農林水産省では、昭和40年代に入り米が過剰基調となったことから、米の生産調整を進めるための施策として、水田利用再編対策事業を数期に分けて実施することとし、この対策の実施期間中、米の生産調整に協力して水稲から水稲以外の作物への転作等を実施した農業者に対して、水田利用再編奨励補助金(以下「奨励補助金」という。)を交付することとしているが、本対策事業において、事業の効果が十分発現していないと認められる事態が多数見受けられたので、転作営農の生産性の向上とその定着化の一層の推進を図るため、抜本的な対策を講ずる要があると認め、58年11月に改善の処置を要求した。
これに対し、農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、59年度から始まる水田利用再編第3期対策において、(1)定着化には余り寄与しているとは認められない計画加算制度を廃止し、転作の一層の定着化を図るため新たに転作定着化推進加算制度を設ける、(2)保全管理水田(農業者の水田を農業協同組合等が預託を受け転作に結び付けるまでの間管理する水田)の奨励補助金の単価を引き下げるなどの措置を講じ、保全管理水田を抑制する、(3)飼料用青刈り稲による転作については、転作の拡大を担うべき特定作物からはずし、補助金単価の低い一般作物へ変更することにより抑制する、(4)市街化区域内での転作については、同区域を市街化を促進すべき区域としている都市政策との整合性に配慮して制度を運用する、(5)出荷に結び付いていない大豆、麦、そばの転作については、生産・販売の指導体制の充実に努めるよう指導を徹底するなどの処置を講じた。