労働省及び雇用促進事業団において、雇用保険の被保険者等の福祉の増進を図るため設置している勤労者体育施設等の福祉施設については、労働省が設置市町村を決定し、これに基づき雇用促進事業団が建設を行い、その管理運営を都道府県等に委託して行わせているが、設置市町村や施設内容等の決定に際し施設利用計画等についての調査が十分でなく、また、設置後の管理運営に当たって利用促進を図るための適切な対策を講ずる配慮に欠けていたなどのため、被保険者等の利用が低調となっているなど事業主が負担した労働保険料を原資として被保険者等のために実施している本事業の意義が十分生かされているとは認められない事態が多数見受けられたので、施設の設置運営に当たっては、本事業の意義を十分生かすよう格段の配慮が必要であると認め、昭和58年12月に意見を表示した。
これに対して、労働省では、本院指摘の趣旨に沿い、59年1月に雇用促進事業団及び都道府県に対し通達を発し、被保険者等の優先利用を図り施設の利用向上に努めるよう指示するとともに、同年7月、福祉施設の設置計画基本方針の改定を行い、被保険者等の体育活動の実情に応じた適切な利用計画等に基づいて設置市町村、施設内容の決定を行うこととするなどして本施設が被保険者等の福祉の増進を図るための施設であることを明確にするとともに、被保険者等の要望に即した施設内容とするなど本事業の意義を生かすための処置を講じた。