建設省では、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域の環境の整備改善を図ることを目的として、当該地域に係る住宅の新築、改修及び宅地の取得に要する資金の貸付けの事業を行う地方公共団体に対して、毎年度、事業に必要な新規所要資金の一部を国庫補助金として交付しているが、貸付主体における貸付けの決定、貸付金の支払い、工事完了審査等が適切を欠いたため、貸付後相当な期間を経過しているにもかかわらず住宅の新築、宅地の取得が行われておらず、適切とは認められない事態が多数見受けられたので、本件貸付事業を実施している地方公共団体に対して、住宅新築資金等貸付制度要綱等本件事業執行に関する準則を遵守させることなどについての適切な指示、指導を行う要があると認め、昭和58年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、建設省では、本院指摘の趣旨に沿い、58年12月に関係地方公共団体に対し「住宅新築資金等貸付事業の適正な執行について」の通達を発し、上記貸付制度要綱等の準則を遵守する意識を喚起するとともに、借受申込書の審査を適正に行うほか貸付金の支払いに当たっては住宅の新築等の出来高に応じた支払いを行うなどの指針を示して本件貸付事業の適正な実施を確保するための処置を講じた。