建設省では、国庫補助事業として都道府県及び市町村等が事業主体となって施行する道路、河川、下水道等の工事等に要する費用について国庫補助金を交付しているが、昭和53、54両年度に施行されたこれら工事等について調査したところ、年度内に完了していないのに予算の繰越手続を執ることなく完了したとする処理を行い、国庫補助金の全額の交付を受けている不適切な事態が多数見受けられたので、地方公共団体に対し補助事業の円滑かつ適正な執行を図るための指導を一層強化徹底するとともに、今後このような事態が生じた場合には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。以下「補助金適正化法」という。)に基づく厳正な処置を執るなどして、補助事業の実施及び経理の適正化を図る要があると認め、55年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、建設省では、55年12月、各都道府県知事等に対し「未しゅん功工事の防止について」の通達を発するとともに、省内に「未しゅん功工事防止対策連絡委員会」を設置するなどして、本院指摘の趣旨に沿い、地方公共団体等の実施する補助事業について、適正な施行管理の徹底、予算の繰越手続の遵守等についての指導を強化するとともに、今後このような事態が生じた場合は補助金適正化法に基づき国庫補助金等の交付決定を取り消してその返還を命ずることとするなど、補助事業の実施及び経理の適正化を図るための処置を講じた。