中小企業庁では、都道府県が中小企業設備貸与事業を行う機関(以下「貸与機関」という。)に対して貸与設備の購入に要する資金(以下「設備貸与資金」という。)を貸し付ける場合、その貸付けに要する資金の一部に充てるため補助金を交付することとなっているが、貸与機関が貸与先から約定期限前に繰上償還された貸与料(以下「繰上げ貸与料」という。)を受け入れた場合の取扱いに関する同庁の規定が明確でなかったなどのため、昭和54年度中に設備貸与資金の貸付けを行っている45道府県のうち43府県で、繰上げ貸与料が府県との約定償還期日まで貸与機関に保有されたままとなっていたので、これを早期に府県に繰上償還させることにより、国庫補助金を原資の一部とする設備貸与資金の効率的な運用を図る要があると認め、55年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、中小企業庁では、55年11月、設備貸与資金の貸付けを行っている道府県に対し、貸与機関からの繰上償還の取扱いについて、本院指摘の趣旨に沿い必要な処置を執るよう通達を発し、これに基づき道府県においては、貸与機関との間の貸付けに係る契約書に繰上げ貸与料の償還に関する事項を明記するなどして、貸与機関が繰上げ貸与料を受け入れた場合には道府県に繰上償還させる処置を講じた。