284
Ⅲ 次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復 ①―Ⅲ―1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援 190,324,210 85,812,556 276,136,766
①―Ⅲ―2.地域経済の活性化 393,069,394 180,910,894 573,980,289
Ⅳ 強靱な経済構造の構築 ①―Ⅳ―1.サプライチェーン改革 8,724,630 2,865,341 11,589,971
①―Ⅳ―2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援 10,917,369 1,817,427 12,734,797
①―Ⅳ―3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速 277,942,139 53,288,019 331,230,159
①―Ⅳ―4.公共投資の早期執行等 27,850,246 10,116,531 37,966,777
国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策
(2年12月)
Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策 ②―Ⅰ―1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援 2,725,475 30,292,481 33,017,957
②―Ⅰ―2.PCR検査・抗原検査の体制整備 620,406 26,068,288 26,688,695
②―Ⅰ―3.ワクチン接種体制の整備、治療薬の開発等 541,892 3,388,333 3,930,226
②―Ⅰ―4.知見に基づく感染防止対策の徹底 1,642,000 29,738,508 31,380,509
②―Ⅰ―5.感染症の収束に向けた国際協力 14,608 14,608
Ⅱ ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現 ②―Ⅱ―1.デジタル改革 1,070,717 15,761,345 16,832,062
②―Ⅱ―2.グリーン社会の実現 285,731 733,816 1,019,548
②―Ⅱ―3.中小・小規模事業者の経営転換や企業の事業再構築等の支援 1,329,568 18,909,743 20,239,311
②―Ⅱ―4.イノベーションの促進 264,382 1,162,482 1,426,864
②―Ⅱ―5.サプライチェーンの強靱化と国際競争力の向上 54,014 54,014
②―Ⅱ―6.地方への人の流れの促進など活力ある地方創り 572,031 6,877,880 7,449,911
②―Ⅱ―7.成長分野への円滑な労働移動等の雇用対策パッケージ 633 424,643 425,276
②―Ⅱ―8.更なる輸出拡大を軸とした農林水産業の活性化 44,448 727,688 772,137
②―Ⅱ―9.家計の暮らしと民需の下支え 1,426,996 10,802,450 12,229,446
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
(3年11月)
Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止 ③―Ⅰ―1.医療提供体制の強化 4,840,312 9,001,031 13,841,343
③―Ⅰ―2.ワクチン接種の促進、検査の環境整備、治療薬の確保 2,987,944 2,653,299 5,641,243
③―Ⅰ―3.感染防止策の徹底 26,680,474 60,818,079 87,498,554
③―Ⅰ―4.事業者への支援 84,804,009 57,945,062 142,749,071
③―Ⅰ―5.生活・暮らしへの支援 28,567,146 41,096,588 69,663,734
③―Ⅰ―6.エネルギー価格高騰への対応 2,787,412 1,634,303 4,421,716
Ⅱ 「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え ③―Ⅱ―1.安全・安心を確保した社会経済活動の再開 8,929,067 24,173,049 33,102,117
③―Ⅱ―2.ワクチン・治療薬等の国内開発 20,000 20,000
③―Ⅱ―3.感染症の収束に向けた国際協力等 26 47,848 47,874
③―Ⅱ―4.新型コロナウイルス感染症対策予備費の適時適切な執行 146,794 146,794
Ⅲ 未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動 ③―Ⅲ―1.科学技術立国の実現 263,934 1,061,880 1,325,814
③―Ⅲ―2.地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」 5,297,670 26,262,380 31,560,050
③―Ⅲ―3.経済安全保障 142,505 122,914 265,419
③―Ⅲ―4.公的部門における分配機能の強化等 1,533,819 1,827,313 3,361,132
コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」
(4年4月)
Ⅰ 原油価格高騰対策 ④―Ⅰ.原油価格高騰対策 86,717,212 86,717,212
Ⅱ エネルギー・原材料・食料等安定供給対策 ④―Ⅱ.エネルギー・原材料・食料等安定供給対策 25,680,486 25,680,486
Ⅲ 新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等 ④―Ⅲ.新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等 16,768,696 16,768,696
Ⅳ コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援 ④―Ⅳ.コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援 290,529,028 290,529,028
物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策
(4年10月)
Ⅳ 防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保 ⑤―Ⅳ―1.ウィズコロナ下での感染症対応の強化 3,831,167 3,831,167
3,048,526,798 1,634,384,457 650,190,341 5,333,101,597

ウ 予備費を財源とするコロナ交付金の執行状況

交付金事業のための予算措置についてみると、予備費を財源とするものは、2年度から4年度までの間に計6兆2791億余円となっており、コロナ交付金全体(18兆3259億余円)の34.2%を占めている。そして、内閣府及び総務省における予備費を財源とする事業等別の執行状況は、図表9のとおりとなっており、内閣府についてみると、翌年度繰越額は2年度1兆7502億余円(予備費使用額の51.7%)、4年度計1兆2538億余円(同52.2%)となっており、不用額は5年度計568億余円(4年度に使用決定した額計の2.3%)となっていた。また、総務省についてみると、翌年度繰越額は2年度1兆3470億余円(移替額の82.7%)、3年度1786億余円(同7.9%)、4年度計3777億余円(同32.9%)、5年度計7億余円(同0.06%)となっており、不用額は2年度から5年度までに計549億余円(2年度から5年度までの移替額計の0.8%)となっていた。

図表9 予備費を財源とする事業等別の執行状況

(単位:百万円)
使用決定年度 事業等 年度 予備費使用額 内閣府 総務省
事業間流用
総務省への移替額
翌年度繰越額
不用額
地方公共団体への交付額
翌年度繰越額
不用額
令和
2年度
協力要請推進交付金
2年度 3,379,107 1,628,854 1,750,253 281,785 1,347,068
3年度 1,750,253 3,096,546 774
3年度
事業者支援
交付金
3年度 500,000 500,000 319,809 178,612 1,578
4年度 174,145 1,236 3,230
5年度 281 954
4年度
物価高騰対
応分
4年度 800,000 ▲ 200,000 591,549 8,450 419,918 170,787 843
5年度 8,374 75 169,058 128 9,975
重点支援交
付金
4年度 1,600,000 200,000 554,597 1,245,402 347,823 205,723 1,050
5年度 1,188,606 56,795 1,357,161 660 36,507
年度別計 2年度 3,379,107 1,628,854 1,750,253 281,785 1,347,068
3年度 500,000 2,250,253 3,416,355 178,612 2,353
4年度 2,400,000 1,146,147 1,253,852 941,887 377,747 5,124
5年度 1,196,981 56,871 1,526,501 789 47,437
合計 6,279,107 6,222,236 56,871 6,166,531 54,915

図表9において、4年度に予備費の使用が決定された重点支援交付金1兆6000億円のうち5000億円は、低所得者世帯支援事業として住民税非課税世帯に対して一律に3万円を支給する事業の予算である。その財源となる5000億円について、内閣府は、5年3月24日に予備費の使用要求書を財務省へ送付し、同月28日の閣議決定により予備費使用要求額と同額の使用決定が行われている。

内閣府は、この予備費使用額について、4年度内に総務省への移替えを行い、移替えを受けた総務省において、市区町村に対して同年度内に交付決定を行う予定であったとしている。しかし、内閣府に対して、予備費使用決定日(5年3月28日)から年度末(5年3月31日)までの短期間でどのように執行することを想定していたのかなどについて確認したところ、その内容は判然としなかった。

そして、使用決定された予算の執行状況についてみると、内閣府は、地方公共団体における実施計画の作成等に時間を要したとして、予備費の使用決定を受けた翌日の同月29日に全額を5年度に繰り越して、総務省への移替えを行ったのは同年7月24日となっていた。

交付行政庁である総務省は、同月31日以降、市区町村に対して交付決定を行い、これらの交付決定を受けた市区町村は、6年4月15日までに対象世帯に対して支給を終了していた。なお、予備費の使用決定を受けた日から市区町村が支給を完了するまでの期間は、193日から385日を要していた。

(2) 交付金事業の実施状況等

1(1)アのとおり、各地方公共団体は、実施計画において、交付対象事業の名称、事業の概要、交付対象事業と経済対策との関係、事業費や交付金充当額等の事項を記載することとされている。

一方で、実績報告書においては、交付金事業の交付対象事業の名称、事業費及び交付金充当額の記載のみで、交付対象事業の目的、経済対策との関係については記載されていない。

3(1)イのとおり、地方公共団体は、交付を受けたコロナ交付金について、実施計画に記載した全ての事業を実施しているわけではなく、実績報告書には事業の概要が記載されていないため、交付金事業について、地方公共団体が実施した事業の概要や執行状況を把握するには、実績報告書に記載された事業を特定して、特定した事業を更に実施計画と突合する必要がある。また、突合に際しては、実施計画と実績報告書で異なる事業名等により提出されるものもあり、その場合、実績報告書により特定した事業が実施計画のどの事業に該当し、実施した事業の内容等を当該地方公共団体に確認する必要がある。

そこで、本院が、44都道府県から調書の提出を受けるなどして、2年度から5年度までの間に、44都道府県が実施した交付金事業の事業費及び交付金充当額について、コロナ交付金の事業等別に集計したところ、図表10のとおりとなっていた。

図表10 44都道府県のコロナ交付金の事業等別の執行状況(令和2~5年度)

(単位:百万円)
事業等 事業実施期間 事業費 交付金充当額
地方単独事業 令和2~5年度 3,984,949 2,650,336
国庫補助事業等の地方負担分事業 2~5年度 227,944 85,532
協力要請推進交付金 2~4年度 6,583,984 5,934,621
事業者支援交付金 3~5年度 697,354 449,365
検査促進交付金 3~5年度 237,538 200,122
物価高騰対応分 4~5年度 307,229 274,625
重点支援交付金 4~5年度 787,221 657,595
12,826,221 10,252,199

また、令和3年度決算検査報告及び令和4年度決算検査報告に掲記した事項について国庫への返還が生じていること、44都道府県が実施した交付金事業において不正受給等が発生し事業費の返還が発生している地方公共団体があることから、5年度末時点における国庫への返還状況等について、コロナ交付金の事業等別に集計したところ、図表11のとおりとなっていた。

なお、国庫への返還を要する額は、交付金事業において補助金等を不正受給するなどした事業者から地方公共団体に返還される額のうちの交付金充当額であり、事業者から地方公共団体に返還されなければ国庫へも返還されないことから、未返還額となる。

図表11 コロナ交付金の事業等別の国庫への返還の状況(令和5年度末)

(単位:千円)
事業等 国庫への返還を要する額 国庫への返還済額 未返還額
地方単独事業及び国庫補助事業等の地方負担分事業 2,207,126 1,212,593 994,533
協力要請推進交付金 1,938,636 943,609 995,027
事業者支援交付金 542,940 523,659 19,280
検査促進交付金 15,858,306 817,669 15,040,637
20,547,010 3,497,531 17,049,478

そして、図表10の44都道府県のコロナ交付金の事業等別の執行状況及び図表11のコロナ交付金の事業等別の国庫への返還の状況について、各事業等の検査の状況は、次のとおりとなっていた。

ア 地方単独事業及び国庫補助事業等の地方負担分事業

(ア) 地方単独事業及び国庫補助事業等の地方負担分事業の概要

地方単独事業は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等を通じた地方創生に資する事業(経済対策に対応した事業)の実施に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費とされている。

また、国庫補助事業等の地方負担分事業は、制度要綱に掲げる基準に適合する国の補助事業等において、地方公共団体が一部を負担することとされている費用とされており、制度要綱別表に定める国の補助事業等に該当する事業が交付対象事業とされている。

(イ) 地方単独事業及び国庫補助事業等の地方負担分事業の実施状況とそれに対する交付金充当額の状況

地方公共団体における地方単独事業及び国庫補助事業等の地方負担分事業の実施状況について、44都道府県から調書の提出を受けるなどして集計したところ、2年度から5年度までの間に実施計画に基づき実施した地方単独事業は、計16,786事業、事業費計3兆9849億余円、交付金充当額計2兆6503億余円、国庫補助事業等の地方負担分事業は、計3,553事業、事業費計2279億余円、交付金充当額計855億余円となっていた(図表12及び13参照)。

図表12 地方単独事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円)
都道府県名 実施計画 実績報告
事業数 事業費 交付金充当額 事業数 事業費 交付金充当額
北海道 311 202,023,921 173,775,354 289 206,400,376 119,309,280
青森県 428 60,205,169 59,156,621 369 48,532,862 38,004,988
岩手県 418 40,241,081 39,768,997 417 38,450,400 37,875,932
宮城県 477 85,065,005 55,697,547 468 72,354,009 41,419,122
秋田県 537 45,284,154 45,269,836 522 40,608,776 38,695,195
山形県 592 41,453,883 41,384,261 586 34,717,597 33,996,680
福島県 318 63,235,652 61,456,293 296 52,894,957 42,084,094
茨城県 281 65,575,824 64,988,406 280 55,289,911 54,550,808
栃木県 363 61,960,321 61,142,802 308 44,161,116 36,199,878
群馬県 150 54,231,191 52,387,838 144 80,007,518 37,963,705
埼玉県 518 475,024,836 454,825,452 496 174,166,913 168,576,855
千葉県 189 152,958,271 152,506,838 121 113,923,631 108,842,108
東京都 123 3,233,475,347 872,035,495 57 370,087,646 186,373,160
神奈川県 794 931,057,070 96,835,628 562 198,130,710 183,535,891
福井県 531 56,933,573 54,252,400 439 46,993,605 33,676,376
山梨県 776 58,799,527 58,256,957 708 40,287,691 36,177,153
長野県 378 229,898,193 51,579,728 342 364,341,200 47,790,970
岐阜県 835 178,184,790 57,420,952 841 171,391,409 52,069,237
静岡県 270 131,894,216 68,337,335 246 99,512,214 57,669,338
愛知県 742 314,792,561 302,454,591 458 121,261,243 101,724,625
三重県 564 59,354,003 51,828,845 551 52,800,678 40,357,192
滋賀県 547 36,552,573 35,138,229 526 32,445,972 30,956,593
京都府 248 59,391,209 58,657,513 248 57,140,612 56,792,004
大阪府 171 251,586,383 229,825,874 170 226,870,742 176,059,314
兵庫県 764 192,064,749 168,606,447 669 127,189,808 107,454,599
奈良県 152 97,434,251 72,541,247 141 54,251,480 36,050,312
和歌山県 153 41,269,912 41,115,801 145 33,986,684 30,453,291
鳥取県 514 45,310,046 44,237,285 363 32,759,855 31,850,254
島根県 747 62,438,098 49,566,064 720 53,077,376 38,497,987
岡山県 445 92,459,079 43,038,499 435 80,209,712 38,803,185
広島県 422 104,045,606 97,029,457 307 162,172,233 63,667,969
山口県 341 49,836,525 48,466,462 330 47,962,442 40,183,865
徳島県 390 54,307,919 43,377,589 376 36,804,922 31,501,261
香川県 324 83,356,389 54,832,985 228 24,446,817 23,191,536
愛媛県 159 46,770,503 46,681,566 159 35,105,985 35,105,982
高知県 396 48,155,396 45,690,759 367 36,872,002 32,302,456
福岡県 456 194,689,831 142,442,431 431 112,274,550 99,478,915
佐賀県 364 54,287,250 41,195,346 293 39,104,590 29,729,590
長崎県 358 55,380,137 53,140,991 331 39,769,276 38,291,259
熊本県 547 192,380,949 57,520,292 544 99,467,955 46,597,627
大分県 335 74,035,628 51,384,814 287 84,245,276 41,727,343
宮崎県 404 42,508,656 42,084,555 400 37,959,799 35,852,089
鹿児島県 622 59,026,218 47,843,009 609 56,111,548 41,129,067
沖縄県 207 70,279,476 69,921,239 207 48,405,521 47,767,330
44都道府県合計 18,661 8,549,215,371 4,459,700,630 16,786 3,984,949,639 2,650,336,433

図表13 国庫補助事業等の地方負担分事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円)
都道府県名 実施計画 実績報告
事業数 事業費 交付金充当額 事業数 事業費 交付金充当額
北海道 66 11,743,857 5,171,098 65 7,076,488 3,344,719
青森県 72 3,163,082 1,228,776 13 993,413 416,711
岩手県 128 3,491,313 1,376,185 117 3,014,814 1,176,909
宮城県 144 6,480,829 2,389,326 131 4,467,676 1,863,390
秋田県 47 3,081,148 791,724 44 1,915,116 642,752
山形県 93 4,166,503 2,230,321 92 2,920,095 1,414,748
福島県 93 4,598,520 1,900,568 75 7,171,174 1,055,538
茨城県 86 7,134,668 3,322,649 86 8,048,683 2,295,777
栃木県 78 7,054,638 2,703,995 72 4,147,266 2,100,919
群馬県 90 5,695,625 2,398,586 88 3,557,211 1,672,768
埼玉県 82 29,189,181 11,390,546 70 17,835,931 5,431,294
千葉県 68 10,863,955 4,763,400 56 7,053,918 3,404,636
東京都 2 1,797,331 898,666 1 588,902 251,410
神奈川県 96 9,720,562 4,350,203 83 7,451,928 3,464,521
福井県 89 3,825,287 1,438,142 66 3,391,291 644,251
山梨県 73 3,317,766 1,690,981 44 1,557,560 939,646
長野県 87 4,277,411 2,189,555 85 3,344,828 1,651,232
岐阜県 152 6,387,223 3,166,763 152 5,258,884 2,478,780
静岡県 63 5,070,006 8,301,180 63 4,055,684 1,908,935
愛知県 148 36,311,332 12,297,293 96 8,222,190 3,500,272
三重県 102 3,348,885 1,600,489 90 2,902,975 1,434,729
滋賀県 120 4,280,215 1,986,928 119 3,610,505 1,636,941
京都府 53 4,990,782 2,332,852 53 4,208,793 1,949,784
大阪府 58 11,149,541 5,126,190 44 6,696,439 2,770,173
兵庫県 125 19,932,231 6,471,210 125 11,004,179 4,542,702
奈良県 131 5,434,802 1,757,252 121 3,692,502 1,260,580
和歌山県 53 4,266,614 1,918,785 49 2,676,548 1,303,276
鳥取県 64 1,768,091 673,588 25 1,086,340 440,551
島根県 120 4,821,915 1,601,725 120 3,252,228 1,098,637
岡山県 79 5,039,037 2,196,166 76 2,401,518 1,280,596
広島県 66 9,670,840 4,215,935 57 5,947,248 2,730,661
山口県 112 4,772,691 1,843,543 96 3,642,859 1,347,610
徳島県 64 2,205,457 1,065,466 54 2,147,114 788,318
香川県 96 4,023,571 1,598,045 107 29,384,450 6,731,913
愛媛県 104 3,478,379 1,396,926 100 1,139,394 1,139,392
高知県 101 3,942,505 1,355,814 89 2,908,318 1,044,939
福岡県 122 23,739,695 7,361,834 113 8,122,883 3,569,711
佐賀県 115 7,484,984 5,079,164 110 5,136,294 1,681,244
長崎県 104 6,472,013 2,318,442 90 3,732,542 1,645,620
熊本県 113 14,900,981 3,010,444 106 7,844,420 2,155,934
大分県 63 3,505,368 1,901,275 57 2,351,595 1,319,572
宮崎県 72 3,947,895 1,127,934 70 3,166,469 915,149
鹿児島県 107 6,955,110 2,190,821 105 5,880,608 1,917,362
沖縄県 78 3,775,362 1,582,932 78 2,935,031 1,168,016
44都道府県合計 3,979 331,277,201 135,713,717 3,553 227,944,323 85,532,638

そして、会計実地検査を行った地方公共団体の一部では、実施計画において、地方単独事業の交付金事業の事業目的の記載が新型コロナウイルス感染症の感染リスクを低減させるためなどとなっていた。一方で、当該地方公共団体における当該事業の実施に当たり、議会への予算要求の説明書等においては庶務業務の集中的、効率的な処理を行うための業務等と記載されていて、新型コロナウイルス感染症との関連が記載されておらず、コロナ交付金を活用する必要性等について確認することができない状況が10団体で見受けられた。また、10団体においては、議会への予算要求の説明書等において一般財源により実施することとしていた事業の財源を、コロナ交付金に振り替えたものが見受けられた。

また、国庫補助事業等の地方負担分事業においては、交付金事業の事業費について地方負担分として実際に要した額を国の補助事業等の実績報告書に基づいてコロナ交付金の実績報告書に計上すべきところ、誤って所要見込額等を計上するなどしていたことなどにより、コロナ交付金が過大に精算されていた事態が見受けられ、令和4年度決算検査報告に4件を、また、令和5年度決算検査報告に9件を、それぞれ不当事項として掲記した(前掲「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費を過大に精算するなどしていたもの」のうち(17)~(25)参照)。

このような事態が生じていたのは、事業主体において交付金事業の事業費等の確認が十分でなかったことなどによるものであり、その背景について確認したところ、国の補助事業等の実績報告書の提出時期とコロナ交付金の実績報告書の提出時期が異なること、地方公共団体において補助事業等の担当部署とコロナ交付金の担当部署が異なっていて情報が共有されていないことなどによるものとなっていた。

(ウ) 本院の過去の指摘に伴うコロナ交付金の国庫への返還の状況

令和3年度決算検査報告及び令和4年度決算検査報告に掲記した事項については、当該地方公共団体からコロナ交付金の国庫への返還を要するものがあることから、6年4月までの国庫への返還状況について確認したところ、不当事項として掲記した計18件に係る事態については、返還を要する額の全額が国庫に返還されていた。また、令和3年度決算検査報告に処置要求及び意見表示として掲記した事項については、地方公共団体等に滞留するなどしていた商品券等に係る未換金相当額等計1314万余円、繰上償還等に伴い生じた信用保証料等の過払い分計10億9738万余円が国庫へ返還されていた(図表14参照)。

図表14 令和3年度決算検査報告及び令和4年度決算検査報告に掲記した事項に係るコロナ交付金の国庫への返還の状況(令和6年4月末現在)

(単位:円)
検査報告 掲記区分等 返還を要する額 返還済額 未返還額
令和3年度
決算検査報告
不当事項(3件) 7,721,092 7,721,092
会計検査院法第36条の規定による処置要求及び意見表示 商品券等に係る未換金相当額 64,718,408 13,140,908 51,577,500
信用保証料等の過払い分 2,040,340,885 1,097,384,604 942,956,281
令和4年度
決算検査報告
不当事項(15件) 94,346,559 94,346,559
2,207,126,944 1,212,593,163 994,533,781
  • (注) 信用保証料等の過払い分については、総務省は、既に生じた過払分返金額等及び今後生ずる過払分返金額等の状況を把握して、コロナ交付金を国庫に返還する仕組みを整備したことから、これにより返還された金額を記載している。

イ 協力要請推進交付金

(ア) 協力要請推進交付金の概要

協力要請推進交付金は、協力金の支払等に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費に充てるためのものであるとされている。

協力金を支給する地方公共団体は原則として都道府県とされているが、都道府県ではなく市町村が支給する場合は、都道府県が協力要請推進交付金を市町村に交付することを国に求めることができるとされている。

(イ) 協力要請推進交付金による事業の実施状況とそれに対する交付金充当額の状況

協力要請推進交付金による事業の実施状況について、44都道府県のうち41都道府県(注4)から調書の提出を受けるなどして集計したところ、2年度から4年度までの間に実施計画に基づき実施した協力要請推進交付金による事業は計637事業となっており、事業費計6兆5839億余円、交付金充当額計5兆9346億余円となっていた(図表15参照)。

(注4)
協力金の全てを市町村が支給している青森、奈良両県並びに県及び市町村共に国から協力要請推進交付金の交付を受けていない秋田県を除く。

そして、事業者に対する協力金についてみると、申請件数計537万余件のうち、支給の要件を満たしているとして支給の対象となったものは計524万余件となっており、事業費計6兆4756億余円、交付金充当額計5兆8663億余円となっていた。なお、支給の要件を満たしていないとして不支給となっていたものが計12万余件となっていた。

なお、41都道府県における6兆4756億余円の協力金の支給のために要した審査、振込み、コールセンター等の業務、見回り業務等の外部委託等に係る事務費は計1083億余円、交付金充当額計682億余円となっており、交付金充当額の全体に占める割合は1.1%となっていた(図表15参照)。

図表15 協力要請推進交付金による事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円)
都道府県名 事業数 事業費計 協力金 事務費
交付金充当額計 事業費   事業費  
交付金充当額 交付金充当額
北海道 20 129,178,002 47,456,954 129,178,002 47,456,954
岩手県 2 714,219 573,105 705,570 564,456 8,649 8,649
宮城県 9 469,522 391,215 318,524 240,217 150,998 150,998
山形県 7 4,018,604 3,162,311 3,898,604 3,118,884 119,999 43,427
福島県 9 39,943,995 30,541,432 39,350,631 30,217,771 593,363 323,661
茨城県 8 80,257,517 68,795,414 79,921,426 68,499,108 336,091 296,306
栃木県 11 57,709,549 47,138,934 56,897,975 46,583,586 811,574 555,348
群馬県 22 67,221,607 57,048,574 65,594,774 55,950,243 1,626,833 1,098,331
埼玉県 9 368,191,610 336,296,752 362,401,820 332,715,766 5,789,790 3,580,985
千葉県 30 362,386,585 330,597,411 352,022,985 325,989,308 10,363,600 4,608,103
東京都 9 1,882,151,990 1,788,483,056 1,833,807,695 1,762,530,907 48,344,295 25,952,148
神奈川県 27 596,905,752 554,079,245 591,173,909 548,347,402 5,731,842 5,731,842
福井県 2 3,626,033 2,866,353 3,495,553 2,796,442 130,480 69,911
山梨県 5 7,819,146 5,963,870 7,498,323 5,864,429 320,822 99,440
長野県 31 23,210,774 18,501,947 22,796,744 18,087,917 414,030 414,030
岐阜県 11 102,921,156 74,350,654 102,785,443 74,350,654 135,713
静岡県 12 75,207,830 61,247,433 74,496,374 60,535,977 711,456 711,456
愛知県 25 452,770,205 418,992,352 446,974,522 413,196,669 5,795,682 5,795,682
三重県 16 46,317,857 39,038,665 45,280,487 38,151,589 1,037,370 887,076
滋賀県 15 11,608,652 8,998,251 11,049,741 8,791,677 558,911 206,574
京都府 43 198,761,855 183,701,879 196,123,916 181,790,554 2,637,939 1,911,324
大阪府 37 904,373,901 839,337,190 896,498,250 834,132,742 7,875,651 5,204,447
兵庫県 48 338,173,607 301,656,866 335,416,262 299,772,189 2,757,344 1,884,677
和歌山県 6 7,992,644 5,871,364 7,161,125 5,728,160 831,519 143,204
鳥取県 4 400,169 320,223 399,725 319,779 444 444
島根県 2 2,525,391 1,940,330 2,366,256 1,893,005 159,135 47,325
岡山県 17 43,290,385 36,550,695 42,397,029 35,724,566 893,356 826,128
広島県 20 105,995,169 86,703,376 104,500,199 85,443,668 1,494,970 1,259,707
山口県 6 9,218,501 7,235,015 8,823,189 6,854,677 395,312 380,337
徳島県 5 8,789,788 7,057,495 8,661,461 6,929,168 128,327 128,326
香川県 19 22,581,484 18,094,549 22,224,613 17,737,678 356,871 356,871
愛媛県 1 1,882 1,506 1,882 1,506
高知県 6 11,965,375 9,393,485 11,641,756 9,237,693 323,619 155,792
福岡県 32 338,339,193 297,187,812 334,943,646 294,837,534 3,395,546 2,350,277
佐賀県 11 14,249,703 10,997,848 14,109,808 10,877,221 139,894 120,627
長崎県 2 75,834 37,317 62,251 37,317 13,583 0
熊本県 19 58,194,926 45,869,261 56,854,820 45,017,270 1,340,106 851,991
大分県 9 13,235,105 11,838,760 13,049,028 11,652,683 186,077 186,077
宮崎県 3 136,308 87,558 126,873 79,758 9,435 7,800
鹿児島県 17 32,800,767 25,599,416 31,976,263 25,124,734 824,504 474,682
沖縄県 50 160,251,831 150,615,545 158,621,119 149,202,416 1,630,712 1,413,129
41都道府県合計 637 6,583,984,441 5,934,621,431 6,475,608,583 5,866,384,286 108,375,858 68,237,145
  • 注(1) 北海道において、札幌市等10市町村における協力金の全てを当該市町村が支給しているため、これに係る事業数及び額は計上していない。
  • 注(2) 宮城、愛媛、長崎、宮崎各県において、飲食店に対する協力金を市町村が支給しているため、これに係る事業数及び額は計上していない。

(ウ) 協力金の返還の状況

協力要請推進交付金による事業において、協力金が事業者の過誤又は不正により受給されている事態が発覚しており、各都道府県において、協力金の返還命令を発出するなどの対応を5年度末においても行っている。

しかし、内閣府及び総務省は、上記の対応状況や各都道府県における国庫返還を要するコロナ交付金の額や件数、返還が生じた理由等を把握しておらず、協力要請推進交付金による事業における協力金の返還の状況が分からないものとなっていた。

そこで、41都道府県における事業者から都道府県への協力金の返還状況について検査したところ、5年度末において、店舗の実態がないこと、実際には営業時間の短縮を行っていないことなどのため、24都道府県が事業費計109億1369万余円の返還を求めるなどしており、このうち計82億1141万余円は都道府県に返還されていたが、都道府県からの返還の求めに事業者が応じないこと、事業者が分割納付を実施中であることなどのため、計27億0227万余円は返還されていなかった。

また、協力要請推進交付金の返還に係るコロナ交付金の都道府県から国庫への返還の状況については、上記の事業費109億1369万余円のうち国庫返還を要する協力金に係る交付金充当額は地方単独事業分等を含めて計19億3863万余円であり、このうち、計9億4360万余円は国庫へ返還されていたが、事業者から都道府県への返還金が未納付となっているなどのため、計9億9502万余円は返還されていなかった(図表16参照)。

図表16 協力要請推進交付金における協力金の返還の状況(令和5年度末現在)

(単位:千円、件)
都道府県名 事業者から都道府県への返還 都道府県から国庫への返還
返還を要する額等   返還を要する額等  
返還済 未返還 返還済 未返還
金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数
北海道 10,882 12 2,122 5 8,760 7 10,882 12 10,882 12
岩手県
宮城県
山形県
福島県
茨城県 60,912 66 53,918 60 6,994 6
栃木県 15,089 21 14,689 19 400 2
群馬県 10,925 12 4,430 5 6,495 7
埼玉県 614,991 875 375,307 679 239,684 216 603,102 745 349,484 516 253,618 229
千葉県 92,663 133 80,623 114 12,040 19 80,623 114 79,838 110 785 4
東京都 3,811,368 2,939 2,416,933 1,882 1,394,435 1,057 40,004 55 40,004 55
神奈川県 1,546,503 1,720 1,032,638 1,238 513,864 482 608,019 582 608,019 582
福井県
山梨県
長野県
岐阜県 15,488 16 15,488 16 9,482 8 9,482 8
静岡県 1,320 2 1,320 2
愛知県 101,930 112 100,205 109 1,725 3 59,123 57 57,398 54 1,725 3
三重県 46,293 58 38,478 46 7,814 12 2,910 3 2,910 3
滋賀県
京都府 250,926 1,247 244,977 1,230 5,949 17
大阪府 3,111,800 2,502 2,663,079 2,183 448,720 319 86,668 99 86,668 99
兵庫県 332,392 299 304,595 276 27,796 23 128,221 114 93,788 80 34,433 34
和歌山県 925 2 925 2 925 2 925 2
鳥取県
島根県
岡山県 262,584 664 262,584 664 29,348 20 28,403 16 945 4
広島県 38,554 62 34,812 52 3,742 10
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県 250,042 526 250,042 526
佐賀県 3,983 13 3,983 13 3,983 13 3,983 13
長崎県
熊本県 30,957 39 23,006 32 7,951 7 3,987 3 3,987 3
大分県 31,491 159 31,491 159 1,142 2 1,142 2
宮崎県 1,458 9 1,458 9
鹿児島県
沖縄県 270,215 244 255,233 230 14,982 14 270,215 244 188,505 179 81,709 65
10,913,693 11,732 8,211,415 9,549 2,702,277 2,203 1,938,636 2,073 943,609 1,137 995,027 936
  • (注) 事業実施期間の終了までに事業者から都道府県へ返還される場合等があるため、都道府県への返還を要する額と国庫への返還を要する額は一致しないものがある。

ウ 事業者支援交付金

(ア) 事業者支援交付金の概要

事業者支援交付金は、感染拡大の影響を受けている事業者の支援等に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費に充てるためのものであるとされている。事業者支援交付金の交付対象事業は、①感染拡大の影響を受けている事業者に対する支援(以下「事業者支援事業」という。)として、事業者を事業者支援交付金による補助・給付の直接の対象とする事業又は事業者支援交付金を財源として事業者が本来負担すべき費用等を減免する事業等、②事業者又は地方公共団体が実施する感染症対策の強化に関連する事業(以下「感染症対策強化事業」という。)として、医療提供体制や検査体制の整備に関する事業、事業者による業種ごとの感染拡大を予防するガイドラインの遵守徹底に資する事業、テレワークの推進に関する事業等とされている。

また、事業者支援交付金に係る事務連絡等によれば、事業者支援交付金は、飲食店における感染防止対策を徹底するための第三者による認証制度(以下「第三者認証制度」という。)に係る各種費用(認証制度の創設及び運用に係る事務費、飲食店に対する換気設備、アクリル板や消毒液の購入補助等)にも充当可能であり、都道府県は、第三者認証制度の創設・普及に積極的に取り組むことを検討することとされている。

(イ) 事業者支援交付金による事業の実施状況とそれに対する交付金充当額の状況

事業者支援交付金による事業の実施状況について、44都道府県から調書の提出を受けるなどして集計したところ、3年度の実施計画に基づき実施した事業者支援交付金による事業は計1,378事業となっており、事業費計6973億余円、交付金充当額計4493億余円となっていた。このうち、①事業者支援事業は、計909事業、事業費計5620億余円、交付金充当額計3397億余円となっており、②感染症対策強化事業は、計469事業、事業費計1352億余円、交付金充当額計1096億余円となっていた(図表17参照)。

図表17 事業者支援交付金による事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円、%)
都道府県名 事業者支援交付金による事業 ①事業者支援事業 ②感染症対策強化事業
事業数 事業費
A
交付金
充当額
B
交付金
充当割合
B/A
事業数 事業費 交付金
充当額
事業数 事業費 交付金
充当額
北海道 40 19,773,934 19,286,792 97.5 30 14,806,825 14,320,047 10 4,967,109 4,966,744
青森県 3 8,534,875 6,772,440 79.3 3 8,534,875 6,772,440
岩手県 42 6,729,837 6,578,910 97.7 22 5,150,945 5,000,195 20 1,578,891 1,578,714
宮城県 76 7,864,124 7,688,572 97.7 46 7,027,426 6,861,394 30 836,698 827,177
秋田県 56 6,528,290 5,952,175 91.1 38 4,623,797 4,623,795 18 1,904,493 1,328,380
山形県 35 6,275,084 5,941,626 94.6 32 5,916,794 5,583,335 3 358,290 358,290
福島県 12 12,178,097 8,586,619 70.5 12 12,178,097 8,586,619
茨城県 35 10,381,536 10,353,084 99.7 18 8,451,366 8,443,477 17 1,930,170 1,909,606
栃木県 22 13,483,940 7,751,790 57.4 15 12,313,930 7,183,035 7 1,170,009 568,755
群馬県 24 7,447,839 5,403,003 72.5 8 1,689,539 1,555,545 16 5,758,300 3,847,457
埼玉県 21 20,613,846 12,999,243 63.0 14 6,061,606 5,824,316 7 14,552,240 7,174,926
千葉県 7 16,247,329 16,010,844 98.5 4 14,296,023 14,296,023 3 1,951,305 1,714,820
東京都 11 50,029,997 41,540,038 83.0 3 27,671,684 20,242,376 8 22,358,312 21,297,661
神奈川県 38 22,637,086 22,637,086 100.0 29 20,406,074 20,406,074 9 2,231,011 2,231,011
福井県 1 5,936,000 5,192,327 87.4 1 5,936,000 5,192,327
山梨県 50 4,214,884 4,189,350 99.3 19 2,797,797 2,772,262 31 1,417,087 1,417,087
長野県 42 156,229,437 8,986,091 5.7 32 155,268,608 8,025,264 10 960,828 960,827
岐阜県 83 8,753,397 8,091,612 92.4 78 7,405,178 6,743,688 5 1,348,219 1,347,923
静岡県 75 13,804,104 11,210,118 81.2 38 4,039,713 3,899,051 37 9,764,390 7,311,066
愛知県 41 20,295,529 18,203,990 89.6 34 19,783,168 17,691,629 7 512,360 512,360
三重県 40 5,267,700 5,261,394 99.8 26 4,103,644 4,097,338 14 1,164,056 1,164,056
滋賀県 35 10,729,728 10,704,528 99.7 23 10,342,442 10,317,241 12 387,286 387,286
京都府 22 12,213,692 11,299,471 92.5 15 6,258,221 5,344,000 7 5,955,470 5,955,470
大阪府 28 39,645,424 33,544,101 84.6 9 30,032,774 24,058,808 19 9,612,649 9,485,293
兵庫県 48 20,460,232 18,753,829 91.6 30 15,523,310 13,923,147 18 4,936,922 4,830,682
奈良県 10 14,545,283 5,817,584 39.9 5 11,826,163 4,395,742 5 2,719,119 1,421,842
和歌山県 9 6,380,850 5,984,433 93.7 8 6,056,724 5,660,307 1 324,126 324,126
鳥取県 19 4,229,538 3,944,619 93.2 19 4,229,538 3,944,619
島根県 4 4,810,189 4,810,189 100.0 4 4,810,189 4,810,189
岡山県 12 9,253,952 8,628,005 93.2 9 8,990,567 8,364,619 3 263,385 263,385
広島県 29 22,299,514 11,842,241 53.1 15 15,810,530 9,377,739 14 6,488,983 2,464,501
山口県 6 7,547,608 6,859,042 90.8 4 5,146,100 4,457,535 2 2,401,507 2,401,507
徳島県 63 8,399,951 4,902,096 58.3 28 6,920,889 3,607,710 35 1,479,062 1,294,385
香川県 33 13,646,927 5,580,069 40.8 25 13,431,392 5,393,362 8 215,535 186,707
愛媛県 31 7,175,391 6,501,199 90.6 25 6,570,080 5,909,629 6 605,311 591,570
高知県 3 4,979,078 4,927,772 98.9 1 4,394,001 4,342,695 2 585,076 585,076
福岡県 47 22,234,304 19,473,665 87.5 23 17,281,246 16,015,775 24 4,953,057 3,457,890
佐賀県 15 5,327,093 4,904,260 92.0 14 4,690,783 4,267,949 1 636,310 636,310
長崎県 58 7,303,722 7,228,109 98.9 40 4,873,136 4,815,471 18 2,430,586 2,412,638
熊本県 42 9,345,250 8,444,889 90.3 32 6,027,684 5,127,323 10 3,317,565 3,317,565
大分県 11 7,681,475 6,477,504 84.3 7 4,475,711 4,465,517 4 3,205,763 2,011,986
宮崎県 26 5,663,548 5,663,548 100.0 18 3,932,681 3,932,681 8 1,730,866 1,730,866
鹿児島県 64 20,681,216 7,794,129 37.6 47 19,307,412 6,424,908 17 1,373,804 1,369,220
沖縄県 9 9,573,604 6,643,236 69.3 6 2,704,882 2,633,483 3 6,868,722 4,009,753
44都道府県合計 1,378 697,354,455 449,365,630 64.4 909 562,099,566 339,710,696 469 135,254,889 109,654,934

事業者支援交付金による1,378事業について、その支援の内容をみると、事業者に対して使途が特定されていない支援金、給付金等(以下「支援金等」という。)を支給する事業の数及び交付金充当額が延べ435事業、計2990億余円で、交付金充当額の6割以上が支援金等を支給する事業に使用されていた。

なお、44都道府県における延べ245万余りの事業者に対する計3580億余円の支援金等の支給のために要した委託費、事務費等は計187億余円となっており、支給された支援金等の額と合わせた事業費総額に占める割合は4.9%となっていた。

また、第三者認証制度の実施状況をみると、全都道府県における第三者認証制度の対象となる飲食店78万9927件のうち54万9051件が第三者認証を取得しており、44都道府県において第三者認証制度に係る各種費用に事業者支援交付金を充当した事業は、計90事業、事業費計398億余円、交付金充当額計352億余円となっていた。

(ウ) 支援金等の返還の状況

事業者支援交付金による事業において、支援金等が事業者の過誤又は不正により受給されている事態が発覚しており、各都道府県において、支援金等の返還命令を発出するなどの対応を5年度末現在においても行っている。

しかし、内閣府及び総務省は、上記の対応状況や各都道府県における国庫返還を要するコロナ交付金の額や件数、返還が生じた理由等を把握しておらず、事業者支援交付金による事業における支援金等の返還の状況が分からないものとなっていた。

そこで、44都道府県における事業者から都道府県への支援金等の返還状況について検査したところ、5年度末において、全435事業のうち30都道府県の71事業で計7億2023万余円の支援金等の返還を求めるなどしており、このうち7億0142万余円は都道府県に返還されていたが、都道府県からの返還の求めに事業者が応じないなどのため1880万余円は返還されていなかった。なお、返還が必要となった71事業の主な返還理由は、申請内容や要件等の誤りが57事業であり、当該誤りが判明した主な経緯として、都道府県又は委託先が改めて精査した結果によるものが24事業となっていた。

また、支援金等の返還に係るコロナ交付金の都道府県から国庫への返還状況については、上記71事業のうち国庫返還を要する31事業における支援金等に係る交付金充当額は地方単独事業分等を含めて計5億4294万余円であり、このうち5億2365万余円は国庫へ返還されていたが、国庫への返還手続中であるなどのため1928万余円は返還されていなかった(図表18参照)。

図表18 事業者支援交付金における支援金等の返還の状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円)
都道府県名 事業者から都道府県への返還 都道府県から国庫への返還
事業数 返還を要する額   事業数 返還を要する額  
返還済額 未返還額 返還済額 未返還額
北海道 3 45,432 36,804 8,628 2 42,007 35,200 6,807
青森県
岩手県 1 400 400 1 400 400
宮城県
秋田県
山形県 2 160 160 1 155 155
福島県 1 800 800
茨城県 2 1,400 1,200 200 2 1,400 1,400
栃木県 2 1,071 100 971
群馬県
埼玉県 2 1,002 1,002 2 1,002 1,002
千葉県 1 150 150
東京都 1 93,395 90,974 2,421
神奈川県 8 11,363 11,363
福井県
山梨県
長野県 1 2,393 2,193 200
岐阜県 3 2,105 2,050 55 2 1,055 1,000 55
静岡県 3 17,902 15,667 2,235 1 10,800 10,800
愛知県 1 6 6 1 6 6
三重県 2 7,684 6,996 688 1 2,148 2,148
滋賀県 1 100 100
京都府 1 1,472 1,472
大阪府 4 10,130 10,130
兵庫県 6 13,227 13,227 2 4,160 4,160
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県 3 1,100 453 646 3 453 453
広島県 2 17,804 15,854 1,949
山口県 1 200 200
徳島県
香川県 2 1,101 1,101 2 801 801
愛媛県 2 8,278 8,278 2 8,278 8,278
高知県
福岡県 8 11,733 11,733 1 450 450
佐賀県 2 2,720 2,430 290 2 2,720 2,720
長崎県 2 143 143 2 143 143
熊本県 1 31 31 1 31 31
大分県
宮崎県 2 3,255 2,735 519 2 3,255 2,673 582
鹿児島県
沖縄県 1 463,674 463,674 1 463,674 463,674
71 720,234 701,429 18,804 31 542,940 523,659 19,280
  • (注) 事業実施期間の終了までに事業者から都道府県へ返還される場合等があるため、都道府県への返還を要する額と国庫への返還を要する額は一致しないものがある。

エ 検査促進交付金

(ア) 検査促進交付金の概要

検査促進交付金は、新型コロナウイルス感染症に係る検査(PCR検査等又は抗原定性検査に限る。)に対する支援等に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費に充てるためのものとされており、交付対象事業は図表19のとおりとなっている。

図表19 検査促進交付金の交付対象事業

区分 事業名 事業の概要
無料検査事業 PCR検査等を実施する事業者(以下「検査事業者」という。)に対して、(ア)(イ)の事業を対象として検査実績に応じて補助金を交付する事業
(ア) ワクチン検査パッケージ対象者全員検査等定着促進事業 基礎疾患、副反応の懸念等健康上の理由によりワクチン接種を受けられない者、12歳未満の子供のうち、新型コロナウイルス感染症の症状が出ていない者を対象として、ワクチン・検査パッケージ制度又は対象者全員検査及び飲食、イベント、旅行・帰省等の活動に際してワクチン接種歴や陰性の検査結果を確認する民間の取組のために必要な検査を無料とする事業
(イ) 感染拡大傾向時の一般検査事業 感染拡大の傾向が見られる場合に、都道府県知事の判断により、感染リスクが高い環境にあるなどのため感染不安を感じる無症状の住民(当該都道府県の住民たる者)に対して、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項等に基づき検査受検を要請し、要請に応じた住民が受検する検査を無料とする事業
事業開始に当たっての検査事業者への初期投資に対する補助金 検査事業者が、無料検査事業の実施に当たり必要となる、検査場の整備に係る費用、備品購入に要した費用に対して補助金を交付する事業
都道府県が実施する体制整備に要する経費 都道府県におけるア、イの事業に係る事務局業務等の外部委託等の経費

(イ) 検査促進交付金による事業の実施状況とそれに対する交付金充当額の状況

検査促進交付金による事業の実施状況について、44都道府県から調書の提出を受けるなどして集計したところ、3年度から5年度までの間の実施計画に基づき実施した検査促進交付金による事業は、事業費計2375億余円、交付金充当額計2001億余円となっていた。また、無料検査事業における検査件数は約3340万件であり、事業費計2226億余円、交付金充当額計1853億余円となっていた(図表20参照)。

図表20 検査促進交付金による事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:千円、件)
都道府県名 事業費   無料検査事業の検査件数
交付金充当額 無料検査事業
(定着促進事業+一般検査事業)
検査体制整備等の支援 定着促進事業 一般検査事業 検査件数計
事業費 交付金充当額 事業費 交付金充当額
北海道 6,309,513 5,255,497 5,510,050 4,456,033 799,463 799,463 44,308 902,429 946,737
青森県 1,331,770 1,084,803 1,269,979 1,024,543 61,790 60,260 4,686 148,041 152,727
岩手県 703,107 703,107 671,303 671,303 31,804 31,804 19,174 123,750 142,924
宮城県 3,200,611 2,580,212 3,158,528 2,538,128 42,083 42,083 10,207 468,294 478,501
秋田県 1,676,879 1,378,938 1,567,626 1,269,685 109,252 109,252 15,531 153,546 169,077
山形県 1,166,579 909,409 1,083,313 826,143 83,265 83,265 12,251 129,101 141,352
福島県 1,523,978 1,268,915 1,345,933 1,090,870 178,045 178,045 15,530 211,671 227,201
茨城県 1,965,394 1,736,556 1,542,567 1,313,729 422,827 422,827 70,440 205,493 275,933
栃木県 1,427,508 1,427,508 1,284,449 1,284,449 143,058 143,058 28,848 245,302 274,150
群馬県 876,064 876,064 781,613 781,613 94,450 94,450 36,223 153,272 189,495
埼玉県 10,863,524 10,863,524 9,102,743 9,102,743 1,760,780 1,760,780 86,381 1,326,114 1,412,495
千葉県 4,185,285 4,099,828 3,731,692 3,656,169 453,592 443,658 180,058 551,198 731,256
東京都 64,694,964 53,544,839 61,903,102 50,752,978 2,791,861 2,791,861 1,484,858 7,922,428 9,407,286
神奈川県 16,618,038 13,628,966 15,875,693 12,982,305 742,344 646,660 187,336 2,054,569 2,241,905
福井県 1,648,143 1,371,568 1,479,141 1,202,567 169,001 169,001 22,463 337,947 360,410
山梨県 354,059 354,059 306,710 306,710 47,348 47,348 8,658 88,790 97,448
長野県 1,330,743 1,133,812 1,220,406 1,023,475 110,337 110,337 59,631 204,600 264,231
岐阜県 2,542,494 2,089,962 2,378,142 1,925,610 164,351 164,351 28,763 466,385 495,148
静岡県 3,670,875 3,670,875 3,332,667 3,332,667 338,207 338,207 46,964 535,199 582,163
愛知県 9,125,450 7,612,317 8,225,736 6,712,602 899,714 899,714 104,574 1,044,519 1,149,093
三重県 1,152,861 1,152,861 912,379 912,379 240,482 240,482 30,573 128,043 158,616
滋賀県 1,280,457 1,280,457 1,172,965 1,172,965 107,492 107,492 17,529 213,305 230,834
京都府 3,924,061 3,358,209 3,672,408 3,106,556 251,652 251,652 112,326 466,273 578,599
大阪府 28,131,138 22,845,216 27,341,992 22,056,069 789,146 789,146 149,470 2,911,108 3,060,578
兵庫県 7,418,846 6,118,513 6,904,209 5,603,875 514,637 514,637 60,677 873,008 933,685
奈良県 1,475,736 1,219,932 1,329,451 1,073,647 146,285 146,285 9,708 199,049 208,757
和歌山県 1,600,508 1,308,503 1,478,985 1,186,979 121,523 121,523 3,824 183,675 187,499
鳥取県 3,800,350 3,121,728 3,475,450 2,796,918 324,899 324,809 11,208 365,394 376,602
島根県 2,109,894 2,109,894 1,946,995 1,946,995 162,898 162,898 2,930 231,985 234,915
岡山県 1,414,229 1,270,396 983,451 839,617 430,778 430,778 48,284 118,994 167,278
広島県 6,926,512 5,683,704 6,296,705 5,053,897 629,807 629,807 13,816 962,033 975,849
山口県 1,085,504 1,085,504 1,014,221 1,014,221 71,282 71,282 32,905 158,053 190,958
徳島県 1,997,305 1,431,387 1,866,469 1,300,550 130,836 130,836 9,122 254,199 263,321
香川県 1,817,498 1,497,134 1,681,509 1,361,144 135,989 135,989 17,394 243,196 260,590
愛媛県 2,565,505 2,087,425 2,513,088 2,035,008 52,417 52,417 34,680 381,617 416,297
高知県 1,303,829 1,303,829 914,829 914,829 389,000 389,000 25,836 188,778 214,614
福岡県 8,185,995 6,671,816 8,023,169 6,508,990 162,826 162,826 48,944 1,297,796 1,346,740
佐賀県 1,614,042 724,563 1,548,944 661,181 65,098 63,382 15,190 125,524 140,714
長崎県 1,933,461 1,922,685 1,616,057 1,616,057 317,404 306,628 4,424 171,300 175,724
熊本県 3,141,591 2,547,026 3,082,441 2,487,876 59,149 59,149 23,670 385,034 408,704
大分県 2,443,000 2,000,954 2,315,940 1,873,894 127,060 127,060 28,456 560,053 588,509
宮崎県 3,695,490 2,977,770 3,664,580 2,946,860 30,909 30,909 13,198 551,838 565,036
鹿児島県 5,128,500 4,209,827 4,904,098 3,985,426 224,401 224,401 35,583 503,923 539,506
沖縄県 8,177,289 6,602,408 8,172,803 6,597,923 4,485 4,485 78,096 1,366,278 1,444,374
44都道府県合計 237,538,598 200,122,518 222,604,550 185,308,199 14,934,048 14,814,318 3,294,727 30,113,104 33,407,831

そして、検査促進交付金は、都道府県が実施する体制整備等に対しても充当することができるとされており、執行の適正性確保のための取組として、検査事業者に対する補助金の審査業務等に係る事務局業務等を外部委託により実施している都道府県も見受けられた。

そこで、44都道府県から調書の提出を受けるなどして集計した結果、図表21のとおり、事業費計385億余円、交付金充当額計264億余円となっていた。そして、検査促進交付金に係る交付金充当額計2001億余円に占める外部委託に係る交付金充当額264億余円の割合は13.2%となっていた。

図表21 都道府県における外部委託の実績

(単位:件、千円)
業務の種別 都道府県数 契約件数 事業費 交付金充当額
(1)事務局業務 30 90 13,526,068 11,420,281
(2)臨時検査拠点の設置 14 47 15,398,058 7,480,727
(3)コールセンター業務 6 13 837,658 317,357
(4)廃棄物(抗原検査キット等)の処分 1 2 177 25
(5)検査拠点の設置・運営((2)以外) 4 68 8,483,564 6,908,594
(6)その他 10 28 298,323 298,323
248 38,543,850 26,425,308
  • (注) 計欄の事業費及び交付金充当額は、事務局業務等の外部委託に無料検査事業に関する業務内容を含むものもあるため、図表20の「検査体制整備等の支援」の合計とは一致しない。

(ウ) 執行の適正性確保のための取組状況等

検査促進交付金による事業においては、都道府県から検査事業者へ交付される補助金が、検査事業者が検査実績を過大に報告することなどにより不正に受給されている事態が相次いで発覚していることから、不正受給を防止し、又は把握するために、検査事業者登録時の資格要件の確認、補助金交付後の事後確認等の執行の適正性確保のための取組が重要となる。

そこで、検査促進交付金による事業について、44都道府県における上記の取組状況を検査したところ、図表22のとおり、交付対象経費については何らかの確認を行っていたが、資格要件の確認や補助金交付後の事後確認については実施していないものも見受けられた。

図表22 執行の適正性確保のための取組状況

取組の内容 都道府県数
1.無料検査事業における交付対象経費の確認体制
(1) 都道府県において審査
22
(2) 委託事業者において審査
5
(3) 委託事業者の審査内容を都道府県が再度確認
17
44
2.検査事業者登録時の資格要件の確認
(1) 当初より根拠資料により資格要件を確認
34
(2) 不正事案を受けて確認するようになった
2
(3) 資格要件までは確認していなかった
8
44
3.補助金交付後の事後確認の実施状況
(1) 提出書類の再確認
10
(2) 検査事業者への聞き取り調査
5
(3) 検査事業者、検査拠点等への立入り調査
4
(4) その他(疑義が生じた検査事業者のみを対象に事後確認を実施等)
12
(5) 事後確認までは実施していなかった
13
44

(エ) 補助金の返還の状況

検査促進交付金による事業において、検査事業者による補助金の不正受給が相次いで発覚しており、各都道府県において、補助金の返還命令を発出するなどの対応を5年度末においても行っている。

そこで、44都道府県における検査事業者から都道府県への補助金の返還状況について検査したところ、5年度末において、25都道府県が計200億0121万余円の補助金の返還を求めるなどしており、このうち25億6239万余円は都道府県に返還されていたが、検査事業者が返還の求めに応じていないなどのため、174億3881万余円は返還されていなかった。

また、検査促進交付金に係るコロナ交付金の都道府県から国庫への返還状況については、国庫返還を要する補助金の交付金充当額計158億5830万余円のうち、8億1766万余円は国庫へ返還されていたが、検査事業者から都道府県への返還金が未納付となっているなどのため、150億4063万余円は返還されていなかった(図表23参照)。

図表23 検査促進交付金における補助金の返還の状況(令和5年度末現在)

(単位:千円)
都道府県名 検査事業者から都道府県への返還 都道府県から国庫への返還
返還を要する額   返還を要する額  
返還済額 未返還額 返還済額 未返還額
北海道 18,263 18,263
青森県 1 1 0 0
岩手県
宮城県
秋田県 5,882 5,882 3,024 3,024
山形県
福島県
茨城県 93,615 93,615 82,418 82,418
栃木県 83,848 3 83,845 83,845 83,845
群馬県
埼玉県 1,061,922 98,968 962,953 1,052,184 1,052,184
千葉県 50,386 3,324 47,062 43,713 43,713
東京都 10,238,429 402,676 9,835,752 8,399,921 8,399,921
神奈川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県 11,334 11,334 11,334 11,334
愛知県 116,131 99,390 16,740 116,131 116,131
三重県
滋賀県 635 635
京都府 232,061 232,061 232,061 11,702 220,359
大阪府 7,009,386 1,020,345 5,989,040 5,058,861 288,649 4,770,211
兵庫県 541,351 361,560 179,791 382,529 333,712 48,817
奈良県 12,249 12,249 12,249 12,249
和歌山県
鳥取県 90 90
島根県 82,392 82,392 82,392 82,392
岡山県 10 10 10 10
広島県
山口県
徳島県 452 452 361 361
香川県
愛媛県 42,119 42,119 42,119 42,119
高知県
福岡県 325,550 276,436 49,113 180,176 180,176
佐賀県 41 41 41 41
長崎県 74,929 74,929 74,929 74,929
熊本県 2 2
大分県
宮崎県
鹿児島県 131 131
沖縄県
20,001,217 2,562,397 17,438,819 15,858,306 817,669 15,040,637
  • (注) 事業実施期間の終了までに検査事業者から都道府県へ返還される場合等があるため、都道府県への返還を要する額と国庫への返還を要する額は一致しないものがある。

なお、上記の状況を受けて、内閣府及び総務省は、内閣感染症危機管理統括庁と協議の上、都道府県に対して6年2月に事務連絡を発出するなどして、不正が疑われる検査事業者への調査を実施し、また、検査事業者から返還されていない補助金について、不正受給者に対する返還の督促や訴訟の提起を行うなどして、債権管理・保全に適切に取り組むよう、周知し、その状況を把握することとしている。

オ 物価高騰対応分

(ア) 物価高騰対応分の概要

物価高騰対応分は、コロナ禍において原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担の軽減をするものであり、交付対象事業は図表24のとおりとされている。

図表24 物価高騰対応分の交付対象事業

事業名 事業の概要
(1) 生活者支援に関する事業 学校給食費等の負担軽減等の子育て世帯の支援を目的とする事業等13事業を活用可能な事業例として示している。
(2) 事業者支援に関する事業 農林水産業者や運輸・交通分野をはじめとした事業者に対する燃料費高騰の負担軽減等13事業を活用可能な事業例として示している。

(イ) 物価高騰対応分による事業の実施状況とそれに対する交付金充当額の状況

物価高騰対応分による事業の実施状況について、44都道府県から調書の提出を受けるなどして集計したところ、4、5両年度の実施計画に基づき実施した物価高騰対応分による事業は計1,169事業となっており、事業費計3072億余円、交付金充当額計2746億余円となっていた(図表25参照)。

図表25 物価高騰対応分による事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円)
都道府県名 事業数 事業費 交付金充当額
北海道 13 14,136,689 13,958,473
青森県 3 4,947,973 4,606,338
岩手県 9 3,662,617 3,662,617
宮城県 56 7,817,353 4,926,707
秋田県 61 3,914,499 3,737,725
山形県 23 4,049,906 4,049,906
福島県 27 5,028,373 4,974,276
茨城県 22 6,250,884 6,250,845
栃木県 36 4,648,496 4,648,492
群馬県 21 4,478,871 4,477,562
埼玉県 20 13,358,288 13,356,221
千葉県 7 12,282,663 10,074,282
東京都 37 19,586,241 19,201,289
神奈川県 19 18,939,732 15,033,323
福井県 29 2,743,944 2,738,721
山梨県 22 3,208,747 3,052,285
長野県 20 5,897,047 5,867,360
岐阜県 47 5,468,775 4,918,282
静岡県 21 7,442,858 7,425,000
愛知県 29 13,362,319 11,596,758
三重県 31 3,797,170 3,792,189
滋賀県 30 3,246,063 3,234,645
京都府 30 5,788,558 5,781,476
大阪府 19 29,199,781 16,587,123
兵庫県 28 12,694,526 12,694,526
奈良県 24 9,123,344 3,710,900
和歌山県 12 3,563,936 3,563,936
鳥取県 17 2,817,264 2,817,264
島根県 28 3,723,622 3,559,397
岡山県 28 4,913,331 4,913,080
広島県 19 4,502,682 4,502,567
山口県 25 3,797,537 3,797,537
徳島県 9 3,179,455 3,008,178
香川県 15 3,647,276 3,519,276
愛媛県 22 4,286,570 4,273,059
高知県 48 3,677,554 3,564,449
福岡県 45 11,643,654 11,643,555
佐賀県 19 3,348,468 3,348,468
長崎県 32 4,875,033 4,745,043
熊本県 63 5,746,083 5,411,983
大分県 23 4,219,638 3,701,942
宮崎県 27 4,001,038 4,001,038
鹿児島県 42 5,908,773 5,595,528
沖縄県 11 4,301,619 4,301,619
44都道府県合計 1,169 307,229,271 274,625,254

上記の1,169事業について、調書に基づきその実施状況を検査したところ、中小企業に対するエネルギー価格高騰対策支援に対する交付金充当額が計920億余円となっており、交付金充当額が最も多額となっていた。このほか、交付金充当額が多額となっていたのは、医療・介護・保育施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援が計421億余円、農林水産業における物価高騰対策支援が計418億余円、エネルギー・食料品価格等の物価高騰に伴う子育て世帯支援が計364億余円となっていた(図表26参照)。

図表26 交付金充当額が多額となっている物価高騰対応分の事業メニュー別一覧

(単位:事業、千円)
事業メニュー 事業数 事業費 交付金充当額
中小企業に対するエネルギー価格高騰対策支援 296 102,450,095 92,090,669
医療・介護・保育施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援 144 42,548,648 42,199,039
農林水産業における物価高騰対策支援 312 43,663,008 41,803,460
エネルギー・食料品価格等の物価高騰に伴う子育て世帯支援 99 52,261,829 36,401,813

カ 重点支援交付金

(ア) 重点支援交付金の概要

重点支援交付金は、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施する地方公共団体の取組に、より重点的、効果的に活用される仕組みへと見直しを図りつつ、対策を一層強化するものである。そして、交付対象事業は図表27のとおりとされている。

図表27 重点支援交付金の交付対象事業

事業名 事業の概要
(1) 推奨事業メニュー 学校給食費等の負担軽減等の子育て世帯の支援等の生活者支援4事業、中小企業に対するエネルギー価格高騰対策支援等の事業者支援4事業の計8事業を推奨事業メニューとして示している。なお、各地方公共団体が、推奨事業メニューよりも更に効果があると判断する事業も、その理由を明らかにした場合は交付対象となる。
(2) 低所得者世帯支援事業 住民税非課税世帯1世帯当たり3万円を目安とする支援を実施。別途、重点支援交付金(推奨事業メニュー分)と組み合わせることで、地域の実情に応じて低所得者世帯への支援方法(現物・現金)を自由に設定することも可能とされている。

(イ) 重点支援交付金による事業の実施状況とそれに対する交付金充当額の状況

重点支援交付金による事業の実施状況について、44都道府県から調書の提出を受けるなどして集計したところ、4、5両年度の実施計画に基づき実施した重点支援交付金による事業は、計2,364事業となっており、事業費計7872億余円、交付金充当額計6575億余円となっていた(図表28参照)。

図表28 重点支援交付金による事業の実施状況(令和5年度末現在)

(単位:事業、千円)
都道府県名 事業数 事業費 交付金充当額
北海道 35 37,318,728 37,308,571
青森県 28 12,144,265 11,659,841
岩手県 57 10,784,485 10,677,244
宮城県 108 16,581,286 12,814,446
秋田県 102 11,199,128 10,566,882
山形県 74 10,058,449 10,058,416
福島県 55 13,031,960 12,894,965
茨城県 52 13,318,616 13,318,569
栃木県 34 8,576,851 8,575,477
群馬県 28 9,101,281 9,101,281
埼玉県 62 37,750,546 30,559,906
千葉県 26 27,109,484 25,890,126
東京都 55 52,051,021 38,535,481
神奈川県 89 33,802,993 32,177,577
福井県 79 7,509,856 7,235,807
山梨県 25 8,382,976 8,159,796
長野県 51 14,463,424 14,460,597
岐阜県 71 12,240,212 11,964,935
静岡県 70 17,276,708 17,276,708
愛知県 65 35,703,121 28,394,457
三重県 37 12,411,056 9,772,769
滋賀県 59 8,014,303 8,013,850
京都府 35 14,462,636 14,420,545
大阪府 34 52,347,417 38,400,455
兵庫県 63 23,700,975 23,664,275
奈良県 32 14,844,171 9,702,284
和歌山県 46 9,785,084 9,438,972
鳥取県 55 7,840,056 7,797,598
島根県 80 8,897,491 8,571,301
岡山県 49 10,695,926 10,695,926
広島県 35 14,318,540 14,318,170
山口県 40 10,688,461 10,432,358
徳島県 57 8,121,824 7,903,640
香川県 12 7,852,983 7,418,522
愛媛県 34 10,670,965 10,575,542
高知県 75 9,343,262 8,794,122
福岡県 50 27,577,897 27,565,286
佐賀県 69 8,235,565 8,235,565
長崎県 68 11,737,400 11,373,331
熊本県 93 14,546,071 13,811,346
大分県 44 77,201,733 9,775,823
宮崎県 42 10,307,729 10,152,499
鹿児島県 50 12,930,891 12,878,441
沖縄県 39 12,283,168 12,251,968
44都道府県合計 2,364 787,221,017 657,595,683

上記の2,364事業について調書に基づきその実施状況を検査したところ、医療・介護・保育施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援の交付金充当額が計1978億余円となっており、交付金充当額が最も多額となっていた。このほか、交付金充当額が多額となっていたのは、中小企業に対するエネルギー価格高騰対策支援が計1497億余円、農林水産業における物価高騰対策支援が864億余円、消費下支え等を通じた生活者支援が計855億余円となっていた(図表29参照)。

図表29 交付金充当額が多額となっている重点支援交付金の事業メニュー別一覧

(単位:事業、千円)
事業メニュー 事業数 事業費 交付金充当額
医療・介護・保育施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援 640 200,850,948 197,823,935
中小企業に対するエネルギー価格高騰対策支援 365 164,011,342 149,748,866
農林水産業における物価高騰対策支援 530 88,188,662 86,495,054
消費下支え等を通じた生活者支援 84 88,218,993 85,526,200

また、重点支援交付金の生活者支援に関する事業のうち、学校給食費等の負担軽減等の子育て世帯の支援を目的とする事業において、支援対象とならない教職員等を含むなどしていて、コロナ交付金が過大に交付されていた事態が見受けられ、令和5年度決算検査報告に3件不当事項として掲記した(前掲「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費を過大に精算するなどしていたもの」のうち(26)~(28)参照)。

(3) 効果検証の実施状況及び検証結果の公表状況

各地方公共団体は、1(1)エのとおり、交付金事業の終了後に、効果検証を実施し、状況及び検証結果を公表するものとされているほか、説明責任を果たすように要請されている。また、本院は、4年10月に、内閣府が地方公共団体に対して速やかに効果検証を実施して検証結果を公表するよう周知することなどについて意見を表示し、内閣府は、4年11月に地方公共団体に対して事務連絡を発して周知している。

今回、44都道府県における効果検証の実施状況及び検証結果の公表状況について検査したところ、6年4月末現在では、2年度及び3年度については44都道府県全てが検証結果を公表済みであり、4年度については繰越事業を除いて42都道府県が公表済みであるとしている。また、5年度については、公表データの集計中等の理由により公表しているところはなかった。

そこで、調書に基づき効果検証の内容について検査したところ、44都道府県のうち12県においては、アンケート調査による評価等を活用したとしていた。また、これに加えて、商品券を発行する事業について都道府県産業連関表及び家計調査を利用して分析した結果として経済波及効果の金額を示しているものも見受けられた。

その他の32都道府県においては、交付金事業を行った担当部署等が、議会への説明等のために作成した事業の実績額や実施した事業の内容を検証結果として公表していた。

そして、32都道府県における効果検証について、会計実地検査等により具体的な公表内容をみたところ、4府県において次のような状況が見受けられた。

① 大阪府及び山口県において、コロナ交付金の実施計画に掲載している事業単位ではなく、地方公共団体における施策単位に基づいて実績額等を公表していることから、交付金事業について、実施計画に対して実績がどのようになっているか確認することが困難である状況となっていた。

② 岩手県において、単に交付金事業の概要を検証結果として公表するにとどまり、交付金事業の実績額の内訳や効果については確認することができない状況となっていた。

③ 福岡県において、交付金事業のうち同県が選定した一部の交付金事業についてしか検証結果を公表しておらず、その他の交付金事業についての実施状況及び効果については確認することができない状況となっていた。

なお、会計実地検査の結果を踏まえ、4府県においては、公表内容を改め、上記の状況は解消されている。

内閣府は、1(1)エのとおり、制度要綱を改正するなどして効果検証を実施し、検証結果を公表するよう周知しているが、効果検証の内容については地方公共団体の判断に委ねている。その結果、一部の地方公共団体において、十分とはいえない効果検証が行われており、透明性が確保されておらず、説明責任が十分に果たされているか疑義がある状況が見受けられた。

そして、内閣府は、コロナ交付金の効果検証に関する調査を3年度から5年度までの間に実施してその結果を公表しており、交付金充当額等に関しては、実施計画に記載された全ての事業を調査対象としたとしているが、交付金事業の実績、効果等に関しては、全ての事業ではなく地方公共団体や内閣府が抽出した事業を対象として、アンケート調査及びヒアリング調査の結果を踏まえて取りまとめていた。

4 本院の所見

コロナ交付金は、原則として使途に制限はないとされ、自由度が高く活用が可能な制度とされており、2年度から数年間にわたり補正予算や予備費により多額の予算措置が行われて、地方公共団体に対して交付されている。また、実施計画は内閣府に、実績報告書は総務省等にそれぞれ別々に提出されており、国は、コロナ交付金の交付を受けた全ての地方公共団体における交付金事業の実施状況や交付金充当額について網羅的に把握していない状況であり、コロナ交付金の全体の執行状況を取りまとめたものは公表されていない。

そこで、本院がコロナ交付金の全体像について、国の予算措置とその執行状況、コロナ交付金の交付を受けた地方公共団体における事業の執行状況、コロナ交付金に係る不正受給等の発生やそれに伴う返還等の状況、地方公共団体における効果検証の状況等について検査したところ、次のような状況となっていた。

2年度から4年度までの3年間の予算総額は18兆3259億余円と多額になっており、毎年度、多額の繰越しが見受けられ、不用額は3兆2665億余円となっている。そして、最終年度の4年度末に措置された予備費1兆2000億円は全額が繰り越されていた。

さらに、地方公共団体における交付金事業の実施状況についてみると、当初は新型コロナウイルス感染症対応の事業に使用されていたが、4年度には物価高騰対策に事業内容が変化していた。

また、内閣府は地方公共団体に対して、コロナ交付金を効果的、効率的な事業に活用するとともに、説明責任を果たすよう要請しており、事業実施後の効果検証についてもその具体的な実施方法は地方公共団体に委ねられている。

しかし、実際には、地方公共団体において、不正受給等に係る事業者等からの返還金が未納付となっていることから当該返還金に係る交付金充当額が国庫へ未返還となっている状況、実施計画に基づく交付金事業の単位ではなく地方公共団体の施策単位に基づいて実績額等を公表していることから、実施計画に対して交付金事業の実績がどのようになっているか確認することが困難であるなどの十分とはいえない効果検証が行われ、説明責任が十分に果たされているか疑義がある状況が見受けられた。

ついては、上記のような状況を踏まえて、国は、次の点に留意するなどして、関係者と相互に連携を図り、適切に対応していく必要がある。

ア 国は、今後、原則として使途の制限がなく、自由度が高く活用が可能な同種の交付金による事業を実施する場合は、交付金による事業の終了後に地方公共団体において交付金事業の単位で適切に効果検証を実施すること、また、検証結果を取りまとめるなどして公表し、交付金による事業の執行に関する説明責任を果たせるような仕組みをあらかじめ整備するなど、交付金による事業の実施について適切に国民への情報提供を行う態勢を検討すること

イ 内閣府及び総務省は、各都道府県における国庫返還を要するコロナ交付金の額等を把握するとともに、国庫へ未返還となっているコロナ交付金について、当該都道府県における返還等の状況を確認した上で、今後も引き続き国庫への返還に向けて適切に対応するよう、当該都道府県に働きかけること

本院としては、今後、国が、地方単独事業に充てることのできる同種の交付金を地方公共団体に交付する際は、その実施状況について注視していくこととする。